墓穴を掘り続ける夫
欝の原因の一つの話
私、ゴルフが大嫌いです。
ゴルフ自体は、別に普通の「スポーツ」だと思っています。
それにまつわる「記憶」がつらいのです。
子供が新生児の頃も、幼児期で手がかかる頃も、夫はゴルフに出かけていました。
必ず「出張のついで」です。
県外のメンバーと落ち合って、ゴルフをするためです。
当然、家にいない時間が増えます。
そして、本来なら夫がするべき仕事まで、乳児を抱えた私一人にすべて被せられます。
私がしくじると――電話の伝言を伝え忘れたり、来客の名前が分からなかったりすると――夫からひどく叱責されました。
仕事の関係者からも、よく怒られました。
「なんで、お宅のご主人は、そんなに出張が多いの?」
私はただ、
「申し訳ありません」
と、ペコペコ頭を下げるしかありませんでした。
なぜ、遊びに行く夫のフォローを、家事と育児を一人で担っている私が背負わなければならないのか。
さっぱり分かりませんでした。
その頃の私は、自分のごはんを満足に食べる時間すらありませんでした。
夜も眠れていません。
「なぜ、保育園に入れなかったの?」
と思う人がいるかもしれません。
しかし、保育園には断られました。
「家の中での仕事なら、子供がいてもできるでしょ? 保育園は外で働く人のためのものです」
当時、役場の人にそう言われました。
一方、市役所で働いている人の奥さんは、すぐ近所に子供を預かってくれる祖父母がいるのに、保育園に入れていました。
見かねた民生委員の人が、市役所に苦情を言ってくださったそうです。
それでも、決定が覆ることはありませんでした。
そして夫は、ゴルフでさんざん散財しました。
本当に「黒歴史」です。
ゴルフの一番嫌なところは、何かあっても、プレー中はまったく連絡が取れないことです。
しかも、一日がかり。
ほかのメンバーの手前もあって、ドタキャンが難しい。
私が発熱しようが、お構いなしでした。
「他の人に迷惑がかかるから」
そう言って、出かけていきます。
あのときの情けなさは、今でも忘れられません。
ところが夫は、そのことをまったく覚えていないのです。
事情を知った仕事関係の偉い人から、夫がものすごい剣幕で怒られたのは、そのすぐ後のことです。
私は何も言わなかったのですが、人づてに伝わったらしいのです。
夫には「ゴルフ禁止令」が出され、
「二度とゴルフはしません」
という念書まで書かされたそうです。
ところが、ほとぼりが冷めた頃、夫はその約束を破って、またゴルフに行きました。
そして、それがバレて、再びひどく叱責されました。
私は、
「今度こそ、何かしらの処分があるのでは?」
と、生きた心地がしませんでした。
幸い、「厳重注意」で済みました。
普通、そんなことになったら、ゴルフから遠ざかると思いませんか?
私だったら、ゴルフ自体を見るのも嫌になると思います。
ところが夫は、今でもゴルフ中継を夢中になって見ています。
オフシーズンには、動画配信でゴルフ関係の番組をよく見ています。
そんなものをしょっちゅう見せられて、私の過去の記憶が消えるわけがないでしょう。
私にとっては、
ゴルフ=育児を放り出された記憶
そのものなのですから。
私はずっと、過去の傷を何度も引きずり出される生活をしてきたわけです。
夫はよく言います。
「昔のことは変えられないんだから、言ってもしょうがないだろ。しつこいよ」
けれど、忘れられないようにしているのは、自分自身の行為ではないでしょうか。
そう感じるのは、私だけでしょうか。
今は部屋が別なので、パソコンで仕事をしている横で、ゴルフ中継を聞かされることはなくなりました。
それだけで、かなり落ち着きます。
娘には、
「何が心の傷をえぐるか、分からないものだね」
と言われました。
本当です。
私は何度も、
「ゴルフは大嫌い!」
と伝えてきました。
それでも本人は、
「なんで?」
です。
当時の私の壮絶な苦労など、みじんも理解しておりません。
今回の話、きれいなオチがなくて、すみません。
ただ、ゴルフ禁止令を二度も出され、それでもゴルフを見続けている夫。
本人はゴルフ場には行かなくなりましたが、今も自宅でせっせと墓穴を掘り続けております。
ちなみに、同じような思いをしていた友人もいて、当時はひそかに「ゴルフ嫌い連盟」ができていました。
今となっては少し笑えますが、それだけ、ゴルフに置き去りにされた妻たちがいたということです。
ゴルフ人口が減っていると聞くと、
「そりゃあ、そうでしょうね……」
と、ゴルフ嫌い連盟の一員として、妙に納得してしまいます。
夫はどうやら、
「友人が妻に変なことを吹き込んだ」
と思っているようです。
違います。
友人に吹き込まれたのではありません。
お互いに自分の体験を話して、
「やっぱり、それはおかしいよね」
と確認し合っただけです。
こうして、ひそかに「ゴルフ嫌い連盟」が誕生しました
現在も継続中かも?(笑)
パソコンの部屋を移しただけで、嫌な物が耳に入らなくなって、本当に快適です
当時はそれが「当たり前」の「夫婦の在り方」でした
女性は「家事育児を一人でこなして当たり前」そういう価値観の親を持って育てられた世代です
その価値観は今や「化石」のはずなのに、なぜか、「一部の上の方々には面々」と受け継がれているようです
とても残念な事だと私は思います
「無理が通れば道理引っ込む 」
ということわざを思い出しました
とても残念で無念に思います
近い将来、改正されますようにと強く願います




