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セイギノミカタ

体育祭が終り家に帰路して束の間の休息をしてからようやく思い出す。


「私、謝ってない・・」


あのリレーの失態をまだ2人に謝れてない。

でも【正式】な部員として認められ香織は2人とアドレス交換をしていた。

だから善は急げということで慌てて成海から電話を掛ける。

何回かの呼び出し音があってから「はい」と成海の声が伝わってくる。


「あの、成海先輩。

 私、今日のリレーすごくミスしちゃって。

 あんなところでバトン渡すの失敗して足引っ張って・・ごめんなさい」


「あー、そのこと?いいよ。

 終わりよければ全てよしっていうじゃない。

 俺は経過じゃなくて結果だけが大切な奴だし気にしないよ。

 まぁ、それでも自分のミスを悔いるなら謝る相手は違うよねぇ。

 あの大きなミスをカバーしてくれたのは誰だろう?」


「はい、藤本先輩にも謝ります・・」


「あはは、もう香織ちゃんは真面目なんだから。

 俺、ほんと怒ってないから。いいよ、気にしないで」


じゃあ、切るねー。と言われて一方的に切られる。

香織は次なる相手のアドレスをコールする。


「・・もしもし」


「あ、もしもし。藤本先輩」


「なんだ、お前かよ。なんだよ」


携帯が電話受信したところであちらも香織のアドレスは登録してるわけで

なんだ、お前かよ。はおかしいのだが香織は知らんぷりする。

それよりも体育祭のあのときは名前で呼んでくれたのに・・と少し寂しい。


「あの、リレーのミスごめんなさい。

 藤本先輩にはたくさん練習も付き合ってもらったのに」


「はぁ?そんなこと言うためにわざわざ掛けてきたのかよ。

 失敗してもいいって言っただろ。今さら蒸し返すな。

 それに・・今までで一番速く走れてたと思うし」


「ほんとうですか。・・良かった」


「まぁ、そういうわけだから。別にいい。・・それより」


そこで千尋が口籠るのが分かる。

すごく言いにくそうにしてるのが電話越しから伝わってくる。


「なんですか?」


「あの、あのさ」


「はい」


そこで少し間を空けると意を決したように千尋は言ってきた。


「金髪はダメか」


「え?」


意味が分からない。香織はしばし固まる。

それで思い出を回想して智香との会話を思い出す。

あのとき香織は金髪を批判したようなことを言った。

まぁ、あれはしつこい智香を振り払うための言葉だったが・・。


「そうか、あれ聞こえてたんですね」


ボソっと言うと千尋は慌てたように


「いやっ!違うぞ、別に。

 そろそろこの髪型に飽きてきたから。変えようかな、なんて」


「ダメです」


「あぁ?・・やっぱ金髪はダメか」


「違います。染めないでください。

 私、藤本先輩の金髪好きです。綺麗ですし。

 だから、そのままでいてほしいです」


「・・・っ!!」


電話が耳元で音を立てて切れる。

香織は「可愛い人だな、ほんと」とニヤケが止まらなかった。






そこから化学部の集会があったのは次の日だった。

成海が何か大事な報告があるらしい。

香織は放課後になると掛け足で化学室に向かった。

重い扉を開けるとすでに成海と千尋がいて・・。

もう1人、ここにはいないはずの人物もいる。


「なんで?」


挨拶より先に疑問のほうが飛び出してきた。

千尋はすごく不機嫌そうにそっぽを向いている。

成海はニコニコと相変わらず笑いながらその人物を紹介した。


「持田佑介くん。彼、化学部に入部するから」


紹介された佑介は罰が悪そうな顔をして

呆気ている香織に吐き捨てるように言う。


「言っただろ。いずれ世話になるって」


「じゃあ、何でお前最初っから化学部入らねーんだよ。

 生徒会に入るなんて俺たちの敵だからな。スパイか、もしかして」


千尋の憎まれ口に佑介は「ちげぇよ、ばか」と言い、


「最初から生徒会に入ってから辞めて化学部に入るつもりだったんだよ。

 ・・兄ちゃんのルーツを辿ったほうが、より理解出来るだろ」


「けっ、ブラコン」


「なんとでも言え。俺は兄ちゃんを尊敬してる。

 ていうか金髪には感謝してほしいくらいだ。

 俺がリレーに出てたら確実に優勝出来てなかっただろうしな。

 生徒会のリレー辞退してやったんだから金髪は勝てたんだぞ」


「あ?やんのか」


「うん、そういうわけで化学部は4人になりまーす。

 異論は認めないから。特に千尋ね。

 あと1個言うの忘れたんだけど聞いてほしい」


「なんすか」


「この部活、部活内恋愛禁止だから」


「・・・!」


成海の発言にショックを隠しきれない千尋に

耳元で囁くように佑介が言った。


「残念だったな金髪野郎。

 これで俺にも可能性があるってわけだ」


「・・てめぇ、その言い草はっ」


「いやー、兄ちゃんにも殴られたことないのにさぁ。

 あんな女に殴られるなんて意識すんのも当然だろ?」


「ふざけんなっ」


その会話の内容は香織には聞こえない。

言い争ってる2人を余所に成海に質問する。


「佑介くんが生徒会抜けたとなると生徒会めんどくさそうですね」


「まぁね。でも隆久はこうなるのを予測してただろうし」


「え、そうなんですか?」


「持田先輩の弟が生徒会に収まるわけない、てね。

 ますます生徒会とは水と油のような関係になるんだろうね」


それを想像して香織は「うわぁ」と顔をしかめた。

これからの波乱が目に浮かぶ。

そんな香織を見て成海は微笑む。


「大丈夫、正義の味方っていうのはね。勝ったもんがちなんだよ。

 正しいかどうかじゃなくて勝ったほうが正義なんだ」


それは・・、と言いかけて香織はやめる。

つまり、成海はどんな手を使ってでも生徒会には勝つ手段を選ばないということだ。

頭が痛くなる。とんだ正義の味方だ。


「・・セイギノミカタ」


そっと呟くそれは、異国の言葉のように聞こえた。


読んでいただきありがとうございました。


一応これで「セイギノミカタ」は終わるのですが

生徒会と化学部の因縁が明らかになっただけで

戦いは書いてないので続編迷ってます(苦笑)


感想いただけると嬉しいです^^


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