31 裸の付き合い
「そうだ!いまからみんなで一緒にお風呂に入りませんか?」
「え?」
「いいですね。そろそろ入りたかったんですよ」
「ちょっ……」
二人は勝手に話を進めていく。
二人だけがお風呂に入るならいいが俺も入るとなれば話は別だ。
やっと自分のからだにも慣れてきたところなのに他人とお風呂に入るなんてとんでもない。
「よく言うじゃないですか裸の付き合いって」
「ルーナさんも入りましょうよ」
「いや……私は……」
「いいからいいから」
結局、俺は二人に押し切られてお風呂に入ることになってしまった。
俺は二人に背を向けて服を脱ぐ。
「うわぁルーナさんて着痩せするタイプなんですね」
フェルナンドが耳元で囁き思わず硬直した。
背中に柔らかいものが当たっているがあまり気にならない。
これは女性になった影響なのだろうか。
「ち、近いです……ってどこ触ってるんですか!揉まないでください!」
俺は顔を真っ赤にして暴れまわる。
「へへへ……」
フェルナンドのほうを見るが反省はしていないようだ。
「もう……」
「仕返しに私のを揉ませてあげてもいいですよ?」
「遠慮しときます」
こんなかんじでわちゃわちゃしながら俺たちはお風呂に入った。
途中、背中の流し合いっこもしたりちょっと楽しかった。
俺たちは湯船に入りながら話し合う。
「ファブリスさんって昔はどんな人だったんですか?」
セレスティアがフェルナンドに尋ねる。
「私も聞きたいです」
「お兄ちゃんの子供のとき?お兄ちゃんはねぇ…とにかくしっかりしてたかな?でもおっちょこちょいでお母様によく怒られてた」
「意外ですね」
あのファブリスがおっちょこちょいだったなんて信じられない。
だってファブリスはちょっとあれなところがあるけど結構頼りになってるし仕事も頑張っている。
そんなファブリスがおっちょこちょいだったなんて…
「でしょ?でもよく柱にぶつかったりしてたんだよ!」
・・・
それはただの馬鹿なんじゃないかな?
「まぁお兄ちゃんは優しいからいいんだけどね」
「たしかにそうですね。私が本を読んだまま寝ちゃったら毛布をかけてくれたんですよ」
「そうなの!?私にはそんなことしてくれなかったのに!」
「ははは……」
フェルナンドの怒りっぷりを見てセレスティアが楽しそうに笑う。
「でも気遣いのできる人って素敵ですよね。一緒にいて安心します」
「わかるそれ!」
それから理想の男性像について話し合った。
「でもさ、私はやっぱりお兄ちゃんが一番だと思うんだよね」
「ファブリスさんが旦那さんになったら安心ですよね。色々と尽くしてくれそう。ルーナさんはどう思います?」
「私は……」
俺はファブリスのことをどう思っているんだろう。
俺ははじめてこの疑問にぶつかった。
心は男だけどからだは女。
そして徐々に女性のほうが強くなってきている気がする。
それにつれてファブリスに対する見方も変わってきた。
俺にとってファブリスとは……?
思い浮かべるごとにファブリスのいままでの行動がフラッシュバックしてくる。
俺は急に恥ずかしくなってお湯から勢いよく飛び出した。
「みなさん、もう出ませんか?」




