第7話 影の魔王、ちょい顔見せ
裏ダンジョンの入口。
冷たい風が吹き抜け、岩壁には不気味な影が揺らめいていた。
その中心で、巨大な黒い鎧をまとった男が腕を組み、仁王立ちしていた。
「……ククク。そろそろ来るはずだ……!」
影の魔王は不敵に笑う。
……だが数分後。
「……おい、ほんとに来るんだろうな?」
さすがに待ちくたびれ、肩を小さく落とす影の魔王。
「このシーン、オレの初登場なんだぞ!?盛り上げなきゃならんのに……」
そのとき、遠くから旅の一行の声が近づいてきた。
「さっちゃん〜、あれ見て!ダンジョンっぽい入口あるよ!」(マオ吉)
「どうせ罠だろ。めんどくさいからスルーでいいわよ。」(さっちゃん)
「おぉ……僕の美学センサーもピクリとも反応してないさぁ!」(バルゴン)
ワイワイ騒ぎながら現れる一行。
影の魔王は満面の笑みで両腕を広げた。
「待っていたぞ!勇者ならぬ魔王の子よ!ここからが本編――」
……スルー。
スタスタスタ……。
全員、そのまま横を素通り。
「…………」
影の魔王の手が宙で止まる。
「え?ちょっと待って?見えてる?オレ、見えてるよね?」
振り返るが、マオ吉たちは全く気づいていないかのように旅路を進んでいく。
「おーい!これ、裏ボスの登場シーンなんだぞ!?本筋につながる大事な……」
声は空しくこだまするばかり。
一瞬、さっちゃんだけがチラッと振り返る。
「……なんか変な人いた気がするけど、まあいいか。」
ドカーン!
影の魔王はショックでずっこけた。
「お、おい!今のノリで本当にスルー!?俺の存在感ゼロ!?
……っていうか脚本家、俺の扱い雑すぎじゃない!?」
そう叫ぶ彼の姿を誰も振り返らず、一行は次の旅へと去っていった。
本日の学びポイント(さっちゃん毒舌解説付き)
登場タイミングは大事!
出番を間違えると、裏ボスでもモブ扱い。
→ 「だから言ったでしょ?カッコつけて待ち伏せしても、空気読めなきゃ無意味よ!」
存在感は押し売りできない!
強キャラぶっても、スルーされればただの背景。
→ 「むしろ哀れよね。黒い甲冑で目立ってたのに全員にガン無視されるって逆に才能だわ。」
物語には“出番の順序”がある!
次回に期待されるからこその裏ボス。
→ 「でもアタシの勘じゃ、あの人また空気読まずに出てくるわね。はぁ……めんどくさ。」




