5 ファブリスの兄貴
スキル『未来予知』は明確に未来がわかるようなものではない。
どちらかというと第六感のような感じだった。
まるでニュー〇イプだ。
「それで?お前、次はどっちだ?」
俺は地図を確認した。
「そこを曲がったあとは左に行って」
「わかった」
ファブリスはそう言うとすぐ横の穴に入っていった。
中層は人工物のように黒い壁があり霧がかかっていた。
それゆえにきちんと確認しながら行かないとすぐ迷子になってしまうのだ。
ファブリスが左折する。
その時、俺の脳内にサイレンが鳴るように電撃が走った。
……来る
「へ?」
それと同時に霧のむこうからコツコツと床を踏む音が聞こえた。
そしてその音を出していた人物が霧から現れた。
「よぉ。元気にしてたかぁ?」
そいつは黒髪のイケメンだったが口元がニヤリと笑っている。
「兄貴……」
兄貴!?
こいつがファブリスの!?
「お前、神器の守護神は引退したのか?退屈だもんなぁ」
「兄貴、俺は守護神を辞めたんじゃなくてやる必要がなくなったんだよ」
「あ?」
ファブリスは俺を鞘から抜いた。
すると俺を固定していた鞘とベルトが消える。
「まさかその剣……」
「そのまさかだ」
ファブリスの兄は手に巨大なメイスを出現させると構えた。
「その代物はお前にはもったいない。俺に寄越せ」
「嫌だと言ったら?」
「力ずくで奪うのみ!」
ファブリスの兄はメイスを振りかぶると急速に接近する。
ファブリスはメイスを俺で受け止めると足で兄の腹を蹴った。
兄が吹っ飛ばされる。
ファブリス!俺を思いっきりメイスにぶつけろ!
「そしたらお前が壊れるだろうが!」
大丈夫。俺は壊れない。
信じてくれ。
「……了解」
今度はファブリスが急速に接近した。
対して兄はメイスを横にしファブリスの胴を狙う。
ファブリスは俺を腰の位置まで低くしメイスを受け止めた。
『吸収』発動!
俺はメイスを取り込んだ。
だが兄の力強さに俺は空中に放り込まれてしまった。
「きゃははっ!俺の勝ちだっ!」
兄が拳をつくりファブリスに殴りかかろうとする。
しかし俺は空中で兄にむかって突っ込んでいきその胸を貫いた。
同時に『吸収』を発動する。
すると兄のからだは消えてしまった。
……すまん。思わずやってしまった。
「いや、いいんだ。あれはもう俺の知ってる兄貴じゃなかった」
そうか……
「行こう」
ファブリスが俺を腰に押し付けると鞘とベルトが出現する。
そしてファブリスは歩き始めた。
後は真っすぐ歩くだけである。
「お前、名前はどうするんだ?」
うーん、なんでもいいかな。
「じゃあルーナとか?」
それでいいけど女っぽくないか?
「え?別に良くない?」
そんなもんなの?
「たぶん」
たぶんってなんだよ。
その時、ファブリスが足を止めた。
俺は不思議に思って前を見た。
するとそこには道はなくただ穴があった。
「おい、本当にここであってるか?」
合ってると思うけど……うん、間違ってない。
ここだよ。
「まさかあの穴を通るのか?」
よく見ると穴のそこには砂があり中央には小さい穴があいている。
これ、どっかで見たことあるんだよなぁ。
そんなことを思ってる間にファブリスは底に降下していった。




