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鶴見日向子の独り言(還暦過ぎてうつ病になった主婦の日記)  作者: 鶴見 日向子


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現在の話


皇女の帰還の後書きでも少し触れましたが、私は一昨年頃、「鬱病」を発症しました。


約十ヶ月間、ほぼ寝たきりに近い状態でした。


「なぜ鬱病に?」


そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。


ですが、実は私自身も、はっきりとはわかっていません。


「引き金」は確かにありました。

けれど、「これが決定打だった」というものは、今でもよくわからないのです。


若い頃の方が、もっと大変な生活をしていました。

だからこそ、


「これから少し楽になる」


そう思った矢先の発症でした。


実は、今回が初めてではありません。


元々、「不安神経症」という診断で、長年薬を服用していました。


薬を飲んでいれば、日常生活に支障はありませんでしたし、自分でもそこまで深刻には考えていませんでした。


そんな中、家のすぐ近くに新しい精神科が開業し、そちらへ転院しました。


そこで断薬に成功し、私は「完治」のお墨付きをいただきました。


新しい先生は、


「本当は、もう少し薬を続けた方がいい気がします」


とおっしゃっていたのですが、私は「完治」という言葉がうれしくて、


「もう飲みません!」


と断言してしまったのです。


その後、ある出来事をきっかけに再診した際、先生は「再発ですね」とおっしゃいました。


ですが、私はその時点でも、自分は「鬱病」ではないと思っていました。


ところが、症状は以前とは比較にならないほど重かったのです。


医療費助成を受けるための診断書を見た時、病名欄に「鬱病」と書かれているのを見て、私は激しく動揺しました。


「不安神経症ではなかったのですか?」


そう尋ねた私に、先生は静かに説明してくださいました。


「鶴見さん。あなたが長年飲んでいたのは、安定剤ではなく『抗うつ薬』です」


「しかも、血液検査では副作用も出ていました。だから断薬を勧めたのです。本当は別の薬を続けてほしかったのですが……」


もし、この先生が開業してくださっていなかったら――


私は副作用に気づくこともなく、自分を「不安神経症」だと思い続け、同じ薬を飲み続けていたのだと思います。


それでも私は、前回は薬を飲めば比較的早く落ち着いたので、


「今回も半年くらいでよくなる」


そう信じていました。


ですが、現実はまったく違いました。


まともに歩けない。

眠れない。

言葉が出てこない。

相手の言っていることが理解できない。

めまいを起こして転倒する。


そして、一番つらかったのは――体が動かないことでした。


「トイレに行きたい。でも動けない」


四つん這いでトイレまで向かったことも、一度や二度ではありません。


その間、先生はいろいろな薬を試してくださいました。


ですが、効かなかったり、副作用が強すぎたり――なかなか合う薬が見つかりませんでした。


ある薬では、


「やっと落ち着いた」


と思った矢先に、肝機能の数値が悪化し、断薬しなければならなくなりました。


その離脱症状のつらさは、本当に言葉にできません。


あまりの状態に、脳のMRIまで撮ることになりました。

幸い、異常はありませんでした。


やっと自分に合う薬が見つかり、少し落ち着いたのは、発症から十ヶ月以上経った頃でした。


それでも、今も症状は残っています。


見た目では理解されにくいため、「精神障害者保健福祉手帳3級」を取得しました。


「自分は健常ではない」


そのことを客観的に示すものが欲しかったのです。


結果として、申請してよかったと思っています。

思いがけない形で助けられたこともありました。


(人によって状況が異なるため、詳細は伏せさせていただきます)


小説を書き始めた理由については、後書きにも書いた通りです。


少しずつでも、小説を書くことで、自分の中にある重たいものが、少しでも昇華されていけば――


そんな思いで、今も書き続けています。

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