35 わたくし、二人のために何か手に入れてみせますわ!(1)
「アセリアちゃん」
「あら?わたくしのことですわね?」
声をかけてきたのは、ウィンリーだった。
「珍しいわね。一人?」
「ええ、そうですわね。今、小屋の修理をしていて」
「ああ〜、あのボロい小屋ね」
ウィンリーが目をくるりとさせる。
「アセリアちゃんは?」
「わたくしは……」
村に来たはいいものの、この村には店などはない。
では、何か食料を調達できないものかと村近くを彷徨っていたところだった。
「……木の実探しですわ」
と無難な言葉を言っておく。
「はは〜ん」
と、ウィンリーは素直に言葉を受け取った。
よかったですわ。疑われてはいないみたい。
「この苺が実る前って、なかなか実がないの。冬のものの残りをみんな血眼で探すのよ。今日だったらそうね。ついてきて」
そして結局、ウィンリーについて畑の裏の森までやって来た。
「こっちの方は実がつく木なの。リスが食べてしまうから、あまり落ちてないんだけどね」
と言いながら、二人で木の実を探し回る。
あるともないとも言えない木の実を。
小さな木の実を探し出し、ポケットに入れていく。
時間はかかったけれど、それだけまだ帰ることを考えなくていいような気がして、少し安心した。
太陽が昇っていく。
そろそろ屋根の修理は終わりましたかしら。ハルムは、わたくしが居ないことに気づきますかしら。
木の、カサカサとした表面を見る。草の、濃い緑に光が当たるところを見る。
その度にハルムが一緒ではないことを思い出し、アセリアはハルムのことを思った。
それから、程なくして、
「ウィンリー?」
と、どこからか朗らかな声がした。
二人してパッと顔を上げると、そこに居たのは、背の高い若者だった。
薄い髪色、穏やかな瞳。
背には、仕留めたらしいリーフを背負っている。
ドキリとする。
死んでいるリーフを見るのは初めてだ。
目を逸らす。
「バルド」
ウィンリーがキョトンとその男性を見た。
「狩りに行ってたの?最近見ないと思ったら」
「ああ。リーフ狩りにハマっててね」
「今日は一匹だけ?」
「そ。いいだろ、家族の分はあるんだから」
どうやら、ウィンリーの知り合いらしい。話ぶりから見て、この村の者らしかった。
バルドと呼ばれた青年が、こちらを見る。
「このお嬢ちゃんは?」
「その人は最近引っ越してきた人なの」
「へぇ……。初めまして、お嬢ちゃん」
「はじめまして、ですわ」
スカートの端を持ち上げ、丁寧にお辞儀をする。
「バルドの家は、粉屋なのよ」
「粉屋?」
「パンの材料になる。小麦とかね」
「そうですの」
そういえば、粉屋に行ったことはまだない。
「じゃあ、案内していただけますかしら」
「おう!そう来なくっちゃね!」
そんなわけで、3人は、村はずれの水車小屋へ向かった。
ハルム、見ててくださいませ。わたくし、パンを手に入れられるかもしれませんわ。
新キャラ登場です!また盛大にすれちがってそうですねぇ。




