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  作者: yiyi
6/36

晴時々雨

ドス ボコ ドゴ ドッドッドッ

二人の殴り合いは長時間に亘り続いた。


もはや喧嘩というよりはただの殴り合いと化していた。

一発づつ交互に殴り、どちらが先に倒れるか・・・

体力的に残り2、3発が限界であろう。


ハァ・・・ハァ・・ハァ・・


「信二ちゃ~ん・・・そろそろ・・・倒れてくんね?」

「お前こそ・・・降参しろ」

龍二の脳裏では拓は負ける。そう思っていた。

拓自身も自分の限界は分かりきっている。


俺は負ける・・・


殴る気力さえもなくなってきた。

それもそのはず、こんな土砂降りの中だと体も冷え、体中の痛み、そしてプレッシャー


龍二・・・お前は何を望む?

なんで俺なんだ?

いつも俺を強いように見せてくれているだけで、実際はお前の方が強いのは知ってる・・・

もう無理だろ・・・ここまでやったんだ・・・

拓はかすかに龍二の方見た。

龍二の顔はまるで飽きれたような表情をしている。

そして何かを呟いた。

雨の中だから聞こえるはずはない龍二の声を拓は確かに聞いた。


「こんな事も俺に見せれねーのか?」


拓は倒れかけた体を必死で踏ん張り、体勢を立て直した。

龍二に敗れた仲間はその拓を見た瞬間こう思った。

「信二あんたの負けだ」と


だが、信二も負けてはいられない。

「うおおぉぉぉぉ!!」

大声を出し自分の力を限界以上に発揮しようとする。

信二は拓を全力でぶん殴った。

でも、その光景は倒れた姿ではなく、まだ立っている姿だった。

信二は両腕を下げ無防備の状態で言った。

「お・・お前は怪物か?」


拓はニヤッと笑った。

「怪物?それはあんただろ?あんたにとって俺はただの後輩だ・・・」


拓はそう言うと後ろにふわっと倒れこんだ。

龍二はそれを黙って見続けた。


拓が倒れた後すぐに信二も座り込んだ。

「何がただの後輩だ・・・俺にとっては最高の後輩だ」


激しく降っていた雨は二人の心が静まるように弱まっていく。

初夏の雨だった。


数日後、拓はゴリを学校内の空き地に呼んだ。

拓とゴリの再戦。龍二は後ろでいつものように拓の背中を見ている。

最初に口を開いたのはゴリだった。

「三年に負けたみたいだな」

「あぁ・・・」

「俺とやる意味はあるのか?」

「結局俺は負けちまったが、どっちみち信二の後はお前とって決めてたからな。

それにリベンジもしてーしな!」

「もしお前が勝ってもここの連中はお前を頭とは思わないぞ」

「それでもいいさ・・・もう何も賭けるもんはねぇ~んだ。理屈無しで自由に喧嘩しようーぜ!」


「また気絶しても知らんぞ」ゴリは上着を脱いだ。


「龍二見てろ!これが俺様の喧嘩だ!」

拓はそう言ってゴリに立ち向かった。

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