42話 2章 ~エピローグ~
大きな時計に見立てられた場所に張り付けられていた、ツバメくんの首が切断される。――その直前で画面がブラックアウトする。
(……流石にそんなグロテスクな映像を見せられたら困るから助かった)
そんなもの、直視できるわけがないのだ。
部屋が明るくなる。
同時にクウギョの声が響く。
「これにて鳥羽ツバメ様の処刑を終了します。
そして皆様、おめでとうございます。
犯人は鳥羽ツバメ様でした。
よって鳥羽ツバメ様の神になる権利は消滅いたします」
その言葉と同時に崩れ落ちた人がいた。
ヒナタくんだった。
「ツバメさん……うぅ……」
誰も声を掛けられない。
そんな中、クウギョの無機質なアナウンスが部屋の中に響く。
「えー、では、これにて今回の円卓会議を終了いたします。皆様、引き続きお過ごしくださいませ」
その声をトリガーに、続々とみんなが円卓会議から退出していく。
残ったのは、ヒナタくんとサスケくん、ユウリくん、そして僕の4人だけだ。
なんとなく動けなかったのだ。
ツバメくんの死に悲しんでいるヒナタくんを置いて部屋を出れず。
かといって何もできず。
ただじっとその場にいて、彼の嗚咽を聞いていた所。
「――羨ましいっすね」
小さく、しかし通る声でサスケくんが落とした言葉。
それはヒナタくんの顔を上げさせ、感情を負の方向に向けさせた。
彼はサスケくんの方に駆けると、胸倉をつかんだ。
「それはどういう意味ですか!」
「どういう意味も何もないっすよ。俺っちはヒナタっちが羨ましいっす」
振りほどこうともせずに、どこか寂しそうな表情でサスケくんは目を伏せる。
「悲しみを素直に表現できるのは素晴らしいことっすよ。悲しいっすけど、でも、涙が流れないんすよ」
「っ!」
ヒナタくんがサスケくんから力が抜けたように手を放す。
「その感覚を忘れないでほしいっす。
出来れば、俺っちがもし死んだ時も、涙を流してほしいっすね」
「何を……?」
「冗談っすよ」
サスケくんはそう言うと、そのまま何も言わずに部屋を出て行った。
「分かるなー、サスケの言うことー」
ユウリくんが横でそう呟く。
「ユウリくん?」
「ユウリもさー、悲しいという気持ちは頭で理解は出来るんだけどさ、理解できるだけなんだよねー。ツバメがいなくなったのは悲しいけれど、でも、それって殺人をしたから仕方ないかー、って思っちゃっているんだよー。――これって、おかしいよね?」
「それは……」
否定できる言葉を、僕は持てなかった。
何故なら、僕自身がヒナタくんみたいに感情を表せていなくて、しかも、それを言語化出来ていないのだから。
「……分からない」
「コータ?」
「ちょっと考えさせて。ごめんね」
居たたまれなくなり、僕は逃げるように円卓の部屋から退室していった。




