31 幸せの予感 ジェニファーSide
秋が来る前の、夏のとある夜。
ゆっくりと押し倒されて、湯浴みしたばかりの体からタオルが取られていく。私たちは一緒に湯浴みした。
私の視界には鍛えが上げられた胸筋とシックパックの腹筋が見えて、それだけでどうにかなってしまいそうだ。
私たちはゆっくりと一つになった。
幸せな余韻に浸り、私たちは抱き合っている。
分かったのは、最初のループが起きた時、私だけでなくアンドレア皇太子も危険を冒したということだ。
私を救うために「死を回避する球」を彼は使った。
最初の死に戻りを実現するために、彼は力を使った。だが、それはおそらく彼の命を失うリスクもあった。そこまでして、彼は私たちを救おうとした。
彼が私に別れを告げた時のことを思い出す。
あれは唐突だった。
私は宮殿を追い出された。
パトリシアとアンリ・ジャゲールは私と子供たちの命を奪おうとした。だから、アンドレア皇太子は自分から遠ざけたが、結局は私たちは命を失いそうになった。彼は、私たちを救うために「死を回避する球」を使った。やはり、パトリシアに惹かれて、私たちを捨てたという可能性も残るが、もはや真相は誰にも分からない。
その後、5年前に戻る球を使ったのは、ウィルだとしか思えないが、どうなのだろう。
7年前に戻るのではなく、最初の1882年から5年戻った。
これがずっと謎だ。
アンドレア皇太子と同時にウィルもその力を使っていたらとしたら?
1882年から5年前の1877年に戻れたのは、ウィルの力の可能性が高いのかもしれないが、もはや真実は分からない。
私を守ったのは、アンドレア皇太子と、これから生まれてくる「ウィル」だ。存在自体が、私を奮起させて前に前に進む原動力になったから。
私の1877年の秋はもうすぐだ。
メッツロイトン家の特殊能力を引き継ぐ者が新たに命を宿すのだ。
秋の美しい紅葉があたり一面を色とりどりに染める頃、柔らかい日差しに包まれて、私とアンドレア皇太子は、期待に胸をときめかせるのだ。
きっと。
それは、幸せの予感かもしれない。




