113 台本会議をいたしますわよ!(2)
「じゃあ、あとの役を決めますわね」
アセリアは、一旦、空気を変えようと、指をピッピッと振った。
「乙女の父親と森の精霊たちですわ」
「はーい」
一人の少年が手を挙げる。
「どうしましたの?」
「役に当てはまらなかったらどうすんの?」
「みんな役に当てはめたらよろしいじゃありませんの」
「でもそれってさ、ヨンダイ精霊のことだろ?4匹じゃん」
「……よ・に・ん、ですわね」
そう。確かに、ユニコーンと共に森に住む精霊は四大精霊だ。
火、水、風、土。自然を司る精霊たち。
「別に、乙女に母親がいたり、精霊を5人にしたりしてはいけないということではありませんでしょ」
そう、楽しくやるための舞台。
アセリアは舞台というものは嗜んだことはないけれど、王都の舞台では、よくラストを変えた劇だの、脇役の物語を別の人間が描いたりだのをやっていると、調査書で読んだことがある。
5人目の精霊を何の精霊にするかは考えなくてはいけないけれど。
「えー!そんなのいいの!?」
子供たちは思いの外真面目で、アセリアは「ふふっ」と笑った。
「ええ。かまいませんわ」
「じゃあ、オレ火の精霊!」
と、一人の少年が立ち上がった。
するとその隣の少年も両手を上げる。
「じゃあオレは力の精霊!」
その瞬間アセリアは「ふっ」と笑ってしまった。
力の精霊?
四大精霊にそんなものはいない。
じゃあこれが5人目か。
けど、火、水、風、土の4人に、力だとバランスが少々良くないのではないだろうか。
大丈夫ですかしら。
そんなことを思っていると、ソフテがこれでもかとジャンプした。
「じゃあ、あたしかわいいの精霊〜!」
をこまでくると、アセリアももうダメだった。
「ふっ……ふふっ」
かわいいの精霊!
火の精霊に力の精霊にかわいいの精霊ですの!?まあ、それならバランスも取れていいかもしれませんわね。
もう、笑いを堪えて、
「いいですわね」
と一言口にするので精一杯だ。
そこで、その隣にいた女の子が立ち上がった。
「じゃあ、私は猫の精霊!」
猫の!?
「ふふふふふふふ」
手を口で隠すけれど、子供たちには笑っているのがバレてしまっていることだろう。
こんなの初めてだ。
笑いを抑えられなくなるなんて。
そこで弾けるように、少年がジャンプした。
「オレはドラゴン!」
もう、精霊ですらなかった。
「え、ええ!いいですわね!」
笑いながら、それだけを言う。
「ドラゴンって精霊なん?」
「かっけーから大丈夫っしょ」
もうアセリアには、そんなゆるい会話も、もう笑いを堪えるネタにしか聞こえなかった。
それから、残りの少年2人が、乙女のパパとママになった。
アセリアが、首を傾げる。
「ママでなくても大丈夫ですのよ?兄でも弟でも」
すると男の子がニコッと笑顔を見せる。
「ママがいないとかわいそうだから。大丈夫ですわ!」
ですわ!
なんですの!?
それ、わたくしの真似っこですの!?
「ふふふふふふ」
またアセリアが手で口を抑えることで、配役は決まったのだった。
配役が決まりましたね!
「ドラゴンって喋りますの!?」




