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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
31/142

30話 海を越える

深夜0000、俺たちはナノマシン発生機のある湖の中島を飛び立ち、南東を目指した。

飛行生物はいないし、密林も静かだ。

動きがあるのは一部の夜行生物だけだ。


途中、3個所のゴブリンの集落を見つけた。

ここはゴブリンの島なんだろう。

湖、川、沼が多く、島全体が密林で覆われている。

朝食に降りた川では川魚が多くいた。

弓と木の矢で狙ったが、木の矢では水中に潜ると途端に勢いがなくなる。

もっと細い矢が良いのだろうが、そうすると折れやすくなる。

小さい弓に細い弦。それに細く短く強い矢が要るな。

パメラは矢に防御フィールドをまとわせ、さらに誘導することで見事に仕留めている。

弓、持ってないな。投げ矢か。

リサとレイチェルは魔法矢だ。問題ない。

クリスは槍で一突き。

ホークは枯れ木を集めて焚火を用意している。

焼き魚は旨かった。


この島は小動物はたくさんいるが大型動物が少ない事も特徴だ。

なので、狩りはせずに夕暮れに南東の岸に到着した。

こちら側は浜辺ではなく、高さ13m程の崖だ。

休息を取り、明日からはまた3300kmの海を渡ることになる。



2830に動き出した俺たちだが、ここでリサとレイチェルから待ったが掛かった。

「なんだ、また何やら思いついたのか?」

「そうなんですよ、大尉。」

「これは、うまくできれば凄いですよぉ。ねぇリサ。」

「今度は何をするんだ?」

「詳細は秘密でぇす。もったいぶらないとねぇ。」

「はい。お願いは1つです、大尉。出発は朝食の後でお願いします。」

「ああ、いいぞ。問題ないよな。」

クリス、ホーク、パメラがうなずく。

まさか、皆、知っていたのか?俺だけ仲間はずれじゃないだろうな。

「よし、じゃあ、なにか狩ってくるかなぁ。」

「クリス大尉。あちらに大きめの獲物の巣がありそうですよ。」

「大尉。私と槍の組手をお願いできますか。」

「お前たち、俺になんか隠してないか。」

「な、なにを言っている、ファルス。さぁ、パメラ行くぞ。」

「はい、クリス大尉。」

「私たちも行きましょう。レイチェル中尉。」

「ええ。」

「まずは槍の下段突きに対する払いからの突き返し。この時の足さばきの確認をお願いします。」

まぁ明るくなれば判るか。

「よし、ホーク。やるか。」

「お願いします。」



朝食を片づけ、改めての出発である。

南の海をバックにリサとレイチェルが俺たちに向いてお披露目を始めた。

「ヒントは金貨の転送です。」

「金貨の転送がお祈りの魔法でできるならぁ、私たちにもできますよねぇ。」

「そうです、イメージさえできればできます。

そこで私たちが考えたのは座標の固定と移動の2つの魔法の組み合わせです。」

「但しぃ、一つ確認しないといけないことがありますよ。

金貨は転送できます。

金貨は物質です。

でもぉ生物は転送できるのでしょうか?

そこで、まずは先ほどクリスが捕まえた、この子に実験してもらいますよぉ。」

レイチェルの左手には長いロープが握られていた。

ロープの先は地面にいる体長40cmぐらいのトカゲだ。チロチロと赤い舌を出している。


リサは背嚢から飛竜の魔石を2個取り出し、両手に持った。

「それでは、行きます。

対岸の砂浜の風景をここに映して、遠見の窓!」

リサとレイチェルの間の空間にリサが両手で大きな円を描く。

手にした魔石が淡く光り輝く。

空間が歪み、そこには砂浜が映っていた。

手を伸ばせば砂が触れそうだ。

レイチェルが膝を突いてトカゲを抱き寄せる。

「はい、砂浜に行ってきてねぇ。」

トカゲを放り投げた。

トカゲはリサの開けた空間ゲートを通り抜け、砂浜の上でばたつき、起き上がり、砂浜の奥へと移動を始めた。

レイチェルはロープを手繰り寄せ、トカゲを再びその手に抱いた。

トカゲの足に付いた砂を確認する。

「成功ですよ。リサ。」

「やりましたぁ!」

「すごいよ、リサ!」

「本当にできたなぁ。リサ。」

「凄いですね。大尉。」

「これは、なぁ。やっちゃったなぁ。」


トカゲを放し、荷物を確認し、一人づつ砂浜に移動する。

最初は俺だ。

何の抵抗も、違和感も無く砂浜に足を着け1歩2歩と歩く。

振り返ると海だ。

空間の一部が円形に空いている様に見えて、ホークとクリスが見える。

クリスが何か言っているようだが、音は聞こえない。

(クリス、聞こえるか。)

(ファルス、無事か。)

(問題ない。)

続いてクリス、パメラ、ホーク、レイチェルが渡ってきた。

さて、ここが最後の確認だ。

この空間ゲートを開けたのはリサだ。

リサは島側にいる。

空間ゲートを開き安定させているが、リサは渡れるのか。

土壁などは作ったら放置できる。

この空間ゲートも空けたら放置できる、はずだ。

緊張の一瞬だ。

この空間ゲートはジャンプゲートだ。

事故ればどこにジャンプするか判らない。


「到着ぅ~!」

リサが砂浜に渡ってきて両手を上げる。

その手には飛竜の魔石が光り輝いている。

レイチェルとパメラが駆け寄り抱き着いた。

クリスは大きく拍手している。

全く、大した奴だ。

「大尉。これはジャンプゲート、ですよね。」

「そうだ、ホーク。俺は重力子機関はナノマシンの集合体ではないかと疑っている。

この空間ジャンプでその仮説が強くなったよ。」

「つまり、重力子機関内のナノマシンがジャンプゲート、重力制御、電力供給などを実行していると。」

「そうだ、そして重力子制御装置が魔法を掛けている。」

「なるほど。と、すると。」

「うん?」

「重力子機関内のナノマシンもバージョンアップの影響を受けているのでしょうか?」

それは、大いにあり得ることだ。

だが、重力子機関も特殊構造体で気密性が高く、さらにナノマシン発生機と違いスリットは空いていない。

バージョンアップの信号が内部に届くのかは不明だ。

そして、もしバージョンアップされていた場合、内部ではどんな影響が発生しているのだろうか。

出力5%に落ちているのは、その影響なのか?

いや、墜落前の時点で5%だったか。

連絡艇の重力子機関は正常だ。

なぜ、カッシーニ81の重力子機関だけが・・・。


左腕の情報パネルが着信を知らせる。

発信元はカッシーニ81。

俺は通信に出た。

「こちら、カッシーニ81、メティスです。」

「こちらファルス=カン。メティス、何かあったか?」

「カン大尉の情報パネルの動作確認と現在地確認です。

こちらの位置情報では第五大陸の北北東、南緯20度西経68度となっております。」

「それで間違いないよ。メティス。」

「了解。情報パネルの正常動作確認。通信を終わります。」


メティスからの通信は全員の情報パネルに届いた。

リサの空間ジャンプはメティスも混乱させたようだ。


■■■


はい、リサ=メンフィスです。


やりましたよ。

亜空間を利用したジャンプゲートです。

接続空間の座標指定が難しいのが難点でしたが、自分の目の前の空間と目的地の空間を目で見て確認すれば、間違いないよね。

って事で、遠見の窓です。

目的地の風景を確認したら、窓を開けて、行き来できます。

ナイスアイデア。


金貨の転送を見て、って説明しましたけど、最初に思いついたのは管理者レベルアップした後で、収納魔法ができた時からやりたかったんですよね。

で、今回のナノマシン発生機の島ですよ。

空から見た時は、射撃訓練の的かと思いました。丸くて。

あ、あそこに行くんだ、って思ったら、それで、思いつきました。

ジャンプ先の地点も見て確認すれば良い、と。

それなら狙い違わずジャンプできますから。


おかげでゴブリン退治で沈みこんでいた気持ちもすっきりです。

いや、もう少し、もやっとしてるかな。

あー、考えるとダメかぁ。

全く、困った刷り込みをしてくれたものですね。

この感情は敵の姿を見ると攻勢になるからね。

冷静に相手を観察、とか後退して敵を罠に、とかができなくなりそう。

カン大尉もホーク中尉も、よく作戦立てれたよね。

私はすぐに"突撃!"って命令されると思って身構えてました。

とにかく目の前の敵を倒す。って視野が狭くなっちゃう。

その点ではカン大尉はすごいね。さすがリーダーです。


私も感情を抑えられないかな。

さて、どうしたものか。

ねぇ、ナノリサ。この敵対心の刷り込みって削除できないかな。

えっ、できるの?

あー、できるけど、今はできない、と。

管理者レベルが足りないのか。

上位レベルの命令なのね。

ところで、私は今レベルいくつなのかな?

レベル6の下級管理者。


レベル1が一般ユーザーで魔石の機能を使える。

レベル2は体内ナノマシンを通じて周辺ナノマシンを使える。この世界の魔法使いね。

レベル3はレベル2より使役できるナノマシンが多くなり、顕現する事象の範囲も広くなる。えーと、魔法の威力が強くなるって事ね。

レベル4からは下級管理者でナノマシンの機能制限が一部解除され、ナノマシンの動作命令コマンドが作成できる。

つまり、一般ユーザーまでは与えられた魔法を使えるけど、下級管理者からは独自の魔法を使える、ってことね。

私って、かなり上位じゃない。

私の上、レベル7からは中級管理者になるのね。


で、この敵対心はレベル6の魔法に相当するのね。

同レベルだけど無理なの?

えっ、削除は出来ないけど、効果は阻害できるの?

ほほぅ、感情の抑制をかけるのかぁ。

よし、次に感情が高ぶったら、クールダウンしよう。

あっ、これをコマンド化して魔法として登録できる?クールダウンって。

警告?

魔法のコマンド名は日常で使うような単語や言葉を避けて誤発動を防ぎましょう。っと。

そうだねぇ。

うーん、でもこれ、言葉に出すときは、冷静にならないといけない時だろうから、いいよね。


魔法レベル3で発動レベル3になる?

うん?発動レベルって何?

ああ、魔法を使える人を制限できるのね。

誰でも使える魔法は発動レベル1ってことね。

じゃあ、発動レベル3で。


魔法レベルは効果対象と効果内容によって上下するのね。

対象が自分自身だとレベル1だけど、精神面への作用だからレベル3になるのか。

ふーん、対象が他人だとレベル5、さらに複数だとレベル6になるのね。

今回は個人だからレベル3で良いね。


引継ぎパラメータ?

うーん、よく分からないから無しで。


レベル3魔法:クールダウン

対象:詠唱者

効果:感情抑制効果をもたらす。

有効時間:詠唱時

消費魔力:3

発動レベル:3


これでコマンド登録が出来て、魔法として一般化されて、誰でも使えるようになったのね。

ふふふ、パメラ達に教えてあげようっと。


そういえば、これまでの魔法ってどうなってるの?

それも登録されているの?

へー、やっぱり登録されているんだ。

あ、権限が無かったから初期値で登録されてるのね。

パラメータ操作にもセキュリティ必要よね。

あ、今なら変更可能なの!?

うーん、使用感が変わるから、変更しないほうが良いかな。


そうだ、今回の遠見の窓は?

うん、これも登録済みだけど、パラメータは初期値なんだ。


うーん。

中級管理者になるには、どうすればいいのかな?


次回31話「時差」。

あれ?今何時だっけ?

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