25 ルーナと恋愛小説
俺たちの出番は終わったが青バラの森の戦いは終わってないようだった。
どちらかというとドラグーンのほうが押されている。
「おいアルバート爺さん、まだ戦えるか?」
「まだ全然いけますよ」
「なら下のほうを手伝ってくれないか?色々とまずそうだ」
「わかりました」
そういうと爺さんは移動短縮魔法で青バラの森に急行した。
爺さんが戦線に加わると次第に敵は崩れていき、壊滅した。
といってもアルバート爺さんが気を失わせているので死者はあまりいない。
こいつらは縄でしばって捕虜にすることにした。
捕虜を連れてファブリスのもとへ帰還する。
「ルーナ!大丈夫か?けがは?」
「ない。あ、これ捕虜。好きに使って」
捕虜の一人をファブリスの前に放り出した。
「こんだけの人数をどうやって?」
「あの爺さんが殴りまくって気絶させた」
「マジか…そこの爺さん名前は?」
「アルバート=トンプソンと申します」
「階級は?」
「ございません。第七軍は正規軍ではありませんから」
「そうだったな。ではアルバート、褒美としてお前を第七軍副団長に任命する」
「ははっありがたき幸せ」
そう言ってアルバート爺さんが跪く。
「で?ファブリス、一応勝ってきたけどどするんだ?」
「そうだな…捕虜には最低限の自由を与えよう。ロザリア」
「はい。仰せのままに」
ロザリアと呼ばれたメイドが部下たちに指示して捕虜たちを部屋の外に連れて行った。
「よし。捕虜は片付いた。次はアルフレッド共和国とドラゴナイトに降伏するように言わなきゃな。ルーナ、お前は今日はゆっくりと休め。俺は仕事をする」
「わかった」
「部屋で本を読みながらお茶を飲むといい。疲れに効くぞ」
「ありがとう。そうさせていただくよ」
俺は第七軍のみんなを引き連れて部屋から出ていく。
後ろでバタンと扉が閉まる音がした。
「じゃあみんな、ここで解散してくれ。しばらく仕事もないだろうから家でゆっくりするといいよ。必要になったら呼ぶから。さようなら」
「さよなら!」「団長バイバイ!」
みんなは元気にそれぞれの家へと戻っていった。
俺はみんなが見えなくなったのを見届けると扉に寄っかかってそのまましゃがんだ。
「本を読みながらお茶か…」
俺の脳裏には俺のことを心配していたファブリスの顔がはっきりと浮かんでいた。
俺はベッドに腰掛けると近くに置いてあった本を手に取った。
この小説、恋愛ものだけど結構面白いんだよな。
前世ではラノベとか漫画ばっかり読んでたけどこういう小説も悪くない。
この小説の主人公は女の子で目の前から突如として消えてしまった彼のことを想いながら生活していく物語で最後の再会したシーンはマジで泣けた。
俺はお茶を手に取るとそれを一口、口に入れる。
前世では陽キャでも陰キャでもなかったし、そもそも男子校だったから恋愛とかに触れる機会があまりなかった。
だから余計に恋愛とかへの憧れがこうしてこの小説で泣いた理由のひとつかもしれない。
俺は元々、女性恐怖症気味だったからこうして女性のからだになってるのかな?
だとしたら神様はかなり意地悪だな。マジ恨むわ。
俺はそんなことを考えながらもう一度最初から本を読み始めた。




