101 差し入れをいたしましょう
午前中、広場で手を振ってきたのはウィンリーだった。
「アセリアちゃん、あのね、」
ニコニコと話すウィンリーと一緒に、ミラとベラがいる。今日はそれだけではなく、粉屋の奥さんを始めとする女性たちが集まっていた。
「これからみんなで橋造りの人たちに食事を作ることになったの。一緒に作ろう」
「あら、いいですわね」
そんなわけで、香袋の作業場は、急遽食事を作る場所となった。
作るものはサンドイッチ。
ミラとベラが、
「誰に作るの?」
「もちろんよね?」
とニヤニヤしている。
「誰か、特定の人に作ればいいんですの?」
「そうだよ。あたしのはお父さんに」
ウィンリーが丁寧にパンを薄く切る。
「じゃあわたくしは、ハルムにですわね」
ミラがニヨ〜っと笑顔になった。
「だよね〜」
「……バルドにはいいの?」
ウィンリーがこちらを振り返る。
「あの方とは特に親しくはありませんわよ?」
「そっか」
ウィンリーが少しだけ苦笑した。
女の子たちが、丁寧にパンを切り、野菜を切る。
野菜は、ニンジンにレタス。
どうやら近くの家で、ベリーのジャムを作るチームもあるらしい。
バン!
その時、作業場の扉が開いた。
太陽の光をバックに、立っていたのはオエグさんだ。
「みんな、これもお使い」
と言って出してくれたのは、手のひらいっぱいのチーズの塊とバターの塊だ。
「キャー!」
歓声が上がる。
「ありがとうオエグさん!」
「さすがうちらの姉御!」
オエグさんはその歓声に手を振ると、すぐにスカートをひるがえし行ってしまった。
アセリアも辿々しいながらも、なんとか見よう見まねでニンジンを薄く切り、パンにチーズやレタスを挟んでいく。
「うまいじゃない、包丁」
ベラが顔を上げた。
「ハルムに教わりましたの」
「ほんと、なんでも出来るんだ」
「そのようですわね」
そうしてできたサンドイッチは、なかなかに豪勢だ。
「みなさん、そんなに召しあがりますの?」
「そりゃあ、それぞれ二人分だし」
「……わたくしの分も?」
「そりゃ、そうでしょ」
それはそう、ですわよね。
けれど二人で食べるものを作っているのだと気付いた途端、なんだか力が入ってしまう。
ただパンにバターを塗って、野菜やチーズを挟んでいるだけだというのに。
そして数十分後。
アセリアの前には、なかなかに背の高いサンドイッチの塔ができたのだった。
「半分に切ってバスケットに入れると綺麗よ」
そんなことを聞いたものだから、アセリアは包丁を振りかぶる。
ぐにん。
サンドイッチは想像よりもよく滑るものであるらしかった。
シェフはこんなことをしてましたの?
結果、具がはみ出していたり、サイズが違ったりしたサンドイッチをバスケットに入れる。
バスケットの半分は、丸パンに、グーズベリーとブルーベリーのジャムが収まった。
女性たちはガヤガヤと、それぞれ手にバスケットを持ち、川へと向かったのだった。
楽しそうなガールズトークです。




