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6話 捜索 ~3階 保健室~

 美術室でケンタロウくんと別れた後、僕達が次に向かったのは3階にある最後の部屋、保健室であった。

 何か予想通りというかなんというか、そこにいたのは羊谷(ひつじたに)ジンだった。


「なんだ君達、どこか具合が悪いのか」

「ジンくん、なんか保健室の先生似合うね」

「猫泉コータ。それは私が白衣を着ているからか?」


 僕は首を縦に動かす。


「そうだね。なんとなくだけど、医者か、化学者って感じがしたよ」

「ふむ。確かに両方とも私は得意だし、それが私の『能力』でもあるからな」

「え?」


 あまりにもあっさりと、ジンくんは自分の『能力』について口に出したので僕は驚きの声をあげた。それと同時に、ユウリくんが前に出る。


「えー! ジンの能力ってなになに? 気になる~」

「猪瀬ユウリ。隠すことではないから言うが、私の『能力』は『医学の知識が膨大になる』というものだ」

「んー、それってどういうこと?」

「文字通りだ。ここに来てから私は医学について知識が一気に詰め込まれた感じになったのだ。どうやら羊、イコール、睡眠、と結びついて、睡眠、イコール、睡眠薬、薬、イコール、医学ってことから、医学に詳しくなる能力、という流れのようだね」


 成程。ケンタロウくんと同じようなパターンなのか。それにしては遠回りな気がするけれど……


 やれやれとジンくんは肩をすくめる。


「おかげで高校生なのにその人生経験に相応しくないほどの知識量を持ってしまっている」

「え? ジンっちって俺っちと同じ高校生なんすか!?」

「自分達と同じ年齢には見えないですね」

「失礼だぞ。確かにボク達よりも大人びて見えるが」 


 サスケくん、ヒナタくん、ツバメくんが驚きの声をあげる。


「というか、みんな高校生だったんだ」

「コータっちも?」

「あ、うん、そうだよ」

「じゃあここに集められた人は全員高校生なのかもしれないですね」

「いや、違うだろ」


 ジンくんが否定する。


「明らかにそこに高校生じゃないのがいるじゃないか」

「ん? 誰のことかなー、ジン?」

「君だよ、猪瀬ユウリ」


 確かに、ユウリくんは中学生、下手すると小学生にも見える。

 するとユウリくんは「失礼だなー!」と頬を膨らませる。


「こう見えてもユウリは高校三年生だぞ! 今年受験なんだぞ!」


「え?」


 その場にいる全員が声を失った。

 ユウリくんが……最上級生?


「……ユウリくん。嘘つきは神様の始まり、って言うでしょ?」

「嘘じゃないもん! というか神様じゃなくて泥棒でしょコータ!」


 ぷんぷんと怒るユウリくんだが、どう見ても年上には見えない。


「……最大限の障壁が排除されたから、これで全員が高校生であることはほぼ間違いない、か」

「ちょっと! 最大限の障壁ってなにさ!」

「あ、もしかしてユウリっち、身体が小さくなる薬を飲んだとか? ジンっち、そういうの作れる?」

「猿島サスケ。残念ながらそれは非現実的な調合だな。クウギョに訊ねたところ、ここにある薬剤は何でも使ってもいいと言われてはいる。保健室のような雰囲気だが、様々な薬品が置いてあるから化学室と言っても過言ではないな。だがそれでも、ここにあるものだけでは、身体が小さくなる薬を作ることはできない」

「材料あれば作れるものなんだ、あれ……」


 驚きの事実を知ったところでユウリくんが本気でへそを曲げたのでなだめつつ、僕達は次の場所へと向かった。


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