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赤聖国で生まれた僕は  作者: 真灯出愼
第5章―裏切り―
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第34話

封国・・・英語圏の国。一般市民も銃を持ち歩き、毎日どこかで銃撃戦が勃発するほど治安の悪い国。

 反乱軍を殲滅する為に組まれた3人1組。

僕と共に組むのは男性1人と女性1人だ。

男性は芦川(アシカワ)、女性は梅宮(ウメミヤ)と名乗った。

そして僕たちは反乱軍が潜入しているという情報が入った封国フウコクへと向かった。


 到着早々、チームの2人が拳銃のメンテナンスを始めた。

もちろん僕も支給されているが使用するつもりはない。

しかし、2人は反乱軍を殺害する気満々のようだった。


「松田君、君は拳銃のメンテナンスをしないのかい?」

「僕、拳銃は苦手で。いざとなったらナイフでどうにかしますよ」

「そうか。君は接近戦の方が得意なのか」


 疑われてはいないようだ。

芦川は弾の補充もスムーズに出来るように上半身にびっしりと銃弾を装着している。

梅宮もどちらかというと接近戦派のようだった。

俺たちは封国の町を散策し始めた。


 とある洋食店に潜入中の候国スパイを殺害し、候国スパイになりすましている赤聖国スパイが居るそうだ。

多分、反乱軍はその赤聖国スパイを狙うのではないかという情報が入っていた。

俺たちはその洋食店に向かうと、確かに名前までは分からないが顔に見覚えのある赤聖国スパイが働いている。

多分、国内の小学校を渡り歩いている時に地下塾へ推薦した内の1人だ。


 店内を見渡すと、反乱軍と思わしき人物が3人いた。

芦川も梅宮も気付いているだろう。

完全にロックオンしている目だった。

すると、僕の眼鏡にメッセージが飛んできた。


【あと30分でターゲットは仕事を追えて帰宅する。その時に実行する為、援護しろ】


 どちらにしろ誰かが命を落とすのか?

しかし一方が殺すことを目標にしている限り、殺さないと殺される。

覚悟を決めて僕は二重スパイとしての任務を全うすることにした。


 反乱軍の3人が席を立って店を後にした。

僕たちも追って店を出た。

仕事を終えたターゲットの後を付ける反乱軍。

その反乱軍の後を付ける僕たち。

反乱軍が前の交差点を曲がったところで、芦川は回り道をする為に脇道に入った。

僕と梅宮はそのまま後を追う。

交差点を曲がると反乱軍も1人減っている。

芦川の動きがバレたのか?


 急にターゲットが立ち止まった。家の前に着いたようだ。

反乱軍は何事もなかったかのようにターゲットの横を素通りして行った。

僕たちはターゲットから少し離れた位置でターゲットを監視する。


 ――ピピッ。狙撃ポイント到達。反乱軍が戻って来たら射殺を実行する。


 芦川からの無線だ。

反乱軍は何も知らずターゲットの家の前に戻ってきた。

射撃範囲に入る直前で立ち止まり、何か考えている様子だ。


 ――なぜあそこで立ち止まっているんだ。いかにも俺が射撃出来る範囲を知っているかのように。


 芦川は苛立っているのか、1人でぶつぶつと文句を言っている。

芦川が静かになったところで、僕たちも反乱軍に近づき始めた。

すると反乱軍も動き、芦川の射程範囲に入った。

梅宮は立ち止まり、僕にも止まるようにと肩を掴んできた。

芦川の射程範囲に入ったという事は、いつ発砲するか分からないということだ。

わざわざ撃たれる可能性のある場所へ行く必要はないという意味だろう。

しかし、発砲されることなく反乱軍は家の中に入っていった。


「芦川? なぜ撃たなかったの?」

「…………」

「芦川?」


 芦川の返事がない。

僕はこのまま反乱軍が出てくるのを監視するため留まり、梅宮が芦川のところへ向かった。


 ――ピピッ。芦川が殺されていたわ。多分反乱軍でしょう。直ぐ戻るから待ってて。


 あの時、芦川は喋るのをやめたのではなく殺されていたのだ。

少し目を赤くした梅宮が戻ってきた。

反乱軍はまだ家の中から出てこない。

梅宮は冷静さを失っているのか、乗り込んで反乱軍を殺すと言い出した。


「待って! 家に入ったのは2人だ。芦川を殺したもう1人がどこかで見張っている可能性がある。無茶な行動は控えた方が良い」

「でも!」

「あなたまで居なくなったら僕は……」


 梅宮は冷静さを取り戻したようだった。

反乱軍がターゲットの家から出てきて、やはり外を見張っていたもう1人と合流した。

そして反乱軍はこちらに向かって拳銃を構えると発砲してきた。

壁に当たった銃弾に驚いて思わず声が出そうになったが、梅宮も動ける状況ではなさそうな為、後を追うのをやめた。

赤聖国スパイとしての任務は失敗だが、反乱軍のスパイとしては成功だった。


【任務完了。援護感謝する】


 反乱軍からのメッセージだ。

ターゲットの家に入ると、急所を一突きされたターゲットが倒れていた。

僕は梅宮と共にターゲットと芦川の死体を回収し、赤聖国へと送り届けた。


「反乱軍、思った以上に手強いわね」

「ああ。油断してるといつでも殺される」

「それにしても、任務完遂率100%のあなたが失敗するなんてね」

「チームでの任務は初めてな者で。やはり1人とでは勝手が違う」

「何? それは私達が足手まといだったと言いたいの?」

「そういう事じゃないんだけど。まあ、僕も完璧じゃないということだよ」


 梅宮は少し不機嫌そうにしていたが、僕はこの後の任務の実行する機会を伺っていた。


【計画を実行せよ】


 反乱軍から指示が来た。

僕は梅宮にナイフを付きつけ、そのまま拘束した。


「どういうつもり?」

「ごめんね、僕も反乱軍の一員なんだ」

「なるほど。だから赤聖国があっさりと負けたわけね。やっぱりあなたは任務完遂率100%だったということね」


 梅宮は落ち着いていた。

僕たちが拠点としていた場所に反乱軍が乱入してきて、梅宮を連れて出て行った。


「ご苦労様。多分、このまま帰っても君は疑われるだけだ。もう赤聖国には戻るな」

「そうですね。一緒に反乱軍の方へ行きます」


 こうして僕は完全に反乱軍の一員となり、赤聖国からも指名手配されることとなった。

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