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お嬢様は追放されました!  作者: 大天使ミコエル


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175 君の名前を呼んだ夜(3)

 引き寄せられるように、アセリアに近付き、跪く。


「アセリア」


 呼ぶと、アセリアが真っ直ぐに俺を見る。


「ええ。わたくしも、あなたのことを愛していますわ」


 それは、予想外の言葉だった。


 息が止まりそうになる。


 アセリアが、俺を?


 思ってもみなかった。


 ああ、けれど。

 ここで二人で居たことは、二人にとって大切な事実だったんだ。


 アセリアが、泣きそうな瞳で、俺のことを覗き込む。

 嬉しそうで、そして俺のことを試すような視線を含んで。


 本当なのか。

 本当に、アセリアが、俺のことを。


 言葉に出来ない気持ちを抱えたまま、ハルムはアセリアを抱きしめた。


 背中に回ったアセリア手に、力が入るのを感じる。


 優しく受け止めてくれるアセリアを、また愛しく思う。


 優しい香り。

 鼻をくすぐる金色の髪。

 柔らかな首筋に頰をすり寄せると、またハルムの頰を涙がこぼれた。


 顔を離したアセリアが、ハルム顔を覗き込んだ。


「また、泣いてるんですの?」


 アセリアがそう言って、少しだけ笑った。


「……しょうがないだろ。夢みたいなんだから」


「あら、わたくしはここに居ますわよ」


 アセリアの瞳が、下から見上げる瞳になった。


 更に近づこうと、膝をベッドへ乗せると、ギシリ、と木製のベッドが軋んだ。


 ハルムから視線を外さないようにしているアセリアのまつげが、意味ありげにまたたいた。


 視線が合う。


 ハルムは、アセリアの金色の髪を掬いあげる。


 息の仕方を忘れたまま、乞うように、そこに命の源があるんじゃないかというように、ハルムはアセリアの唇にゆっくりと口付けた。


 一度目は恐る恐る。

 二度目はもっとはっきりと。


 そしてハルムはそのままアセリアを抱き竦めると、その唇に三度目のキスを落とした。


 抱きしめると、


「ハルムったら」


 と、柔らかな声が耳元で聞こえた。

 吐息混じりの、優しい声だった。




 カーテン越しに、明るい陽射しが入り込む。

 ベッドに座りゆるゆるとアセリアの寝顔を見ていたハルムは、ニヤける顔をどうにか抑え付けるのに必死だった。

「んん……」

 アセリアがむにゃむにゃとした何かしらの言葉とともに、目を覚ます。


 伸ばされてきたその手を、ハルムはきゅっと握りしめた。


 幸せそうに握り返してくるその手を、愛しく思う。


「おはようございますですわ、ハルム……」


 まだ寝ぼけているようで、アセリアはまた目を閉じてしまう。


「おはよう、アセリア」


 名前を呼ぶだけで、アセリアが「ふふっ」と笑う。


「あなたがここにいてくれるのなら、わたくし、もう一度眠ってしまおうかしら」


「……起きていても一緒に居るよ」


 そんな当たり前のことを口にすると、またアセリアが「ふふっ」と笑った。

次回で最終回でいいかな?まあ、どちらにしろ189話まで番外編やって190話であとがきの全190話でいこうかと思います。

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