55 村のお嬢さんたちとお話しましたわ!
「私は一人で大丈夫ですので」
なんて、ハルムが一人で畑へ行ってしまったのが今朝のこと。
わたくし、何かしてしまいましたかしら。
仕方なく、村へと向かう。
青い空の下、なんだかモヤモヤとした気分でテクテク歩く。
このブーツにもすっかり慣れましたわね。
「アセリアちゃん!」
そこで声をかけてきた誰かがいた。ウィンリーだ。
ウィンリーは、同じ年頃の女の子2人と一緒にいた。
「ウィンリー」
「あれ?なんか元気ない?」
ウィンリーは、アセリアの表情に気付いたようだった。
4人は、村の外れにある、木陰へと足を運んだ。
小麦粉と卵を混ぜて焼いた甘くない焼き菓子を口に運ぶ。
素朴な味。
ハルムにも食べさせたいですわね。作り方を聞いておかなくては。
明るい朝の光の中で、4人は輪になって座る。
「で、どうしたの?」
その声には、好奇心が滲む。
けれど、ここに住む以上、相談事は村の女の子たちにするのが一番だろう。
「ハルムを、布団にお誘いしたんですけれど」
「!!」
少女たちが、これ以上ないほど目を丸くし、口を丸く開けた。
「そういう方向の相談なのね……!気が回らなくて悪かったわ!」
目をキラキラさせたまま平静を装った一人の少女、ベラが好奇心を隠しきれないままアセリアに尋ねてくる。
「それで、何か問題が?」
「逃げられてしまいましたの」
「なんですって!?」
声を上げたのは二人目の少女、ミラだった。少し幼い顔立ちは、手を口に当て、感情を押し殺そうともしていない。
「でも、何か理由があるはずよね」
ウィンリーが指を口に当てた。
「もしかして……!」
ミラがハッとする。
「カーテンがないからじゃない!?万が一見られたら困るもの!カーテンを買った方がいいわ」
「カーテンですの?注文はしておりますわ」
カーテンで暖が取れますの?
もしかして、カーテンがあることで、部屋の暖かさが逃げないとかありますかしら。
「それより、ハルムには寒い思いをして欲しくはありませんの。布団が必要なのではなくて?」
そこでミラがガバッと立ち上がる。
「それは、相手も同じ気持ちでいるんじゃないかしら!アセリアちゃんに寒い思いをしてほしくないのよ!小さい布団じゃ足りないのよね!そりゃあだって……夜にはね!」
「そうですわよね。何より布団が必要ですわよね」
む〜っと考える。
同じ布団に誘うのは失敗しましたもの。けど、そうであればやはりハルム用の布団をわたくしが手に入れるべきですわ。
「買うには、やはり商人の手から?」
「そうなるわね。この村には羊がいないから」
ウィンリーが落ち着きを取り戻そうと、焼き菓子をひとつ口に押し込んだ。
それにはやはり、お金がいりますわね。
「そういえば、わたくし、畑を回復させる計画があるのですけれど……」
とハーブを売る計画をアセリアは少女たちに話し出した。
少女たちは乗り気だった。
むしろやけに、「きゃ〜」だなんて声をあげるほど。
少女たちは3人とも、アセリアの両手を握りしめた。
「私たち必ず、この計画を成功させましょうね!」
「そう!たくさん売って畑も回復させて、更にあの小さな小屋を、居心地よくしないとね!」
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