108 新しい計画を始めますわよ!
作香袋を作っていた作業所に、ソラマメの袋と花の種の袋を持っていった。
アセリアは、満足げに頷く。
実際、これ以上ないほど満足だった。
自分たちで手に入れた豆。自分たちで手に入れた未来の希望。
ポンポン、と、中に入っているソラマメの重みを感じながら、袋を叩く。
村長の家に呼ばれたのはその時だった。
「アセリアちゃん、村長が呼んでるよ」
声をかけられ、ハルムと共に、村長の家へと向かう。
そこにいたのは、村長、オタルさん、オエグさん、それに粉屋のご主人であるバストさんだ。
「どうなさいましたの?」
何か問題があったのかと入っていったが、みんなの顔つきを見たところ、そうでもないらしい。
「アセリアさん、ハルムさん」
村長が、改めて名を呼ぶ。
村長の手には、片手で収まるほどの袋が載っていた。
「これを、お二人に」
「なんですの?」
言いながら、受け取って、その重み、その手触りに懐かしいものを感じた。
アセリアは真面目な顔になり、その袋の中身を見ないまま、ハルムに渡す。
「これを、確認してくださいませ」
「はい、お嬢様」
ハルムも、背筋をピンと伸ばす。
中に入っていたのは、20枚もの金貨だった。
「なんですの?」
少し不満げに村長の顔を見る。
村長は物怖じせず、口を開いた。
「ここまで出来たのは、お二人のおかげだ。君たちには、貯えがなかっただろう?少ないが、とっておいてほしい」
アセリアは、不満な顔のまま、腕組みをし、頭を反らせた。
「わたくしがこうして豆を買ったのは、この村の一員であり、自分たちの生活のためにやったことですわ。礼や報酬など、いりませんのよ」
「けどねぇ」
村長と、村の面々は顔を見合わせる。
「みんな感謝してるんだ」
アセリアは、困った顔でハルムに視線を送った。
ハルムも、少し困った顔をしていた。
「ふぅ」
と一つ息を吐く。
「では、これはいただきますわ」
ハルムから金貨の袋を受け取る。
そこに収められている気持ちを思えば、かなりずっしりくる代物だ。
「これを、どう使おうがわたくしの勝手、ですわよね?」
「ああ。もちろん」
「では、わたくしはこれで、祭りを開きたいと思いますわ」
「祭り、ですか」
村長が、アセリアの本心を探ろうとでも言いたげな視線をよこしてきた。
「ええ。麦を取って、豆を植えたら、収穫祭をいたしましょう。お酒にお肉に。広場に小さな舞台を作って、演劇も準備しますわ」
「そんな……!」
もう泣きそうな目で、村長はアセリアとハルムを交互に眺めた。
「そんなことに……」
「毎日十分、食べ物はいただいておりますわ。輪作が始まって橋ができれば、この村ももっと豊かになりますし。今、切り詰めてお金を払うだなんて、そんなことをして欲しいんじゃありませんのよ」
そこでそのまま、アセリアは収穫祭についてその場のメンバーたちと話し合いを始めたのだった。
秋ごろに収穫祭が出来そうですね!




