27 永遠に続いてほしいじゃん?
俺とファブリスは横に並んで商店街を歩いていた。
思わず可愛らしい服を着てしまった…
これじゃあ俺がこうなることを喜んでいるみたいじゃないか!
あぁ恥ずかしい。
俺の顔はきっと赤く染まっていることだろう。
「大丈夫か?顔が赤いけど?」
「き、気のせいじゃないか?」
「そうか?まぁいいや。なにか好きなものを買って行けよ」
「いいのか?じゃあ本屋さんに…」
「オーケー。近くに老舗の本屋があるからそこに行こう」
「わかった」
はぁ、まるでデートのようなかんじだな。
マジで恥ずかしすぎて死にたい。
その後、本屋さんで読んでいた恋愛小説の続編を購入し街を散歩した。
「あそこで買いたいものがあるんだけど行かない?」
「なにを買うんだ?」
「それは買ってからのお楽しみってことで!」
そう言ってファブリスは俺の手を引っ張って駆け出した。
ここまで来ると本当にデートだな。
けど悪い気分でもない。
ファブリスが俺を連れて入ったお店は指輪とかネックレス、アクセサリーを売っているような高級店だった。
「おいファブリス…?」
俺はここでファブリスが婚約指輪を買おうなんて言い出したらと心配になった。
だがその心配はすぐに無くなった。
「彼女に似合うアクセサリーを選んでくれ。金の心配はしなくていい」
「畏まりました」
そう言うと女性の店員さんは俺とファブリスをカウンターの席に連れて行った。
彼女は俺に派手なネックレスやイヤリングをおすすめしてきたが俺はすべて拒否する。
しかしそのなかで質素で美しい青いブローチに目が留まった。
「これ…」
「このブローチですか?この商品は貴重な鉱石できておりまして『空納』という能力を持っています。しかし…失礼ながらこの商品は当店でも最高級の商品でしてご購入は難しいかと…」
「こんだけあれば買えるか?」
ファブリスが大量の札束をカウンターに置く。
「こ、こんなに!?お客様、この金額ではお釣りが出てしまいますが…」
「構わない。寄付だ。それと俺がここに来たって宣伝したら売れると思うぞ?」
「失礼ですがお客様の職業は?」
「ああすまん。俺はファブリス=ドラグーン。この国の国王だ」
「し、失礼しました!」
店員さんが勢いよく頭を下げる。
まわりのお客さんも注目している。
「そうやってやられるのはあまり好きじゃないんだ。頭を上げてくれ」
「は、はい!」
店員がゆっくりと顔を上げる。
「でもすんなり信じて大丈夫か?俺がもし国王じゃなかったら色々とまずいだろ?」
「いえ!こんな大金を堂々と置けるのは国王様ぐらいです。これだけあれば一生暮らしていけます」
「そうなのか?」
うわぁこいつ金銭感覚、狂ってるんじゃないか?
こいつ無理してたりしない?
「あのさファブリス、こんなにお金を出して大丈夫か?無理してない?」
「ああ、全然平気。じゃあこれもらってくぜ」
そう言うとブローチの入った箱を掴んで外に出て行った。
俺もテクテクとついていく。
ファブリスは噴水のあるところに腰掛けた。俺も横に座る。
「はぁー!お金が飛んでいくぅ!」
「お前、やっぱり無理してたんだろ」
「無理はしてないけど、あんなに一度に金を出すと色々とやれることが少なくなる」
「なんであんなに…」
「いや、だって…」
ファブリスは恥ずかしそうに俯く。
「好きなひとへのプレゼントを買ったお店は、永遠に続いてほしいじゃん?」
「…っ!」
そう言うとファブリスは俺の服にブローチをつけた。
そしてニヤリと笑う。
お前は俺を殺す気か…!
内心ではそう思いつつ俺は顔を真っ赤にしていた。




