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お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


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27/63

27 害獣には負けられませんわ!(3)

 アセリアはぎゅっと目をつむる。

 もうダメですわもうダメですわもうダメですわ!やっと明るくなってきた人生もここでお終いですの!?ああ、なんだか身体が安らかな気持ちになってきましたわ。なんてあたたかい……。


 ふっと目を開ける。

 目を開ける、と、そこに見えたのは、誰かの腕だった。


「!?!?!?」


 こんなに近くに誰かの腕なんて見たことありませんわ。ダンスの時だって……。


 つまり、それはダンス以上に誰かに密着している証拠だった。

 温かい腕。

 わたくし、腕に抱かれていますわね……?


 アセリアは視線を上げる。


 他でもない、ハルムの横顔。


 ぽぽぽぽぽっと顔が熱くなるのを感じる。


 ハルムは、アセリアを庇うように抱きしめ、害獣と対峙していた。


 なんですの、この状況。

 ハルムはわたくしを守ろうとして?

 そんな……!騎士ではなくただの執事ですのに……!


「わ、わたくしも戦いますわ……!」


 ガバッと自分の足で立ち、害獣をこの目に収めようと鋭い視線を投げかけた。


「あら?」

 巨大な動物が牙を剥いているんじゃ、なんて想像したけれど、そんなものはどこにもいない。

「あらあら?」

 目の前にいるのは、目を閉じて倒れている小型の動物だけだ。

 アセリアでもなんとか抱えられそうな小さな動物。


「……死んでますの?」

「いえ、私は何もしてないのですが」

「これが、リーフですの?」

「はい。おそらくは」


 じ……っと見ていると、リーフはひょこんと顔を上げた。

 死んだふりでしたのね?


 目が合い、お互いにびっくりしていると、リーフは恐る恐る森の奥へと帰っていった。

 もふもふの尻尾を揺らし、人間のいない長閑な森の奥へと。


「ふっ」

 なんだかおかしくなる。

「なんですのあれ。愛嬌のある動物ですわね」


 ハルムが、アセリアの顔を驚くような目で見て、ふっと緊張を緩めた。

「そうですね。けど、あれがたくさんいたら、確かに作物は根こそぎ持っていかれそうですね」

「そういうことのようですわね」


 一件落着、と呼ぶには、アセリアの背中に感じるハルムの手のひらが気になった。


「あの……ハルム」


「なんですか」


「近過ぎませんこと?」


「あぁ」


 お互い何でもないように、足を後ろに一歩引き、向かい合ったままゆっくりと離れた。

 お互い顔は赤かったけれど、それはお互いに見なかったことにした。




「あはははははは」

 ウィンリーと合流し、そのことを尋ねると、ウィンリーは大きく笑った。

「そうよ。それがリーフ。怖くはないんだけど雑食でね。食料を放置してしまうと必ず取りにくるわ」


「そうでしたのね」

 アセリアは、あの愛嬌のある動物を思い出す。


「面白い動物でしたわ」


「まぁね」

 とウィンリーが頷いた。


「またご一緒してよろしいですかしら」


 ドキドキしながら尋ねると、ウィンリーは、

「もちろん」

 と笑った。

初めてのお友達、ですかね。

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