50 必ず道を見つけてみせますわ!(2)
薬師の家の中は、スッキリとした匂いで溢れていた。
きっと薬の匂いなのだろう。
案内された奥の部屋の周りには、薬を入れてあるらしい瓶が整理され、棚の上にたくさん並んでいた。
それ以外にも、壁に渡された紐に多種多様な草が吊るされていた。
「どうかしたの?お嬢さん」
と、黒い鉄のポットでお湯を沸かしながらレアクが尋ねてくれる。
「そうですわね。ええ。わたくし、あの広大な畑を再生させたいと思っていますの。方法はわかりますのに、ここにないものも多くて」
「なるほど」
レアクは憂いの表情を見せた。
「あの畑は、やはり弱っているのね」
カチャカチャとカップが準備されていく。
ティーポットの中に、レアクは棚から取り出したいくつかの草を入れていく。
それを見たアセリアは、目を丸くした。
草……ですわよね?あれはお茶用の葉でしたの?薬かと思いましたのに。
少しドキドキしつつ目の前に出されたカップを見る。
中は、薄い黄色に染まったお茶だった。……それをお茶と呼んでよければ。
「これは……、なんですの?」
怪訝な顔が出てしまう。
「ハーブティーよ。お嬢さんは飲んだことがなかったのね」
「そう、ですわね。いつも紅茶でしたわ。ハーブで入れたお茶ですの?」
「そう。ハーブには効能があるの。疲れたお嬢さんに少しでも元気になってもらう、ね」
「そうですの」
一口すすると、スッキリとした香りが身体の中に落ちていく。
「温かい、ですわ。それに……、乾燥した葉を使いますのね」
ハーブは、乾燥させて使うこともありますのね。薬草らしい薬草もあるけれど、ハルムのスープに入っているハーブと同じようなものもそこここに見られる。もしかしたら、乾燥させて売ることも出来ますの……?
「そうね。薬草として使う時や、お茶として入れる時は、乾燥させるの。この時期以外は他のハーブも乾燥させていることが多いわね」
「そうですのね」
王都では、お料理のハーブを乾燥させて使うなんて見たことがなかったですわ。けど、王都の薬師が乾燥させていたかどうかは知りませんでしたわね。
「薬草として使う時は、必ず乾燥させるものですの?」
「そう。他にも、香袋に入れる時は乾燥させるわね」
「香袋……!」
確かに、アセリアも香袋は見たことがある。とてもいい香りのする小さなレースのついた袋で、中にラベンダーが入っていると言われたっけ。
「それ、いいですわね!」
そしてアセリアは、畑を回復させるために豆が必要なこと、豆を手に入れるためにはお金が必要なことを話した。
「だから、その香袋を売るのはどうですかしら?」
レアクは穏やかな瞳をアセリアに向けた。
「そうね。ハーブは確かに売れるほど生えている。それぞれの家で乾燥させる量を増やせば、売れるかもしれない。それはいい考えかもしれないわね」
乾燥させていれば、売ることも出来ますからね!いいアイディア!




