53 交流イベント
俺は11に与えられた事務所のとある一室で過ごしていた。
すこし前に聞いたのだが俺は酒を飲んでテイラーと大騒ぎをしていたらしい。
この話を聞いて俺はこれからは絶対に飲まないと心に決めた。
俺は手元にあるお茶を一口飲む。
「お茶を飲んでいる時間はありません!はやく仕事をしてください!」
俺にある人物が話しかけてくる。
「仕事って言っても私のやることないじゃん。せいぜいここにいることだけでしょ」
そう言って俺は紅茶の入ったカップを置いた。
そして話しかけてきた人物を見る。
「そもそも私はお前を秘書として採用した覚えはないんだけど」
その人物はホレイソンだった。
しかし彼は俺の意思を無視して言葉を続ける。
「だったらスケジュール確認だけでもいいです!本当は見回りに行ったりしなきゃいけないけど……」
「どれどれ」
俺は手帳に書かれているスケジュールを見る。
そのなかでひとつ興味深いものがあった。
「これはなんだ?」
俺はホレイソンに尋ねる。
ホレイソンは手帳に顔を近付けると俺に答えた。
「あぁこれは軍が主催する住民と触れ合うイベントですね。これは隊員たちは行かないで隊長だけ行くイベントです」
「主にどんなことをするんだ?」
「子供たちと一緒に遊んだり、ちょっとした的あてゲームをしたりとかですね」
「面白そうだな」
実際、俺は昔から子供と触れ合うのが好きだった。
汗まみれの男たちのところに行かなくて済むんだったら行きたい。
「ホレイソン、そのイベントは予定を開けて置け。私も出る」
「ほ、本当ですか!?」
ホレイソンは俺がイベントに出るのが信じられないというような顔で言った。
前世では子供と一緒にいるのが楽しかったから子供が嫌いというわけではない。
むしろ大好きである。
まぁ前世では小さい女の子と話すのが得意だったからロリコンって言われたんだけどな。
ロリコンって言われてたのはアニメの好きなキャラが小さい女の子だったせいもあるけど。
「本当だ」
俺はホレイソンに返事をする。
「す、すぐに第一軍に連絡してきます!」
そう言うとホレイソンは外に飛び出していった。
俺は窓から彼の様子を見る。
途中、ずっこけそうになってたのはちょっと笑えた。
「馬鹿だなぁ」
俺は慌てて駆け出していく彼を見てそう思うのであった。
イベント当日。
広場にはコーナーがいくつか置かれていて子供たちもいっぱい来ていた。
今日のターゲットは基本的に子供たちで、子供たちと龍の距離を縮めることが目的だ。
これは前から市民に呼びかけを行っていて承諾をしてくれたのが今日、来てくれている子供たちというわけである。
俺が担当するコーナーはお絵描きをして交流を深めるというコーナーだ。
俺と一緒にテイラーやセレスティアがやってくれている。
「お姉ちゃん!」
俺のことを少女が呼ぶ。
俺はその顔に見覚えがあった。
「君は前の……」
その子はベンチでファブリスを待っていたときに花を渡してくれた少女だった。
その横には母親らしき人物もいる。
「先日は娘を助けていただきありがとうございました」
「いえ、当然のことをしたまでです」
俺は頭を下げてきた母親にそう言う。
「ねぇねぇお姉ちゃん!一緒にお絵描きしよ!」
少女が俺の腕を引っ張って連れていこうとする。
「こら!お姉さんに迷惑でしょ」
「ごめんなさい……」
少女は悲しそうに俯いた。その顔の表情はどこか曇っていて……
「別に迷惑ではないですよ。今日はそのために来ていますし、それが仕事ですから。では失礼します」
俺は母親にそう言うと少女を連れてお絵描きコーナーへと走り出した。




