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第四惑星  作者: ブルーベリージャム
第二章 探索
20/142

19話 ゴンジー村にて

ブルードラゴンの通過を確認後に俺たちも南へ向けて飛んだ。

初日の目的地はママドゥ達のゴンジー村だ。

そこで、ママドゥ達に会い、できれば部族長の村へ行き神官たちの話を聞きたい。


俺たちの飛行速度は時速約100km、ママドゥ達の村までは2時間掛からないだろう。

海岸沿いに1時間程経過した頃。

(カン大尉、2時の方向、森の中に動物がいます。1頭ですね。)

周囲を探知していたパメラからの報告だ。

俺たちは浜辺に降りた。

「パメラ、大きさは判るか?」

「すみません、そこまでは。距離は約50m、移動していません。」

「いいじゃん、いいじゃん、接敵して一撃!行くぞ、ファルス。」

「狩りの基本は風下からです。私たちの前方20mから向かい風を出しますね。」

「よし、クリスと俺で前衛、リサ、レイチェル、パメラ、後衛はホークだ。

樹上注意、周辺警戒を怠らず、気を付けろよ。

森に入ったらナノ通信だ。行くぞ。」

「了解。」


さて、俺たちの初めての狩りだ。


足元に注意しながら森に入る。

草花の香り、鳥の鳴き声、風に揺れる木々と葉の音。

俺たちは進行を邪魔する枝葉を払いつつ、近寄って行く。

いくら風向きを変えたとはいえ、俺たちが枝葉を揺する音は大きかった。

10mも離れた距離で獲物に逃げられた。

獲物が居た場所まで行くと、そこは少し開けた場所になっていた。

斜面の一部が盛り上がり土の断面を見せている。

その中ほどから湧水が出ていて、下に小さな池を作っていた。

この地域の水場なのだろう。


頭上は開けていたので、俺たちは再び飛び上がり南を目指した。

(森林の歩き方を覚えないといけないな。音を出し過ぎだ。)

(じゃあ、飛ばないで歩いた方が良くないか。ファルス。)

(いや、今日の所はママドゥ達の村に着くのが目的だからな。次の機会を待とう。)

(遮音の魔法、って、どうですかねぇ。)

(範囲が問題ですね。我々の周囲だけでなく触れる木々の枝葉までカバーしないといけません。)

(ホーク中尉のご指摘通りです。我々より相手を遮音フィールドで囲えれば楽ですが。)

(そうするには相手を確認しないといけなくてぇ、確認する為には近付かないと。うーん、どうどう巡りですねぇ。)

(周辺探知魔法の精度を上げて、相手との距離、相手の体格まで詳細が判る様になれば、あるいは。)

(そうだね、次はそれを試してみよう。)

(遠距離攻撃も有効でしょう。パメラ少尉の圧縮水弾。あれの有効射程はいかほどでした?)

(は、はい。あの水弾の有効射程は20mです。それ以上は水弾の形が崩れてしまうので。

それ以上の距離では石つぶてを圧縮空気で飛ばす空気銃が有効です。

筒をイメージして圧縮空気を送る事で威力は増し、弾道も安定します。

こちらは射程80mです。)


(ファルス、あそこに飛んでいる鳥はどうだ。)

(どうって、無理だろう。空の上ではあちらが上だ。近付いても逃げられるぞ。)


(海が綺麗ですねぇ。レギウス本星を思い出すわねぇ。)

(そうですね。あっ、あそこ。沖に大きな生物がいますよ。)

(うわぁ。なにあれ、触手?うねうねしてる。)

(すごい本数ですね。1体だと思いましたが、何体いるのでしょう。)

(私も1体だと思います。ホーク中尉。)

(あれは・・・狩るか?)

(パス。)


6人での移動は、かなり賑やかに過ぎて行く。

しかし、パメラがホーク狙いだったか。

そうか、そうか。



やがて、前方の浜辺に2隻の小型船が置かれているのが見えた。

陸地の方には木製の建物が10棟ほど見える。

あそこがママドゥの居るゴンジー村だろう。

小型船の手前で浜辺に降り立った俺たちは村内に入って行った。


手前の作業小屋の前に4人のベア族がいたが、俺たちに気付くと、道具などを放り出して小屋の奥へと駆け込んだ。

すぐに一人が出てきて、村の方へ駆けて行った。

小屋には(ひさし)から魚が数匹吊り下げられている。

その作業中だったのだろう。

小屋の中からは5人が固まって出てきた。

手に棍棒などの武器代わりの物を持っている。

中央の一人が手に短刀、いや鉈を持って一歩前へ出た。

ママドゥより2廻りほど小柄な体躯。女性か?

「なんだい、あんたら!一体何しに来た!」

声は少し太いが、女性のようだ。


「突然すまない、俺たちはママドゥ、シシドゥ、エンドゥの友達だ。

俺の名前は、ファルス=カン。北の浜から来た、月の人だ。」


女性たちはざわついている。

あれが月の人、なんで村に、ママドゥが言ってた、変な服だよ、剣を提げているよ。

うん、やっぱり声は大きい。まる聞こえだ。


「ママドゥとエンドゥは漁に出ている。今、シシドゥ達が来るから、そこを動くな。」

「わかった。ここで待たせてもらう。」


しばらく待つと4人のベア族が駆けてきた。

その中の一人がシシドゥだ。

「よおう、来てくれたのか、月の人。

ファルスカンとホークとリサ、だったな。

仲間が増えているのは、どうしてだ?月から来たのか?」

「そうだ、君たちと会った後、月に居た友人たちが来た。

クリス、レイチェル、パメラ、だ。」

「そうか、そうか、それは良かったな。

いやぁ、お前らには感謝してるぜ。

この剣をくれたからな。こいつの切れ味は凄いぜ!ぐわぁはっはっ。」

「それは良かった。喜んでもらえて嬉しいよ。ママドゥは漁に出ているそうだな。」

「ああ、そうだ。

もうすぐ、昼前には戻ってくる。

ほら、あの海鳥が集まっているのが見えるか?あそこにいるよ。」

海を見ると鳥が集まっているのが見えた。だが、距離があって小型船までは見えない。

「今日来たのは頼みがあってな。神官様たちの話が聞きたいんだ。」

「おお、そうだ。神官様の話す神様の話が聞きたいんだったよな。

村長(ムラオサ)に紹介して、案内役を決めないとな。

付いてこいよ。」


「俺が村長の所へ連れて行く。畑に戻っていいぞ。」

シシドゥがそう言うと他の3人のベア族の男性は俺たちを振り返りつつ立ち去った。

女性陣も俺たちを見ながらも作業を再開する。


村の中へ入って行く。

この時間に村に居るのは女性陣と子供、何人かの年寄りだけのようだ。

男性陣と何人かの女性は漁と畑作業に勤しんでいる。

村の中央の開けた場所。

そこに棍棒を振る4人の子供たちとそれを指導する男性2人。

その内の一人が村長のようだ。


シシドゥの紹介で俺たちを見た村長は子供たちの指導をもう一人に託して俺たちの前に来た。

そして、座りこんだ。

シシドゥも村長と俺たちの間、左横に距離を取って座りこんだ。

地面だが、これが彼らの流儀なのだろう。

俺も地面に座りこみたいが、腰の装備が邪魔をして座れない。

片膝を付く形で大丈夫だろうか。

後ろの気配を察するに皆もそうしたらしい。

俺たちが座ると村長が口を開いた。

「ようこそ、月の人。

俺がこの北の村ゴンジーの村長、ドゥドゥだ。」

「俺はファルス=カン。北の浜から来た。月の人だ。」

村長が横のクリスの顔を見る。

(クリス。)

「私はクリス。北の浜から来た。月の人だ。」

「私はホーク。北の浜から来ました。月の人です。」

「私はレイチェル。北の浜から来ました。月の人ですぅ。」

「私はパメラ。北の浜から来ました。月の人です。」

「私はリサ。北の浜から来ました。月の人です。」

「ぐわぁはっはっはっ、ようこそ来てくれた。歓迎するぞ、月の人よ。

で、部族長の村に行くんだったな、シシドゥよ。」

「そうです。村長。」

「なら、ママドゥが戻ったら案内させよう。月の人よ、すぐに発つのか?」

「はい。」

「そうか、そうか。では、ママドゥが戻るまで今しばし待たれよ。

シシドゥ、食の場でお相手しろ。」

そういうと村長は子供たちの指導に戻った。


シシドゥも立ち上がり「こちらへ」と促す。

俺たちはさらに村の中を進む。

広いテーブルと木の座椅子がいくつも並ぶ広場に案内された。

「ここで、ちょっと待っていてくれ。」

シシドゥは広場の横の建物に入って行く。

建物から一人が出てくると俺たちを見てから浜の方へ駆けて行った。

しばらくしてシシドゥと女性が二人、トレイに載せたカップを持ってやって来た。

どうやらお茶らしい。


「すまんなファルスカン。食事をご馳走したいんだが、ちょうど昼飯の支度中でな。

出来上がるのに、もうしばらく掛かる。」

「いや、十分だよ。ありがとうシシドゥ。」

「はっはっはっ、いや、しかし昼めしは期待してくれ。

ママドゥに使いを出したからな。今獲ってきた魚をご馳走できるぜ。

これが、とても旨いんだ。」

「じゃあ、期待して、待たせてもらうよ。」

「ところでよ、お友達の3人も、やっぱり魔法使いなのかい。」

「ああ、そうだ。」

「いやぁ、すげぇなぁ。やっぱり月の人はすげぇや。」

「そうでもないぞ。先程もここへ来る途中で狩りをしたが、獲物に出会う前に逃げられた。」

「ぐわぁはっはっぁ。そうかい、そうかい、逃げられたかい。まぁそういう日もあるぜ。

なんだ、やっぱり魔法でやったのか?」

「いや、この剣を使って仕留めようとしたんだが。」

「剣で!?おいおい、ファルスカン、そいつは無理だぞ。それじゃあ、獲物は逃げちまうぜ。」

「剣ではダメなのか!?シシドゥ。」

クリスが喰いついた。


「ああ、獲物のケモノたちは鼻も耳もいいし、逃げ足は速い。こっちが剣を抜く頃には逃げ終わってるぜ。

獲物を仕留めるなら、けもの道を見つけて罠を仕掛けるか、弓で射るしかないな。

弓で弱ったら、短剣で留めだ。」

「しかし、シシドゥは剣を持っているな。」

「ああ、これは戦士の証よ。

獲物はダメだが、ゴブリン共は違う。

あいつらは向かって来るからな、この剣でばっさりよ。ぐわぁはっはっ。」

「この近くにもゴブリンは出るのか?」

「ああ、出るぜ。

黄根(イモ)畑があってよ、それを荒らしにイノ豚が出るんだ。

そのイノ豚を罠に掛けているんだが、それを狙ってゴブリンが森からやって来る。

ちょうど昨日も1匹仕留めたんだぜ。こいつでな。ぐわぁはっはっ。

イノ豚は喰えるが、ゴブリンは喰えねぇ、邪魔な連中だぜ。」

「すみません。そのイノ豚の罠を見せていただく事はできますか。」

「おっ、罠か!ちょっと待ってろよ。畑の向こうにあるからな。」

シシドゥは立ち上がると村長の所へ駆けて行った。

了解を取りに行ってくれたのだろう。

「ホーク、罠は作り方も教わらないとな。」

「そうですね、大尉。それに畑の様子も見れそうです。」

「おい、ファルス。弓の作り方も聞いてくれ。」

「弓かぁ、矢も作らないといけないぞ。」

「じゃあ、矢の作り方もだ。ファルス。」


部族長の村まで2日だったな。

ママドゥを質問攻めにしそうだな。


■■■


パメラ=クルーガー、少尉です。

シシドゥって熊人が去ってテーブルには私達だけになりました。

立ち去る彼の背中を見て、つい、「もふもふだぁ。」と言ってしまった。

「もふもふねぇ。」

思わず口に出してしまったが、レイチェルさんも続く。

あらっ、と顔を見てしまう。

「レイチェルさんはタイプだと思ってましたけど、パメラもなの?」

リサがこそこそと突っ込んでくる。

「まぁ、タイプだなんてぇ。まぁ、好きですけどねぇ。大きいの。」

レイチェルさん、認めちゃうんだ。この人。

そういえば、ホーキンス甲板長と仲良かったな。


「わ、わたしは、別に。」

「ふーん、そっかぁ。」

「あらぁ、もふもふは良いわよぉ。ねぇ。」

確かに、それには同意する。

艦内庭園にいるロボットには休憩時間によく会いに行っていた。

墜落からの電力不足で今は閉鎖されているので会えていないのが寂しい。


ふと、私の視線がテーブルの先のホーク中尉に向く。

カン大尉と話し中だ。

クリスが向かいの席でうなづいている。


クリスはカン大尉に好意を寄せている。

それはもう、まっすぐに。

うらやましい。

私にはできない事だ。

いや、できなかった事。

今は違う。

環境が変わった。

第一司令部と第二司令部ですれ違いの多い艦内生活と違い、今はいつも一緒だ。

がんばる。

がんばろう。


「パメラ、視線が強いよ。」

「ふふふ。あら、シシドゥさんが戻られたわよ。」


次回20話「襲撃」

ファルス達の初戦です。

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