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最終話

「色々なことがありましたわね……」


両親の仇であるサリートを打ってから一週間後ラミスは高台から辺境を見下ろしながらそう告げた。

ここでは確かに様々な面倒ごとに巻き込まれることにはなったが、だが最終的には長年気づいていなかった仇の生存に気づき、仇を打てた忘れられない土地となるだろうとラミスは直感的に悟っていた。

そして辺境での思い出はそれだけではなかった。


「先行かないで……」


「ねぇちゃんが遅いんだよ!」


「運動不足!」


「……うるせえなぁ」


そう、新たな出会いとそして仲間。

そんな大切なものをここで得ることができたのだから。

がやがやと騒がしいエミリ達姉弟と、マイヤールを見て、ラミスは自然と口元に笑みを浮かべる。

受付嬢として今まで活躍していたエミリに関しては辺境が騒がしくなることを見越して、ラミスが同行を申し出て、そしてマイヤールはいつの間にか付いてくることになっていた。

そして一気に人数が多くなったお陰か、道中はかなり騒がしく賑やかになったことにラミスは楽しく感じていたが……


「………2人きりだったのに」


1人、テミスだけはぶつぶつと不機嫌そうだった。

何となくラミスはテミスに理由を聞こうとしたものの、誤魔化されてしまい未だその不機嫌の理由は分かっていない。

けれども、ずっとこの調子であるのだから何か重大な心残りがあるのだろうとラミスはテミスのことを心配していたりするのだ。


「………小さい男」


「あっ?」


だが、直ぐにマイヤールとじゃれついていて、やっぱりテミスも嬉しいんじゃないかとラミスは少し得意げに鼻を鳴らしてみせる。


それにしてもこの辺境は本当に色々と濃い場所だった。


未だS級どころか、冒険者にも慣れていないのに、元側近達という色々な高ランクの冒険者の知り合いが増えた。

一週間もの間辺境にいたのも、そのお礼の所為で、本当に楽しいひと時だった。


「……こんな風に、旅を続けたいですね」


その時、ふといつの間にか隣に立っていたエミリがラミスの思考を呼んだようにそう呟いた。

その声には何処か、ラミスと一緒に旅をできるということを楽しんでいるようで……


「そうですわね!」


「はうっ」


そして、そのことに気づいたその瞬間ラミスは自然とエミリの頭を撫でていた。

真っ赤にそまる、エミリの顔。

それを見ながらラミスはこれからどうするべきかとそう考えていた。

今から隣国に渡ってS級冒険者の資格を得るのもいいかもしれないし、ギルド長に会いに行って資格を直接貰うのもいいかもしれない。

おそらくギルド長は多忙であっちこっちを走り回っているだろうが、それを探すのもまた一興だ。


「本当に楽しみですわね!」


そしてそんな風に考えながら、ラミスを大きく伸びをした。

空には青い、吸い込まれそうな青空が広がっていて、酷く清々しい。


ーーー そしてそらの中央で輝く太陽は、まるでラミス達の旅の始まりを祝うかのように光り輝いていた。




◇◆◇




これは今はまだラミス達が知ることのない予断の話であるが、ラミスが捨てた王国ではラミスが辺境を潰したことによる深刻な財政難に陥っていた。

魔石という貴重な財源を確保できる場所が一つ減ったのだ。

国が傾くだけの衝撃を受ける、それは仕方がないことかもしれない。

しかし、最終的に王国にとどめを刺したのは辺境の存在ではなかった。


……あまり知られてはいないことだが、実はとどめを刺した、それはかの有名だったマートライト家の当主であったという話がある。

自信満々で混乱する王国の王族に向かって、最低の愚策を献上して最終的なとどめを刺したという……


その話の真偽は、その人物が1人で魔法保有者でも不可能な1000人以上の王国の軍を退けたという話から、定かでは無いらしい…

あとがき


長々とお付き合いありがとうございました!これで一度本作は完結とさせて頂こうと思います!

本当にありがとうございました!

ただ、個人的にもう少し完成度を上げれたのではないか、また、もう少し書きたい所があったという後悔がないわけでは無いので、またリメイク版として出すかもしれません。

その際はよろしくお願いいたします!

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