Episode 13: 綻ぶ剣
私は巨大な土人形の上部、朋佳は下からひたすら攻撃を仕掛け続けていた。
朋佳はギアで足元に小さな足場を作り、地面から数センチ浮いている状況で、精密な弓撃を放つ。
だけど――この土人形、とにかく硬い。
剣を振るっても、ほとんどダメージを与えられてる気がしない。
まるで、コンクリートの塊に斬りかかっているような手応えだ。
それでも人形は動きを止めず、掴みかかろうと、その腕が迫ってくる。
(もっと力があれば……!)
オルビス・コードに所属する女性の地球人は、今でも少ない。
魔法が使えない私たちは、こうして力の差を見せつけられる場面があまりにも多い。
(このままじゃ、勝てない……!)
なんとかして、この巨大な土人形を倒さなければ、リアムにすら近づけない。
リアムは淡々と土人形を操作している様子だ。
私は、一旦距離をとって周りを見渡した。
そして天井――高くそびえる、訓練場の天井を見上げる。
(これしかない…!)
「朋佳!合図したら離れて!」
朋佳はうなずいた。
私はギアの足場を少しずつ積み上げ、訓練場の天井ギリギリまで登っていく。
朋佳はうまくあの人形を同じ場所にとどめるように動いてくれてる。
佐々木は、訓練スペースから少し距離のあるところから、戦闘訓練をみていた。
美空の様子を見て、顔がこわばった。
「おいおい、あいつまさか…。」
私は大きな深呼吸をして、心を落ち着かせた。
そして、朋佳に手で合図を送り――
跳んだ。
ギアを順に解除しながら、私はそのまま空中から土人形めがけてダイブする。
剣を逆手に構え、真っ直ぐに落ちる。
耳元を風が切り裂き、下からは悲鳴が上がる。
――ズドン!!!
ビキビキビキビキ――!!!
剣が貫通した部分から剣が土人形の肩へ突き刺さり、亀裂が一気に広がった。
(いける……今ならいける!!)
全身に力を込めて、剣を押し込む。
ビキビキと音を立て、土人形が崩れ始めた。
そのまま私は崩れ落ちる土をかき分け、地面に着地。
すぐさまリアムに向かって、駆け出した。
「朋佳、右を狙って!」
「了解!」
ギアのエネルギーは残りわずかで、剣もボロボロになっていた。それでも、足場を低空で展開し加速する。左から剣を振り抜き、右から朋佳の矢がリアムを狙う――
勝利を確信した、まさにその瞬間。
リアムが無表情のまま、手を前に突き出した。
「「温度急上昇。これ以上の稼働は危険です。ギアは強制停止します」」
剣が、、燃えている。
(え……?)
驚きで剣を手放した瞬間、朋佳の矢までもが空中で燃え尽きた。
(火の魔法…!?)
動揺した。思考が止まる。
その隙を、リアムは逃さなかった。
彼が地面に手を向けたと同時に、土がざわめくように巻き上がり、鎖のような形を取って私たちの手足に巻きついてきた。
私も朋佳も、完全に動きを封じられた。
もう…動く力も残っていない…
ロアが冷静に様子を見て、手を上げる。
「――戦闘終了」




