若さ
年を取ると時間の感覚が短くなる。
まあ、実際その通りなんだよ、普通はな。
でも、そうはならなかった奴が居るんだ。
そいつは何と言うか、可哀想なぐらいの童顔でな。
男では中々可哀想な奴なんだ。
需要があるとか言ってやるなよ?
当人は相当悩んでるんだから。
んでな、そいつが言うには。
どうにも時間の感覚が前にも増したって言うんだ。
何をするにも最高に集中してて、
何と言うか怖いぐらい周りが見えなくなるんだな。
だからそいつは滅茶苦茶エリートになったと言うか、物覚えが高く、異常に器用に立ち回ったんだよ。
でもな、そんな奴がたまに昔馴染みの友達、まあ俺も含んで絡む時があるんだよ。
アホみたいな話とか色々交えながら。
そんな時に些細な事故で怪我をしちゃったんだな、そいつ。
するとなとんでもなく痛がるんだ、
それはちょっと異常でさ、
わんわんわんわん泣き続けるんだ。
いくら何だって大人がさ、
ちょっとした怪我の一つで大声で泣くのは異常だろ?
挙句の果てに救急車まで呼ぶ始末でさ、
流石に心配した何人かが任せっきりとも言えず同乗して運ばれた。
そこからは完全に噂話になるんだが、
どうにも色々訳ありの病気持ちだったらしい。
普段は特に問題ないんだが、何かの薬を飲むタイミングを間違えてたみたいでな。
そのせいで痛みが異常なまでに響いてたんだってさ。
後日お見舞いに行ったらさ、
何かもう、疲労感の塊みたいな顔色で挨拶しててさ。
直ぐに良くなるらしいんだが、
あの日からあいつの事を考えると。
時間の感覚が増えても、
薬一つの問題でやつれるまで痛がるのは嫌だなと思ったんだ。
病気にしろ薬にしろ、
俺は適度に痛みに鈍感でありたいと思ったよ。




