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モンスターパニック

俺はその日夢を見た──


眩い光に揺らめく8人の戦士たち──


そして──巨大な何かに立ち向かう俺達──足元に横たわる血塗れの冒険者たち──


7人はチビ、クロ、ヒカリ、ジーク、ライゴ、アリス、アリサだった──


見覚えのない1人──


二足歩行の真っ白な狼だ──


キラキラと優しい瞳だが腕には鎌が。鎌の反対側には宝珠が付いている。どうやら白魔法使いの様だ。白魔法使いとは回復や補助が専門の職業。冒険者になる人は珍しく現場ではとても重宝されている。


全体をよく見ると足が鷹の様に3本の大きな爪。背中には真っ赤に燃える巨大な翼を携えている。


グリフォンに近いが美しさはペガサスの様だった。


赤い翼の生えた狼は「ハッハッハッ」と俺にスリスリと擦り寄ってくる。足元に横たわる冒険者達を白魔法で癒している。回復した冒険者達は一目散に逃げ出す。


巨大な何かは俺たちを見下ろすと2つの刃を持つ鉞をおおきく振りあげ一気に下へと振り下ろした。


ガバッ!!


「はぁはぁ…ゆ、夢か…」


引越しした当日、いきなり魘され周囲を見るとなぜだか全員が俺の寝室で寝てやがる。


いや。寝室でじゃない。俺のベッドでだ!


チビ、クロ、ヒカリは俺にケツを向け尻尾がフリフリと気持ちよさそうに動いている。ジークに至っては俺の服の中に入り込んでいた。


流石にライゴはベッドへ入れなかったのか俺のベッドマットとベッドの間に潜り込んでいた。器用なやつだ。


アリスとアリサはフワフワと空中を散歩していた。しかも目を開けたままだ。もしもこんな所を他の誰かが見たらポルターガイストだと万人が思うだろう事態だ。


俺はそーっとベッドを抜け出すと顔を洗いに1階へ向かう。


この屋敷には正面から裏に回ると中心が半円状に吹き抜けており真ん中にはデカいプールが…


!?…へ?


夢だったはずだった…流石にもう仲間は増えないと思っていた。

斥候、暗殺、運用員、特攻、魔道士、アーティファクト×2体。もう充分じゃん?と思っていた。

まぁ確かにバフかけるやつとか居たらいいなーとか思ったりしたよ?全然ギルドのクエスト受けて無いのにね?


でも…これはデカすぎでしょ。


見た目は狼って次元じゃない。うちのプールって横幅20メートルあるんだよ?アイツ…はみ出てない?ねぇ?誰か助けて?


屋敷の中心に存在する中庭。そこには赤い巨大な翼を持った白狼がプールに浸かっていたのだ。


あまりの光景に声が出ない──


『オレの名前はガウガウ。ご主人様ガウ。オレも仲間に入れて欲しいガウ。ガウ!』


ガウって…犬かよ。とか思ってしまったが「もー少し小さくなれる?」と聞くとそれはご主人様がやることガウ!と丸投げされてしまった。やはりこのガウと言う白狼も俺が召喚した召喚獣なのだった。


アレンはすぐさまそこで二度寝をかまし、ガウを小さくイメージした。ガウはみるみる小さくなると体長3メートル翼を広げた幅は10メートル程になった。


アレンが「ガウって飛べるの?」と言っちゃったもんだから屋敷の中を突然飛び回りしっちゃかめっちゃかになってしまった。


アレンはアリスとアリサに激怒され現在絶賛部屋の掃除中である。


召喚獣達はアレンに怒ることは無い。はずだが、アリスとアリサに限っては古代アーティファクト。所有者とはなったが何故か所有者だとしても許せないことがあるんだとか。メギドさんの趣味を疑った瞬間だ。


夢の通りにアリスとアリサを家の外へ出せるかどうかだか…出せたんだ。


いやぁ苦労したんだよ。これが。本人達がかなり嫌がってね?これもまたメギドさんのプログラムのひとつだったみたいで──


そのプログラムも指定した敷地から出ると解除するシステムだったようで今は自由に買い物すらしてるし始末さ。街のみんなは《怪奇現象!洋人形が買い物に来た!》とか初めは言ってたけど徐々に慣れて《あ。アリサちゃん。アリスちゃん。こんにちは!》とか言われてんの。おいおい。俺より馴染んでんじゃねーよ!とか思っちゃったりもしたけどそれは俺の人見知りが影響してるから仕方ないんだけどね。


そんなこんなで俺達はまたオニキスさんの元へ冒険者登録をする事になったんだ──


ガヤガヤガヤガヤ──


なんだ?これ…いつもの光景…ガラガラなはずのオニキスさんの前に──


いや──ギルド内には溢れんばかりの人がいた──


『あ!アレン!ちょっとお前も来い!』


「はーい!今行きマース!…す、すみません…ちょっと…通して…」


人混みをかき分けオニキスさんの前に出る。


『悪ぃな。ちょっと問題が起こってな?』


「どうかしたんですか?」


『メルカリダスの奇跡でモンスターパニックが起こったんだ。』


「え…マジですか…それ。」


『おう。だからこの有様だ。今この街にはBランクまでしかいねぇってのに…せめてAランクでもいてくれりゃあ時間稼ぎぐらい出来るんだけどな…』


ガックリと肩を落としたオニキスさんが俺の事をチラッと見てまた肩を落とす。


『おめぇさんは元Sランクパーティに居た事もあるよな?』


「…あ、はい。捨てられましたけどね?あははは…」


『…まぁそーだとしてもだ。モンスターパニックが怒った時の対処法は?分かるか?』


「えーと…高位ランクのパーティ主導の元討伐隊が組まれ、討伐組、補給組、支援組等の隊を成して沈静化に当たる…だったと思います。」


『そうだ。だが…ここには高位ランクパーティが居ない。だからギルドもパニックになってしまってる。数日前なら《冥界の覇者》やらのSランクパーティも居たんだがな…運が悪ぃぜ。』オニキスさんはまたチラッと俺を見る。


「…でオニキスさんは俺たちにどうしろと?」


オニキスさんは顔をニパァと明るくさせ待ってましたと言わんばかりだ。


『そこでだ…アレンの出番だな。今は緊急事態。更に高位ランクパーティがいねぇ。元だとしても高位ランクパーティ《郢曲(えいきょく)》のメンバーが居るんだ。これは頼るしかないよな?な?アレンがコイツらを使ってモンスターパニックを収めてくれねぇか?な?頼むよ!この通り!』


オニキスさんは頭をテーブルに擦り付ける勢いで頭を下げる。本来この人は頭を一切下げないと有名だ。エルフだからと噂されているがウェンディさんはよく頭を下げているのを目撃するのでただプライドが高いだけだと俺は思っている。


──そのオニキスさんが頭を下げてる


モンスターパニック。それがどれほどの脅威なのか──


通常ダンジョンにいる魔物は外には出てこない。それはメリットが無いからだ。単純に強い魔物ほど深部に居て上層になるにつれ弱い魔物が居る。それは自分たちの強さに応じた餌を得ることが出来るからだ。


ダンジョンの魔物は本来ならば食料は必要ないとされている。それはダンジョンコアから溢れる純度の高い魔力を糧にしているからと言われている。深部になるにつれて魔物が強いのはその純度の高い魔力を求めての行動だ。ダンジョンは人も含め弱肉強食。弱い魔物が上層にいる事の説明にもなるだろう。


──ではなぜモンスターパニックが起こるのかだが──


完全に解明されている訳では無いが…


理由の一端として《ダンジョンコアの消滅》や《深部に居る魔物が自我を持った時》とされている。


そのどちらかのパターンが今まで多かっただけで理由もなく発生した事もある為、完全に解明されているとは言い難いのだとか。


今回の発生原因を考えると…《ダンジョンコアの消滅》では無いように思える。


それは阿呆な高位ランクパーティがダンジョンを完全制覇しその記念にダンジョンコアを持ち去る。そんな無謀な事をした時やボスを倒す際にダンジョンコアが傷ついてしまった時等に限定されるからだ。


《メルカリダスの奇跡》はまだ誰も制覇を成し遂げていない。50階層だろうと言われているが実際は100階層や200階層かも知れないのだ。よってダンジョンコアが影響しているとは考えにくい。


──となると──


ダンジョン深部で自我を持った魔物が発生した可能性が高い、、、


今はまだモンスターパニックが発生したとは断言できない状況らしいが予兆として上層に下層の魔物が発生したり、亜種が頻繁に発生するのだが…もうどちらも確認されているのだとか。


「俺たちに何が出来るんでしょうか…」


アレンは不安に思っていた。夢で見た巨大な何か──それがモンスターパニックの正体ではないのかと。


『ああ…お前らは高位ランクパーティじゃねぇから討伐義務はねぇし経験がねぇから引率する事も無理だろう。一旦他の冒険者達はギルドか纏め支援組や補給組に分けようと思う。アレン達はこんな中悪ぃが《メルカリダスの奇跡》に調査に行ってくれねぇか?他の冒険者達は入場制限をかけてるから頼めねぇんだ。アレン。行ってくれるか?』


「…分かりました。行きましょう。俺に出来るか分かりませんが共に戦ってくれる召喚獣達とこの街を護ります!」


『そうか…悪ぃな…もし危ないって感じた時は…逃げ出したって良いからな…?』


『ちょーーーーーっと待ったぁーーー!』


「『えっ?』」


『それ私も連れてってください!』

それは俺達が助け出した女性だった。


「え…君はあの時の…」


『はい!私エリーゼって言います!あの時はありがとうございました!』


入院中だった彼女はどうやら元気になったようだった。金髪の髪に小人族のようなとんがり帽を被り、トワイライトカラーの瞳だ。身長は低く150センチ程しかない。目は大きく鼻の筋はすうっと通り大きな口。誰もが羨む美人ではないが素朴な感じで好感が持てる。どうやらあの時のお礼が言いたくて何度もギルドへ通っていたのだとか。


「えっと…危ないよ?また死にかけるかもよ?」


『…それでも行きたいです。命の恩人が街の為に戦うって言うのに私が何もしないなんて嫌ですから!それにオニキスさんに聞いたんですけど…アレンさんは召喚士なんだって。私も召喚士なんです!是非一緒に行かせてください!お願いします!』


『…駄目だな。』


「ダメですね…」


『えぇぇぇぇ…なんで…』


『あのな?アレンは元だがSランクパーティだったんだ。弱いがな?だが今まで色々経験はしてるんだ。死にかけた事だって一回や二回じゃねぇ。だからギルドも苦渋の決断だが任せるって決めたんだ…エリーゼは今何ランクだ?あぁ?てめぇが行ってなんになるってんだ。アレンは優しいからな?おめえがどーしてもって言ったら許すかも知れねぇ。だがな?足でまといなんて居ていいもんじゃねぇ。パーティには役割ってぇもんがあんだよ。攻撃ばっかじゃダメだし支援ばっかでもダメだ。バランスが大事なんだよ。同じ召喚士?ははっ!片腹痛てぇわ!アレンの召喚獣達を見たことあっか?あぁ?バケモンだぞ?9999とかおかしいんだよ。全てが。だからこそ任せるんだよ!てめぇが行ったってただの足でまといだ!』


アレンはそれを聞いて凹んでいた。それはかつて《郢曲(えいきょく)》にいた時に言われた一言と同じだからだ。足でまとい。そうかもしれない。だけど、、、それを補うのが仲間だ。だから決めた。意地でも連れて行くって。


「オニキスさん。俺…彼女連れて行きますよ。そして誰も死なせませんから。」


『…えっ…でもそれじゃ…おめぇは…』


「いいんですよ。それが仲間ってもんでしょ?…エリーゼ?じゃ行こっか?モンスターパニックがもうそこまで来てるかも知れないからね?」


『は、はい!よろしくお願いします!』


こうして俺達はエリーゼと共に《メルカリダスの奇跡》へと向かうのだった。


アレンは気づいていなかったが、アレンの背中を悲しそうにじっと見つめるオニキスが冒険者達の印象に残っていたと後々知る事になる。

次回戦闘シーンが続くと思われます。


拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。

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