表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/59

29 掃除をすると心まで綺麗にしてくれますね

 棚の上、テーブルの上、暖炉の上。

 キッチンの中、床の上。

 手が届くところから、布を使って拭いていく。

 屋敷のメイド達は他に埃を払う道具を使っていたはずだけれど、そのようなものはこの小屋にはないようだった。


 アセリアも、

「うう〜ん?」

 なんて呟きながら、棚の上を拭いていた。


 後ろ姿を見守る。

 アセリアの一つに纏めた髪が揺れる。


 今まで8年一緒にいたけれど、あんな風に髪がぴょこぴょこと揺れるのを見たのは初めてだった。


 誰がなんと言おうと、アセリアは頑張っていた。

 生きようとしていた。


 一生懸命な横顔を見ると、素直だな、なんて思う。


 時々文句は言うものの、真面目にやらないことなんてなかった。


 その姿に見惚れて、目が合いそうになる。

 こちらを向いたアセリアの視線を避けて、慌てて目を逸らした。


「屋敷も、こんな風に誰かがお掃除をして、あんなに綺麗だったのですわね」

 アセリアが、しみじみと呟く。呟いた声が、部屋の中に温かく溶けた。


「そうですね。やってみないと、私も分からなかったと思います」


 とはいえ、掃除自体は嫌なものではなかった。むしろ不安だった心ごと、綺麗になりそうな気さえした。

 知らなかった。アセリアとする掃除が、これほど楽しいものだとは。


 この新しい生活は、正直嫌なことは何一つなかった。生活を立て直さないと、なんて義務感のようなものはあるものの。

 毎日に新しい発見がある。

 見たことがないものも、この世界にはこれほどあったのだ。


 背伸びをして壁を拭こうとしたところで床に転がるアセリア、とか。


 今までどれだけ一緒に隣に居ても、どれだけ一緒に勉強をしていても、そんな姿を見ることなんて叶わなかったはずだ。


「ふっ」

 と笑ってしまう。

 最近の俺は、ポーカーフェイスを作るのが下手になったみたいだ。


 アセリアと同じタイミングで、王城へ上がれるよう、這いつくばるように勉強をしてきた。

 屋敷の小間使いに、家の管理、語学、計算、政治、経済などなど。

 それで満足していた。期待にも応えたいと思っていた。期待にも応えられる、と。


 過去を否定するつもりはない。

 あの過去があってこその今なのだから。


 けれど、世界はそれだけじゃなかった。

 アセリアについても、あれが全てではなかった。


 なんて人生なんだ。




「ハルム、服を脱いでもよろしいですわよね?」


「宣言したら脱いでもいいわけじゃないんですよ?」


「けど、こんな埃だらけの服で食事だなんて、食事に対する冒涜ですわ」


「裸で食事するのは、何に対する敬意なんです?」


「な……っ、ちゃんとキルトは巻きますわよ」


「それだとうまく動けないでしょう。食べさせましょうか?」


「ええ、お願いしますわ」


「……お嬢様はバカなんですか?」


「あなたは生意気な執事ですわねっ」

だんだんと住める場所になってきましたね!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ