【閑話:アミュア身長はいいとして】
ハンターオフィス内2階にあるマルタス執務室。
時間は深夜になる。
本来は所長室なのだが、マルタスが所長の表示だけ塗りつぶしている。
そこには昇級研修旅行から戻ったユアとアミュア。戻った直後に引きずられてここへ連行されたのだ。
「で・・・・・なんでアミュアふえちゃってるの?3人に見えるんだけど?」
仁王立ちで二人を見下ろすマルタス。腕組みまでして厳しい顔つきだ。
あーこれ怒られる時のヤツだ。
すみやかに察知した二人が直立不動。
いまや二人は四人になっていた。
ユア・アミュア・ノア・弱ラウマである。
「あのその。親戚の娘で?ハンター希望だったはず?です」
冷や汗を一筋流すアミュアが答えた。
答えてるのか、質問してるか判らない回答。
「なんで疑問形なんだ…そもそもいくら親戚でもこうは似ない。3つ子だとでも言うのか?」
納得しないマルタス。
ノアの髪はラウマ深淵から出た後、紫の光は消えかわりに髪も眉も暗い銀色になっていた。
アミュアよりだいぶ暗いがもう黒ではなかった。
ラウマ様に力を分けてもらったのだ。
弱ラウマは相変わらずほわほわした顔で、金色の長いウェーブ髪を背に流している。
どこからみてもラウマ像そのものの容姿であった。
「アミュア最近よく食べてたから…栄養がよかった?」
『そんなわけある?!』
ユアの適当すぎるコメントに3人が切り返す。
3人の声は非常に似ているのだが、微妙に声質が違い美しいユニゾンとなった。
腕組みから右手をこめかみに運び、目を閉じるマルタス。
「もういい、わかんねんだな?四人とも?。それとも説明したくないか?」
四人並んで下を向きしょんぼり。
「・・・わかった。もういい。」
ちょっと乱暴に言い切り、振り返りゴソゴソ書類やペンをいじるマルタス。
振り返ると一枚の紙。
ハンター証の発行指示書だ。
アミュアとユアの名前が並びランクは『C』となっていた。
「あとの二人も後で登録しとけよ。試験はお前らがやれCクラスはDまでの認定試験を評価できる」
喜びに笑顔をひからせるユアとアミュア。
首を傾げるノアとラウマ。
わいわいと会話が始まりとても姦しい。
背中を向けたマルタスが続ける。
「この街でハンターになっておけば、誰にも文句は言わせん」
ちらとラウマをみて続ける。
「そこの金色は髪型くらい工夫しろ、隠す気ねえだろ?名前もだし」
どうやらマルタスはラウマ像を詳しく知っているようだ。
ヴァルディア家の人々のようには行かないようだ。
また背中を向けるマルタス。
「とにかくバディもう一つか、いっそパーティで登録しておけよ」
かしゃっとブラインドを広げ外を見るマルタス。
「やかましくなりそうだな、また」
その言葉に返事もなく、おのおの騒ぎながら出ていく。
ありがとね~ランクアップとか、お釣りは貰っていいんですかね?研修旅行のとか聞こえたが、とりあえず放っておくこととしたマルタスであった。
騒がしい気配が階下に移り、さらに盛り上がっている気配すら感じたマルタス。
デスクに座り、両手を組み額を当てた。
「ラウマか‥‥因果なもんだな‥‥もう忘れていたのにな」
マルタスの声には深い苦渋がまじるのであった。
この街にマルタスの過去を知るものはほとんどいないのであった。
はい。第3部フラグ回収です!もしも気に入ってくれたら、また読んでくださいね。
では次は第3部「わたしの手が届いたとき」でお会いしましょう!




