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国守の愛 第1章      作者: 國生さゆり  


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28/92

富士子編  28 大江戸線牛込駅〜新宿 約15分

 


  シーン28 大江戸線牛込駅〜新宿 約15分



  到着した電車に乗った要はすかさず「そこ空いてます」と、正面の扉の右端を指差して富士子を誘導した。そして富士子と宗弥に背を向けて立った。宗弥は紳士的な距離を取って富士子の正面に立ち、広げた右手を車窓におき、網棚(あみだな)から伸びている手すりを左手で掴んだ。そうやって要と宗弥は鉄壁ガードを敷(し)く。



 要のアンバーノートが微かに香る中、富士子はスマホの画面を見ながら「ねえ、宗弥。新宿駅に着いたら、次はどこへ行くの?」と聞く。「おおっ。やる気じゃないか!ターミネーター富士子」宗弥はぶっ飛び笑顔でそう言い、富士子は顔を上げ「違います。ナビゲーター富士子です」目を細めて訂正(ていせい)する。



 かすかに笑(え)みを浮べた要は、背中で2人の会話を聞いていた。宗弥は「おい、怖い顔するな。俺はからかってないぞ。今のはセーフだ、セーフ。まずは新宿で電車を乗り換える。JR山手線内回りの渋谷・品川方面に乗って品川駅まで移動する」と説明した。聞いていた要は、おい!!頼むよ、宗弥。口頭で教えてどうする。調べ方も知らなければならないんだ、過保護な奴めと思う。



 富士子はスマホを操作しながら「新宿駅で降りて、山手線、渋谷方面に乗車、品川で下車する。合ってるかな?」と宗弥に確認して、「合ってるよ」と答えた宗弥はチラリと要を見た。周囲警戒モード・・。真面目が洋服着てる。こいつにONとOFFの境(さかい)はないのか。わかりやすい奴。宗弥は要の横顔を見てそう思う。



  新宿駅構内の経路を検索している富士子。


  富士子と要を交互(こうご)に見ている宗弥。


  2人に背を向けている要。

  要が確認しておきたかった富士子に対しての尾行はついていなかった。今の時点では。






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