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35週目.vs傲慢①

「コータ、遅くなってすまなかった」

「ああ。大丈夫だ。それにしてもあいつの能力やばいぞ」

「そうらしいな?」

「ん?能力を知らないのか?」

「知っているが、私にはその能力は効かない」

「は?」

「怠惰の楽園!これで少しはお前達も命令に抵抗できるはずだ」

「なんだお前も最強かよ」

まさかの魔王カウンターがゴフェルだとは思っていなかった。


「バハハハ!汚らしい龍人ゴフェル。お前はいつも俺の邪魔をするな」

「お前が魔王に相応しくない人格だからじゃないか」

「さすがに3人相手にするのはめんどくさい。サモン!従え、ラークト!」


地面に魔法陣が現れる。

その中から真っ黒な禍々しい雰囲気のライオンが出てきた。

ラークトと呼ばれるライオンは魔王の前に跪いた。


「コータ、デルザムンドは私とイヅクがやる。ラークトを頼めるか?」

「わかった」

「あれは天候を操る。今朝の雪や海を凍らせたのもこいつだろう」

「本当にめんどくさい敵ばっかだな」

「すまないな。私の『怠惰の楽園』でデルザムンドのスキルの力を抑えている。今のうちに距離を置いてくれ」

「わかった」

俺は巨大な火の球を出し、ラークトに放って距離を取った。

ラークトは火の球を凍らせて、俺を追いかけてきた。


▽ ▽ ▽


「こい。魔槌ドラドレイ。行くぞ、イヅク!」

「はい!」

私の魔槌ドラドレイを掴み、デルザムンドに向かって行く。


「本当に気色の悪い姿だ。お前も息子のようにしてやろう。魔斧ルシガント」

デルザムンドの手には魔斧ルシガントが現れた。


「死ね」

デルザムンドは魔斧を投げる。

魔斧は雷を帯びながら、ものすごい速さでイヅクに飛んでくる。


「曲がれ」

魔斧は軌道を変え、イヅクの翼を掠める。

「くっ!」

「イヅク!遠距離から仕掛けろ」

「あ、ああ」

「戻れ」

魔斧はデルザムンドの手元に戻った。


「俺に従う気にはならないのか?お前達のような気色悪い種族でも上手く使ってやるぞ」

「黙れ。お前のような者に従うわけないだろう」

私はデルザムンドに向かう。


「食らえ!!」

イヅクが後方から風の刃をデルザムンドに放つ。


私の攻撃をデルザムンドは魔斧で防ぎ、風の刃を見て口を開く。

「死ぬまで斬り裂け」

風の刃は急旋回し、イヅクに向かって行く。


「威力をあげろ!もっとだ!もっと!もっと!」

デルザムンドの言葉に反応するように風の刃はどんどん大きく鋭くなって、イヅクの身体を斬りつけた。


「ぐわ!」

イヅクは身体から血を流し倒れる。


「くそおお!」

私は魔槌で攻撃を続けるも、魔斧に防がれる。


「くたばれ!」

デルザムンドが指を指す。

指先から雷が放たれ、私の身体を焦がす。


▽ ▽ ▽


ラークトは俺を追って来ている。

ラークトの周りには竜巻が何個もあり、地面を抉りながら俺に向かってくる。

俺は風魔法で竜巻を作って相殺する。


ガルルルル!

ラークトは俺を睨む。


「悪いけど、お前ができることは俺もだいたいできる」

ガルルル!


俺はラークトに向かって竜巻を放つ。

竜巻の中に火の矢を数本放ち、火の竜巻がラークトに向かって行く。


グアルルル!!


ラークトが唸ると、周囲の空気が変わった。

気温が下がり、俺とラークトの周囲にだけ雪が降ってきた。

雪の勢いは増す。


雪で視界が悪くなっている中、ラークトが襲ってくる。


「ぐっ!」

俺は風の盾で防ぐ。


吹雪はどんどん強くなる。

雪で足元が悪くなる。


火魔法で溶かそうとしても少ししか溶けなかった。

身体に着いた雪を叩いても落とせない。


「なんなんだよ。めんどくさいな!」

雪は俺の身体にどんどん纏わってくる。


ガルルル!

雪で動きが鈍くなったところをラークトに襲われる。

風の盾を出すのが少し遅れて、腕を抉られた。


「くっ!クソ!」

俺は回復魔法で止血するが、痛みが凄い。

このままだと普通に負ける。

今回の戦い、どれも苦手な戦い方を強いられて調子が狂う。


「コータ様」

「ん?ユナダラか」

「はい。支援を申している者を連れてきてもいいですか?」

「え?」

「こちらに合流したいと言ってます」

魔王からも離れたから、命令をされることもないだろう。


「悪いけど、呼んでくれ。何故かこいつとの相性が悪い」

「わかりました」


すると影の中から斬撃が飛んできた。

斬撃は空を斬り、吹雪の勢い低下する。


「コータ!さっきはごめんね!」

コンコン!

影からユイとソンブラが出てくる。

「大丈夫。魔王とは距離を取った、こいつを倒すのを手伝ってくれ」

「うん!頑張る!」

コンコーン!


「「コータさん!」」

影からタカとシゲ、それと妖人族の若者が次々と現れる。


そして最後にツルギが影から出てきた。

「俺達も手伝います」

「悪いが手伝ってくれ。あの雪は中々めんどくさいから気を付けて。火魔法でも簡単には溶かせない」

「わかりました」

ツルギは頷く。


「ヤジャ、ドジャ、ゲジャ!雪をできるだけ溶かしてくれ」

「「「はい!」」」

返事をしたのは3つの生首だった。

生首達は火を纏って、宙を舞い始める。


「おお!」

生首達が雪を空中で受けてくれるおかげで、少しだけ動きやすくなった。


「よし。みんな、あいつを倒してゴフェルの元に行くぞ」

「うん」

「「「「はい!」」」」

コンコーン!


▽ ▽ ▽


デルザムンドの実力を見誤っていた。

同じ大罪の悪魔スキルを持っている私が防戦一方になるとは思っていなかった。


「さっさと死ね!」

デルザムンドは私の尾を掴み、地面に叩きつける。


「がっ!」

「バハハハ!龍人族も大したことないな。鬼人族も大したことはなかった。先人の言葉など邪魔でしかないとわかったな」

「くっ」

「お前達を殺し、龍人族の里を支配下に置く。そして巨人族も倒せば、他国を侵略する兵団を作ることができる」

「他種族の国を襲うつもりか?」

「ああ。悪魔族は他の種族よりも優秀なのにこの領地だけでは足りないだろ?」

「バカなことを考えるな!なぜ無駄な争いをする!」

「何故?強者が弱者から奪ってはいけない理由がないだろうが!!」

魔斧を私に向かって投げる。


先ほどまで痛めつけられていたせいで反応が遅れてしまった。このままだと魔斧を防ぐことができない。


ガキン!


ガントレットが魔斧を弾いた。

私はこのガントレットの持ち主を知っている。


「ゴフェルさん。すみません。もう少し早く来ればよかったです」

私を心配そうに見るのは、サイルバルタンだった。


「外でその態度はやめろといっただろ」

「そうでした」



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