コミカライズ完結記念SS
何度目かの春、すっかり世界は落ち着いて平和な時間が流れていた。
「いやぁ、増えたなぁ」
と、思わずそんなことを呟く視線の先では数え切れない程の数の、なんとも多彩な精霊の姿がある。
色とりどり、一体何色何種類の精霊がいるのか……数えることも不可能な数を前にしていると、シェフィが言葉を返してくる。
『今更? 毎日見ているだろうに。
ヴィトーもあれかな、平和ボケしてきちゃったかな?』
「いやまぁ、そうなんだけどさ、記憶を取り戻した頃とは全然違う光景になったかなって。
まぁ、その分だけ平和になったってことなんだろうけど……沼地の方も落ち着いたみたいだしねぇ」
『こっちで瘴気を見かけることもなくなったからねぇ。
こっちで暮らすとかじゃなくて、ちょっとした旅行に来るような精霊は確かに増えたかな。
もともとはそんな感じに遊びに来た精霊達がこちらに様々な加護や恵みをもたらし、今の世界が出来上がっていったんだよ。
だからまぁこれが普通なんだよね、本来の光景って感じかな』
「なるほど……ようやく世界が普通の状態になってきたってことなのかな。
……じゃぁ世界はこれからもっともっと豊かになっていく訳かぁ」
『そうだね、だからヴィトーも安心して良いよ、これからは楽しいことばっかりさ』
「いや、特に不安なんて抱えてないけど……」
と、俺がそう返すとシェフィは半目を返してくる。
嘘ばっかり言ってらと、表情で語っていて……俺は少しだけ目を逸らしてから言葉を返す。
「そう言えば愛し子の子供ってどういう存在になるんだろうね?」
『普通の子供になるよ、遺伝子までは精霊でもどうにもならないからね』
と、シェフィ。
ニヤニヤとしながらそう言って……そして今年抱けるであろう、赤ちゃんのことを思い浮かべているのか、両手をソワソワソワソワと動かしてみせる。
精霊の小さな体で赤ん坊を抱きかかえるのは、どうやっても難しいと思うけども、シェフィ達なら不思議な力でなんとかしてしまうんだろうなぁ。
……次の冬が来る前にその時が来るはずで、その時を無事平穏に飢えることなく迎えられるようにと、背負った猟銃を揺すって背負い直す。
『うん、そうだね、しっかり狩りも続けないとね。
自然が豊かな分、動物も増えすぎちゃってて森を食べ尽くす勢いだからねぇ、多少は調整してやらないとね』
「……浄化は終わったけど、まだまだこれの仕事はなくなりそうにないね」
そう返した俺は森へと視線を向けて……どこかに動物の痕跡でもないかと、視線を巡らせるのだった。
改めましてお読みいただきありがとうございました。
これでこの全シリーズが完結したことになります!
これも皆様のおかげです、本当にありがとうございました!
皆様に頂いたお言葉は新作や他作品などでも活かさせていきたいと思いますので、今後も変わらぬ応援をいただければ幸いです






