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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第2章ー成長ー
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第7話

チーム内 組手トーナメント!

優勝するのは…

 合宿1日目。

チーム内で組手を行い、トップになった者は他のチームのトップと組手試合を行う。


 ここでの組手は空手などのルールに基づいたものではなく、正直何でもありな喧嘩だ。

もちろん、投げ飛ばそうが頭部を攻撃しようが怪我をさせても反則にはならない。

ただし、今後の任務に影響するほどの怪我を負わせると罰則が科せられる。

武器などの使用も不可だ。


 そして優勝者のチームにはポイントが入る。

このポイントは合宿最終日に集計されて順位が付けられる。

チーム内初戦、僕はガタイの大きい中学生相手に勝ってしまった。


「おい、マジかよ。あんなヒヨッコにあいつが負けるなんて」

「力じゃない。巧みな技術で勝ったんだ。あの1年生」

「大したもんだ」


 誰もが予想をしていなかったであろう僕の勝利にチーム内はざわついた。

トーナメント式のこの組手試合は淡々と進んだ。

僕の2回戦。チーム内の全員が注目していた。


「さっきは紛れ勝ちしただけだ。お前みたいなヒヨッコはもっと訓練を積み重ねてこい」

「お、お手柔らかに」

「それでは、始め!」


 初戦の相手とは違ってテクニックを駆使してくる。

大柄なのに僕が得意とする懐に入る隙が全くない。

警戒している相手の懐に入るには……わざと捕まるしかない!


「捕まえた! ちょこまかと動きやがって。このまま絞め落としてやる」

「うっ!」


 予定通り捕まった。

外野は当然の結果だと思いながら見ていた。


「あーあ、捕まっちゃった。ああなったら終わりだ」

「早くギブした方が身のためだぞー」


 野次が飛ぶ中、僕は首を絞めている相手の腕からすり抜け、そのまま脇の下をめがけて突進。

相手は完全に捕まえたはずの僕が、すり抜けて突進してきた一瞬が分からず、そのまま後ろに倒れた。

後は首元に指を突き刺せば決着はついた。


「ど、どうやって抜けたんだ」

「僕も一応訓練してきてますから。捕まった時の逃げ方は1番最初に教わりましたよ」

「俺が知ってる抜け方では抜けない絞め方をしていたはずだが」

「では、僕が習っている先生はすり抜けの天才なんでしょう。様々な抜け方を教わりましたので」

「こりゃ参った」

「ありがとうございました」


 こうして2回戦も突破した。

同じく達樹くんも2回戦を突破していた。

小1が中学生を相手にどんどん勝ち進んでいる事は合宿の生徒中に知れ渡っていた。

そしてチーム内決勝まで来てしまった。

しかも、決勝は僕と達樹くんという小1対決だった。


「まさか達樹くんと戦うなんて」

「ビックリだね。あんな大きな人達に勝つなんて」

「とりあえず、ここでの決着をつけないとね」

「負けないよ」

「もちろん僕もそのつもりだ」

「それでは、始め!」


 基本、他のチームの試合を見る事は許されない。

しかしここはエリートスパイ養成所。

バレないように下見をするのは許されている。

その代わりバレると処罰が下される。


 僕たちの試合を観に来る他チームは沢山いた。

そしてそれを見越した講師たちがどんどん他チームの偵察隊を捕まえた。


 僕たちはそんな事が起きているとは知らず、真剣勝負をしていた。

一緒に訓練して来た達樹くんは流石に手強かった。

しかし、使える手を知っている為、対処も出来た。

それは達樹くんも同じだ。

すべての攻撃は避けられ、長期戦になった。


 達樹くんは僕の手の内を知っているが、僕のオリジナル技は知らないだろう。


 塾が終わって帰ってから練習していた技があった。

人前で使うのは初めてだから達樹くんも知らないだろう。

そう思いながら様子を伺っていた。


 すると達樹くんから仕掛けてきた。

僕が得意とする“わざと捕まり懐に入る”作戦だ。

これはオリジナル技に持って来いの状況だった。


 その作戦に乗って達樹くんを捕まえた。

達樹くんは引っかかったなとドヤ顔をしながら腕からすり抜けて突進して来た。

その隙に僕はもう一度背後を取り足を絡ませ達樹くんの身体が横に一回転した時にみぞおちを的確に突いた。

達樹くんはうずくまって動けなくなった。


「そこまで!」


 僕はすぐ達樹くんに駆け寄り声をかけた。


「大丈夫?! ごめん、強く突き過ぎた」

「大丈夫大丈夫。まさかあそこから背後を取られると思わなかったよ。完全に僕が勝ったと思ってしまった」

「あれはたまたまだよ」

「たまたまであんな動き出来ないだろ? 自主練していたんだね。いつも一緒に居るから分かるよ。完敗だ」


 達樹くんはそういいながら笑っていた。

こうしてチーム内で優勝した僕は、他チームのトップと戦う場へと駒を進めた。


「純くん、優勝おめでとう」


 卓さんがやってきた。

次のチーム対抗はもちろん1対1だ。

しかしそれは表向きの話で、チームの仲間が手助けする事を許されている。

もちろん相手に分からないようにが絶対条件だ。

相手は何をしてくるか分からない。


 もちろんこちらもチーム内で手助けをする。

しかし、それを気にしながら戦う必要はない。

戦いの邪魔にならないように手助けする技術も争われる。


 この組手試合を行う本当の意味を知った。

チーム内の戦いはあくまで表向きのリーダーを決めるため。

本当の狙いは隠密に敵を倒すことである。

僕は最も危険な立場にあるとこの時やっと気付いた。


 そして、50チームの各トップが争う試合が幕を開けた。

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