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お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


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33/61

33 今度は屋根修理ですわね!任せてくださいませ!(2)

「なんでですの?」

 と言ったアセリアに、ハルムは、

「どうしてもですよ」

 と返事をしただけだった。


 周りに居たおじさまたちから、

「おーぉ」

 と冷めた声があがった。

 ハルムが静かにそちらをじっと見ると、おじさまは気まずそうに、

「いいじゃねえか。減るもんじゃなし」

 なんて言う。


 ハルムが、屋根に登っていく。

 屋根に当たる陽の光が、視界に入り、とても眩しい。


 しばらくすると、頭上からハルムの声が聞こえた。

「ところどころ、瓦が割れてるところがありますね。何か石を探して、埋めたほうがいいかもしれません」


「そうですの」


 しばらく経つと、スルスルとハルムが降りてきた。


「さすがに余分な瓦はないので。何か、水に強いもので埋めないと」


 少しだけ不満に思っていた気持ちをなかったことにする。

 きっとハルムだって、屋根の上に二人は危ないとか、そういう理由ですわよ。


 そこへ、後ろに居た子供が声を上げた。

「薄い石なら、河原に落ちてるよ」

 と、持っていた石を見せてくれる。


 それは、どこかの地層から落ちてきたような薄い岩のような石だった。


「確かに、これなら応急処置にはなりますね」

「じゃあ、これから拾いにまいりますわね?」

 やっとやることが出来たと、ワクワクしながらアセリアが言う。

 けれど、子供があっさり、

「僕たち、もっとたくさん持ってるよ。あげるよ」

 と何処かへ走って行ってしまった。


「拾いに……まいりませんわよね」

「そうですね。あの少年を待ちましょうか」

「そう……ですわね」


 小屋の庭は、酒まで煽りやんややんやと騒がしい。

 柵に飛んできた小鳥も、あまりの騒がしさにすぐに飛んでいってしまう。


「これだよ!」

 と先ほどの子供が、すぐに石をいくつも抱えて走って来た。


「そんなに走っては危ないですわよ」

 声をかけると、

「へへっ」

 と嬉しそうに笑った。


「兄ちゃん、上に行ってなよ。オレ、ポッケに入れてるから、少しずつ持って上がるよ」


 あら。それは心許ないですわね。ハルムだって許すはずありませんわ。


 なんてタカを括っていたところ、ハルムが、

「じゃあよろしくお願いしますね」

 なんて梯子を登っていく。


 あら?


 ハルムが登り切ったあと、子供が後に続いた。


 あらあら?


 上を見上げる。

 両耳に、また騒ぎ立てている村民たちの声が届く。

「よぉーし、がんばれよ!チビ」

「兄ちゃんちゃんと見てるんだぞ!」


 なんですの?

 なんでですの?

 あの小さな子供より、わたくしの方が、頼りないなんて思われましたの?


 アセリアは、そんな光景をいつもの微笑みで眺めた。

 そして、ひとしきり眺めると、くるりと後ろを向いて、その微笑みのままに庭を出ていった。

 背後では、屋根の上でハルムと子供が屋根の修復作業に精を出していた。


 まだ小屋が眺められる小高い丘の上で振り向くと、アセリアは黙ったまま小屋の光景を眺めた。


 そしてまた、村の方へと一人、歩いて行ったのだった。

ハルムが怒った理由なんて、なかなかアセリアに届かなそうですね。

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