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雑務最強の男、魔術銃の試作品をもらう

 ルドルツカ遺跡の遠征を成功させた翌日。

 ギルドの拠点にはみんなが揃っていた。


「いや~、どうだった? マグナはすごいだろ?」

「あぁ、予想以上だな! ただ戦闘ができるやつより貴重なヤツかもしんねぇ」

「私も、認めざるを得ないわね。まだまだ見極めないといけない部分があるにしても、少なくとも足手まといになることはないわ」

「いや、みんなが強かったおかげだ」


 ロードリスは椅子に腰掛けて紅茶を飲んでいる。

 バドルットとセシリアはロードリスの前にある机に手を置いて話しており、モモはソファを独占して寝ていた。

 いや……起きてるのかもしれないが、よくわからない。


「マグナが役に立つことが分かったところで、マグナに朗報だよ~」

「ん? なんだ?」


 急にロードリスが一つの道具を手渡してきた。

 それはあまり見慣れない形をしている。


「なんだこれ」

「それはね、”魔術銃”と言われる迷宮遺物(アーティファクト)を再現した魔術道具なんだ」


 ”魔術銃”……そういえば聞いたことがある。

 引き金を引くと魔術を発射することができる道具だったか。


 現物は見たことがないが、つい最近ダンジョンで見つかって話題になっていたと思う。


「さすがに迷宮遺物(アーティファクト)を完全再現とまではいかなかったけど、実は今回試作品がようやくできあがってね。ぜひマグナに使ってほしいんだ」

「なんで俺に?」

「キミは【在庫管理】を持ってるだろ~? 相性が抜群なんだ」


 そう言って、ロードリスはいくつかの缶のようなものを取り出して机に並べた。


 ロードリスが言うには、銃本体の形はそれなりに再現することができたらしい。

 しかし、魔術を発射する機構というのが全く再現できなかったのだという。


 そのため、魔術を詰め込んだ”魔術缶”というものをロードリスは別で作り、それを外付けで取り付けることで魔術を発射できるようにした。


 魔術缶は片手で持つことができるサイズだが決して小さくはない。

 荷物としてかさばる上に使いたい魔術の缶を的確に取り出さないといけないだろう。

 つまり、戦闘で実用するには難しいというわけだ。


 しかし、それらの問題は【在庫管理】を持つ俺なら解決できる……


 と、ロードリスが説明してくれた。


「なるほどな。使ってみないと分からないが、これがあればより仲間の戦闘支援ができそうだ」

「一点物の魔術道具だから大事にしてくれよ~。あとは、使った時の使用データを取ってくれるとありがたいね」

「ああ、ありがとう」


 俺はロードリスに礼を言って魔術缶を【在庫管理】で収納する。


 魔術を発射できるという説明が事実なら、色々と使い道がありそうだな。


「と、言うわけで……データも取りたいし、早速次のクエストを頼むよ~」

「ん? なんか依頼が入ったのか?」


 それを聞いてバドルットが反応する。


「ちょうどキミたちがキマイラ討伐に行っている間に個人からクエストを依頼されてね~。結構大きい仕事になりそうなんだけど、大丈夫かな?」

「大きい仕事? ロードリスがそう言うなんて珍しいじゃねぇか。いつもは大変なクエストでも『ま、キミたちなら大したことないよ~』とか言うのによ。しかも個人からの依頼だろ?」


 確かにロードリスならそう言いそうだ。

 つまり、よほど大きい依頼なのだろうか?


「何と言っても今回は未開ダンジョンの攻略だよ! しかも、正真正銘まだ誰も調査をしていない新たに見つかったダンジョン……ボクたちがファーストアタックだ」

「マジかよ!?」


 セシリアとバドルットがその言葉に反応する。

 “ファーストアタック”とは、ダンジョンに一番乗りで探索することを意味する。


 もちろん、未開のダンジョン自体は珍しいものではない。

 探索が完全に終わっていないダンジョンであればたくさんあるだろう。


 しかし、誰も入っていないダンジョンというのは珍しいと言って良かった。

 当たり前だが、ある日突然ポンとダンジョンが増えたりはしないからだ。


「実は依頼をしてきたのはここから西方の小さい領地、アブラス領の領主様でね。どうやら、土地の開墾中に偶然地下ダンジョンを発見したらしいんだ」


 なるほど。

 稀なことではあるが、地下遺跡タイプのダンジョンが発見されることはある。

 それならば誰も入ったことのないダンジョンというのも納得だ。


「しかし、小さい土地であるアブラス領ではダンジョンの探索を行うことは難しく、Sランクパーティーであるボクたちに依頼してきたってわけさ~」

「ファーストアタックは久々だな! 腕がなるぜ」


 バドルットは力こぶを作るように腕を曲げている。


 それもそうだろう。

 ファーストアタックは冒険者にとって最高の名誉でありチャンスだ。

 冒険者にとって一番心躍るのはダンジョン探索と言っていい。


 危険は大きいがその分貴重な”迷宮遺物(アーティファクト)”を発見できれば、そのリターンは計り知れない。

 ロードリスが大きな仕事と言ったのも納得の内容だった。


「ファーストアタックだからね~。何か面白い”迷宮遺物(アーティファクト)”が見つかると嬉しいんだけど~」


 そう言ってロードリスは俺の方を向いた。


「でも、マグナにとってもこれはチャンスだよね~」

「ああ」


 ロードリスは俺の目的を覚えていてくれたようだ。


 太陽鳥サンファナスが落とす”太陽の冠羽”。

 俺が冒険者をやっている理由はそれなのだ。


 未確認モンスターであるサンファナスはほぼ間違いなく未開のダンジョンに存在している。

 つまり、そのダンジョンに居る可能性も存在している。

 可能性は低いだろうが、それでもゼロじゃない。


 これが大きなチャンスであることは間違いなかった。


「それにしても、マグナはどうして”太陽の冠羽”を探しているんだい~? そういえば、聞いていなかったと思ってね~」

「そうだな……仲間になったことだし、その理由をみんなに話しておこうと思う」


 脳裏に浮かぶのは過去の情景。


 凍りついた街……そして、妹。


 俺は”太陽の冠羽”を求める理由を話し始めるのだった……


マグナの過去とは一体何なのか?

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