プレゼント
遅れてすみません
「ウプっ!!」
思わず吐き出しそうになったが、噛まずにそのままの勢いで飲み込んだ。
「ゲッホゲホ…ウェ…」
むせ返った。
意識もはっきりした。
「ぐ…ェッホゲッホ」
だんだんと気持ち悪くなり、その場で床に倒れ込んで、咳き込んでいた。
「うぅ〜…」
咳が止むと、そのまま横になりうなだれていた。
そうとう気分が優れなかった。
そこに母が入ってきた。
「どうしたんだい、さっきから騒々しいね。」
「ゴホッ…なんでも、ねーよ…。」
「へぇ。」と、落胆しながら出ていった。
やっと落ち着いて来たので、状況を整理する事にした。
とりあえず、生臭い匂いのするプレゼントの入っていた空箱を、呼吸を止めながらグチャグチャに潰し思いっきりゴミ箱に突っ込んだ。潰している間にあのサンタの顔を思い浮かべながら。
元々はと言えば、あいつのせいなんだ。
どこからとのこのこと現れて、変なもの押し付けて、また何処かへと帰って行った。
こんなものを疑いもせず受け取った自分も悪いが、今はそれよりもサンタへの怒りでそれどころじゃなかった。
だが、ゴミ箱から香ってきた匂いで残念ながら、少し冷静を取り戻した。
あのサンタが何者かはこの際どうでもいい。
まずは自分が食べた物だ。
形は少々歪な立方体。
匂いは強烈すぎて判断がつかない。
味は噛んではいないので、あまり分からなかった。
だけど、舌に残ったカスを食べた時、確かに「美味い」と感じた。今まで食べたものの中でもかなり上位に入るくらいに。
たしか、あのサンタは俺の全てを知っていると言った。
つまり、俺が美味いもの探ししているのも知っているのかもしれない。
案外いい奴だったのかもしれない。が、見ず知らずの奴が自分の事を「全て知っている」と言うのは少し不気味だった。
一つ一つ意味あり気な発言。
何もかもが怪しかった。
プレゼントの中身はあらかじめ聞いておくべきだったのかも。
だが、今になって思うと、食べるまで抵抗があったが、食べると案外すんなりいく感じだった。
また食べてみたい。
いつの間にか、怒りが食欲に劣り始めていた。
そして、やはりあの食べ物は美味しいということ。
だけど、あれの正体は分からないし、検討もつかない。
一体何処にあれはあって、どうすればあれが食べられるのか。
いつのまにかそのことばっかりになり、怒りは食欲の前に完全に消えてしまった。
「ふーむ」
いろいろと考えをまとめていると、居間の方から母の呼び声が聞こえた。
行ってみると、ご飯が並べられていた。
いつの間にかこんな時間か…
時計を見たら既に晩飯の時間になっていた。
目覚めたのが昼だからと思うと、だいぶ時間が経っているようだ。自分は一体何をやっていたんだと、少し自己嫌悪に陥った。
そんなこと考えながら、体は無意識に食べる準備をしていた。
「いただきます。」
既に箸はおかずに伸びていた。
ご飯もおかわり。
いつもならそのはずなのだが、今日はあまり食べなかった。
体は自然に食べようとするのだが、どれだけ食べようと満たされなかった。
それが、晩飯を一口食べただけで分かってしまったので、母がびっくりするほど、今日の晩飯の消費量は少なかった。
「なんだか、今日はいいや。」
「あんた大丈夫?本当、病気とかにかかってない。」
「うっせ。そんなわけねーだろ。」
盛られた分の食事を完食し、食器を台所の流しに置いて居間を出て行った。
その後、また寝室に戻り考え事をし始めた。
今日は食べなかった理由は恐らく、あれせいだろう。
あれを知ってしまったら、それ以外はもう食べれない。そんな味だった。
思い返せばするほど、なんだかとっても美味しく感じたような気になる。
ダメだ、もう一回食べたい今すぐに。
何処にあるんだ!
部屋を飛び出し探しに行こうとしていたが、ふと我に帰った。
そのすぐ後にも、また「食べたい」という衝動に駆られ、同じ行動をとった。何度も何度も。
おかしくなった自分に焦りを感じ、今日は寝ることにした。
寝付くまでが大変だったが。
寝付くまでも何度も同じ
次の日の朝。
目覚めはさほど悪くない。
昨日の衝動も今は治まっているいるようだ。
だが、また起こるかもしれない。自分の中で注意を呼びかけ、腹が空いたので、とりあえず居間へ向かった。
今週もなんだかんだ忙しくなり、遅れました、すみません。
物語自体は現在クライマックスに入っているので、頑張って書いています。
文を考えるのにも時間がかかったりしています。
それでは、今回もここまで読んでいただき本当にありがとうございました。
次回も読んでいただけると幸いです。
それでは