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第6話 意外な一面

放課後。

 私は桃華と一緒に校門へ向かっていた。

「いやー、転校二日目にして友達になれたね!」

「桃華が勝手に友達になっただけでしょ」

「結果同じ!」

 桃華は今日も元気だった。

 本当に元気だ。

(この子、充電とか必要なのかな)

 そんなことを考えながら歩いていると。

「じゃあまた明日ね!」

「うん、また明日」

 駅の手前で桃華と別れた。

 一人になった帰り道。

 私は少し遠回りをして帰ることにした。

 特に理由はない。

 なんとなくだ。

 公園の横を通りかかったときだった。

 ベンチに誰かが座っている。

「あれ?」

 見覚えのある後ろ姿。

 東雲悠真だった。

(こんなところで何してるんだろ)

 少し気になった私は、公園の外から様子を見る。

 すると。

 悠真の足元に、一匹の子犬がいた。

 茶色い毛並みの小さな犬。

 悠真はしゃがみ込むと、その頭を優しく撫でた。

 子犬は尻尾をぶんぶん振っている。

(へぇ)

 学校ではあまり感情を見せないのに。

 今の悠真は少しだけ楽しそうだった。

 そのとき。

 子犬が急にこちらを向いた。

「わっ」

 私と目が合う。

 次の瞬間。

 子犬は一直線に走ってきた。

「えっ!?」

 慌てる私。

 犬は私の周りをぐるぐる回り始めた。

「ちょ、待って待って!」

 尻尾が反応する。

 ふわっ。

(やばい、楽しい)

 子犬はさらにテンションが上がった。

「わん!」

 その様子を見ていた悠真が近づいてくる。

「……犬、好きなんだ」

「まあ、嫌いじゃないかな」

 本当はかなり好きだ。

 でもなんとなく隠した。

 悠真は少しだけ笑った。

「そう見えた」

「バレた?」

「少し」

 短い会話。

 でも、不思議と気まずくはなかった。

 子犬は私の足元で満足そうに座っている。

「懐かれてるね」

「みたいだね」

 私は犬の頭を撫でた。

 すると。

 一瞬だけ。

 本当に一瞬だけ。

 悠真から、どこか安心したような空気を感じた。

(……なんだろう)

 学校で見る東雲悠真と。

 今の東雲悠真。

 少し違う気がする。

「じゃあ俺、そろそろ帰る」

「うん」

 悠真は子犬を抱き上げる。

 そのまま公園を後にした。

 私はその背中を見送る。

(やっぱり不思議な人だな)

 でも。

 前より少しだけ。

 話しやすい気がした。

 そんな放課後だった。

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