49 片翼の悪魔
俺のファ〇ネルが勢いよくホレイソンを襲う。
だがホレイソンのからだに触れた瞬間、勢いを無くし止まってしまった。
そしてなぜかファ〇ネルの刃が俺のほうを向く。
「なっ……!」
ファ〇ネルが俺に牙をむいて襲い掛かってくる。
まずい!
俺は『シールド』でファ〇ネルの攻撃を受け止める。
だが集中しすぎて背後に回ったファ〇ネルに気付かなかった。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
殺される。死ぬ。
ダメだ。間に合わない。
ヤバい。このままじゃ本当に……!
俺は恐怖のあまり目を瞑る。
その時、救いの女神が俺の耳に囁いた。
《『天の加護システム』20%のみ稼働可能です。起動、確認しました》
俺の視界に映るものがゆっくりに見える。
ファ〇ネルが俺に触れようとしたその瞬間、俺は残像の見えるほどのスピードで上昇していた。
そして風景がいつも通りに戻っていく。
ホレイソンは驚いたような顔で俺を見上げていた。
観客席にいた隊員たちも呆気にとられている。
そしてその様子を俺は空中から見下ろしていた。
その背中には片翼だけしかない透明な赤い翼が生えている。
『天の加護システム』
なにか変なものがあるなといままで無視していたがまさかこんな力があったなんて。
俺自身、驚いているとホレイソンがニヤリと笑い話しかけてくる。
「さすがは十二賢人のひとり。そんな手札まで隠し持っていたとは。だが私にも仕事はある。NO.11。あなたには死んでもらう」
そう言うと俺に剣の刃先を向けてきた。
ファ〇ネルが俺に飛んでくる。
しかし俺はすべて動きを読んでいた。
俺は空中で華麗に攻撃を回避すると『変形刃』を空中で分岐させながら彼を襲う。
しかしすべて剣で弾かれるとホレイソンが俺に急接近してきた。
俺はホレイソンの剣を『シールド』で防いだ。
ホレイソンの特殊能力『支配する者』は触れたものを支配する可能性が高い。
ならば俺の刀で受け止めるのは相手に武器を多く与えるようなものだ。
俺は後ろにファ〇ネルの気配を感じる。
しかし俺が回避行動を取るよりも先に背後に現れたシールドが攻撃を防いでくれた。
「ちぇ……!」
ホレイソンが『シールド』を割って剣を振り下ろしてくる。
それを俺はホレイソンの下に潜り込んで避けた。
そして彼の背中を思いっきり蹴る。
ホレイソンは空中でバランスを崩したがすぐに立て直し、またも俺に向かってきた。
その時、俺の目の前に魔法陣が展開された。
実は俺はなぜか魔法を使えない。
ファブリスに教えてもらってもちっとも魔法が使えなかった。
だからこの魔法陣は俺が展開した魔法陣ではない。
しかしホレイソンには呪文を唱えた様子はなかった。
だったら誰の魔法なのだろう……?
魔法陣から同じ形をした新たな魔法陣がスライドして現れる。
魔法陣は瞬く間にホレイソンを囲うと、そこから赤い鎖のようなものが飛び出した。
「なんだこれは!」
その鎖はホレイソンのからだを空中に拘束するとなにかを彼から吸い取っていく。
「おい!やめろ!やめてくれ!」
しかし彼の願いはかなわず、鎖がなにかを吸い取りつくすと拘束が解かれた。
そしてホレイソンは力尽き、落下していく。
俺はそれをただ、静かに見下ろしていた。




