1-10 酒場にて
携帯電話もそうだけどいつでもどこでも掛けられるのは便利だけど相手のことも考えて掛けるべきだと思うんだよ。
長期の休み以外は週4回入ってるバイトを終えて少し遅めに就寝。途切れた意識から浮上し始めた時、頭に響いたのはアマザからの念話だった。
『ええ加減、目ぇ醒ましぃ~~~。夜にみんなで飲むっちゅうたやろ~』
頭に響く叫んでいるような音量のアマザの念話に驚いて意識が一気に覚醒して、びっくりして筋肉が痙攣したと同時に目を開けた。
畜生!マリアさんに優しくゆすって起こされるどころか店の前の入り口横に座って放置されてた。まだアンジェに椅子に蹴りを入れられて起こされたほうがマシだった。まずはとりあえず返信か。
『すまん、アマザ。結構な肉体労働で昼飯抜きだったんで我慢できずに先に馴染みのところで食べたら食後にウトウトしてた。』
『こっちの念話が跳ね返って来おへんかったからウトウトどころかしっかり寝てたんとちゃう?とりあえず汗流したら、加入祝いと今日の大物祝いで奢るからこっちに来ぃ。朝に集合した10番出口の狩人詰所の傍にある「宴」っちゅう酒場におるからなぁ~』
そういって念話は切れた。
カードを介した念話はこっちの意思を向こうに届かせても向こうに声がいきっ放しの場合が相手に届いているので返答がないなら寝ているか多忙。自分の発した念話が跳ね返ってくる感じがすると念話を拒絶されていることになる。
そのためこっちが寝ていることはアマザには分かっていたようだ。
それにしても屋外に放置とは…後日アンジェに文句を言ったら、
「仕方ないでしょ?母さんと二人で外に運んだけど部屋に放り込んだら部屋が獣くさくなってたけどそれでもよかったの?」
とのことだった。仕方ないか。
そういや装備も詰め所で洗浄してもらった方がいいのか。
着替えをバッグに詰めて10番詰め所によってアマザに見立ててもらった手甲などの手入れと保管を頼んだ後、いつもの地元とは詰所の隣に併設されている銭湯で獣臭と汗を落として「宴」に向かう。正直さっきの8人前の定食が腹の中でこなれている最中なので食欲はないので軽く飲む程度ならいいか。
日本の店のように暖簾は存在せずドアに貼り付けてある大きな宴の文字を見て中に入る。すると入り口を見ていたのかすぐに声をかけられる。
「お~~~来たな~カイル~ こっちや~」
なんだか狩りの間よりも声が高い。既に出来上がってるのだろうか。テーブル席で俺以外のパーティーメンバーが大皿を囲んで飲んでいる。
「すまないな。狩りの時に飲むとは聞いていたが猛烈に腹が減って馴染みの店で先に飯をかっ込んでた。」
そういう俺に対してアッシャーは飲む場所を先に伝えてなかったのも悪かったと着席を進めてきた。
「それじゃ~~~、改めて~~~、もう一回カンパ~~~イ! カイルは今日からよろしく、そんでもってお疲れ~~~!!」
呂律はまだ大丈夫だが酔ってるのだろうか?アマザからグラスを渡され、音頭と共に全員で飲み干す。
年輪都市でもいわゆる「酒」、アルコール飲料は存在してはいるのだがそれ以外である果実の成分が酒と同じような酩酊状態をもたらすことが知られており、アルコールのような二日酔いを生じないためこの果汁の方がより一般に酒として愛飲されている。
だがこの果実酒はアルコールが含まれていないので飲んでも血管が拡張されることがないため顔が赤くなって火照ったりはしない。そのため今のアマザの顔を見てどれくらい酔ってるのか分からない。
日本からすると絞った果汁ジュースで大の男達がいい気に酔っ払っているという絵になる。飲みやすいのだが年輪都市には氷がないので生ぬるい。また飲酒は学校を卒業すればOKなので最低14歳から飲める。
「折角自分の歓迎飲み会な~~のに先に帰っちゃったヤツにはも~~~いっぱ~~い!」
テーブルに料理と共に置かれた大き目のピッチャーから空になったグラスに注がれる。アマザは出来上がってるのか素面で相手をするのはちょっと疲れそうなテンションだ。
「おいおい、そこの酔っ払い。いきなり絡むなよ。」
アッシャーがアマザを抑えてくれるみたいだ。
「ええやんか~。狩りは成功したし1日の儲けはこれまでで最高、今日は異法の訓練に当てることもないし、後は飲んで食べて楽しむのが人生ってもんやろ~~。」
アッシャーに言われた後にそう言い返し自分の席に座ってちびちび飲んでいる。
アッシャーは大き目の半袖に7分丈のパンツ、ニミヤはタンクトップ、ホーヅは作務衣のようなものを着ているが相変わらず仮面が浮いている。
アマザは腕を伸ばしたらヘソが見えそうな短い丈のノースリーブのシャツとパンツ、タミーは狩りの時に纏めていた髪を下ろしているが予想以上に長く、肩の下まである。服装は長袖の灰色のブラウスに黒のロングスカート。狩りの時ような手袋はしてないが傍らに頭を覆って日差しを避けるための布が見える。長袖といい焼けるのを嫌ってるのだろうか。日本の世界のイスラム世界の女性が身につけるブルカほどでなく、顔は目元だけをだすニカブみたいなもんだろうか。
大森林に入るときは防具をつけていたので分からなかったが可愛い顔立ちのアマザの方がスタイルがいいようだ。服装のせいでそう見えるのかも知れないが男の目なんてそんなもんだし。
「狩りの終わりにはよく飲むのか?」
「狩りの終わりでなくて1日の終わりには、かな。今日の狩りにしたって親が来なかったら昼過ぎには終わってたからな。普通のあの後は各人が自由行動だが情報を集めたり、異法の修練に時間を当てて夜から次の日の狩りについて話したりするついでにこうやって集まることが多いな。」
アッシャーがフォークでベーコンのようなものを突き刺し、パンの上に乗せながら話す。
「それは俺達に限ったことでもなくてな。
大体こういった外門に付属する狩人詰所には当然詰所の職員がいるだろ?それに併設されている都市の買取課の職員。そういった連中も仕事帰りにこういった近場で飲み食いすることが多い。当然仕事を終えた狩人もな。一仕事終えた後に大森林の湿気でかいた汗を流して酒と飯を食うってのはいわば一連の流れだ。
そして酒が入ったところで口が軽くなったところから情報を得る目的もあるのさ。別に秘密にしてる情報でなくても意見を交わしたり、情報を交換したり、狩人パーティーが共闘する相手を探してたりするぞ。こんなのは別に狩人でなくてもほかの業種もそうだろうがな。」
なお各出口近くの詰め所の近く以外に中央にも狩人が集まる酒場があるがこれらは2級や1級を狩るような熟練の狩人の交流や情報交換場所となっている。
「そう、特に、ここしばらくで、一番高値がついた、ハガネイノシシを仕留めた、俺達は注目されてる。」
ホーヅの言葉にカウンターで背を向けて飲んでいた他の客が俺達のテーブルに向かって聞き耳を立てていたらしいことを知る。念のために念話でホーヅに話す。
『だが確か買取課の話じゃ普通もっと奥にいるってことらしいから、ホーヅが言ってた様に西にある湖あたりから一時的に追われたやつだから狩った場所を探っても無駄じゃないのか?』
「もちろん、ハガネイノシシと遭遇したのは、偶然だろう。 探られても、問題ない。」
ホーヅは念話でなく口頭で俺の質問に返す。
「そういや昨日の今頃にアマザから念話でカイルをポーターに決めたってのを聞いたくらいでカイル本人のことは何も聞いてないんだが?朝も狩りの前だったからあっさりした挨拶程度だったからな。」
「そらそうやで~。大体未経験でも問題ないっちゅうことでテストしてポーター即決しただけでウチも詳しいは聞いてないもん。パーティー組んどったらそのうち分かるやろし。」
(((こいつは・・・・)))
「ああ、別に俺は隠すような経歴もないし改めて自己紹介でもするか?
カイル・キニダック、17歳だ。
年輪都市で苗字があることから分かるように親は移民組みだ。
神聖都市ってところから移ってきたらしいが詳しくは知らん。既に親もいないしな。
今は都市東の外縁近くに部屋を借りて住んでる。ちなみに今日の狩りで使った如意棍は養父が神聖都市で使ってたやつらしい。この年輪都市じゃああいったのは見かけないな。」
「ふーん。見た目どおり年は俺達とそう変わらないわけか。それならなんでその年でいきなり初心者ポーターなんだ?普通はもう自由研修期間も終わって職についてるもんだろ?」
「こぉ~ら~ アッシャ~~~、他人の事情をいきなり聞くもんとちゃうで~~~」
アマザが肉団子みたいなやつを楊枝で突き刺して口に運びながら嗜める。
「別に構わんぜ。そもそも俺は学校に行き始めたのが2年遅くてな。
通常14歳で卒業するところを16歳で卒業したから一応ぎりぎり自由研修期間ではあるんだわ。でなりたい職はあったんだが適正がなくてな。諦めきれずに外壁修復の募集で食いつないでいたがそろそろ踏ん切りがついて心機一転するために他の職を経験してみようと思ってな。」
「適正がないのにすぐに諦められなかったってことは・・・異法士でなく源力操作か? 術士を目指してたのか?」
いきなり確信ついてきたのはニミヤ。
そりゃわかるか。就きたい職職があるならさっさと研修期間中に関係職に師事しればいい。狩人すら異法士でない一般人でも罠を使って行うものもいるからさっさとそれを習えばいい。
それでもなれるかも?なんて希望を持てるのは後から発現する可能性がある術士くらいだ。
「なに?工術士を目指してたのか?」
食いついてきたのはアッシャー。
「いや、知り合いの医術士の下について研修したかったんだけどな。」
「医術の方か。工術士で腕のいい知り合いがいたら俺の防具の術付与を格安で頼めないかと思ったんだがなあ。」
「こんの改造マニアが~~。まずは自分の異法の威力の強化が先やろ?~~~」
「放っとけよ。ギミックは男のロマンなんだよ!お前も男ならわかるだろ?カイル」
「あのゴテゴテしたのは何か仕込んでたのか?」
「今のところ十徳ナイフみたいな感じだけどな」
「背負えるもんを手甲や具足に仕込んでも無駄やって~~~」
アマザとアッシャーが言い合いを始めたので俺はホーヅに目を向けた。
デカい男だが猫背になることはなくどっしり構えてゆっくりと果汁酒を飲んでいる。
「なぁホーヅ。その仮面って何か意味があるのか?答えづらいことなら別に構わんが。」
そう聞くとアマザとアッシャーは口論をやめてこっちに視線を向けてきた。
「これか、このために付けている。」
そういって後頭部の固定具を外して素顔を晒す。
そこにあったのは両目の間、眉間の下くらいから額に掛けての縦直線に肉が抉られ、その患部は瘡蓋にならずにじゅくじゅくと化膿したままのように見える傷だった。
「狩りの時、不覚を取った。巨獣の爪には、化膿させやすいものがあり、医術士に、治療促進をしてもらってるが、なかなかよくならない。周りを、不快にさせないため、ガーゼを仕込んで、これを付けている。」
「なるほど、ひょっとしてだけど、そのガタイでパーティー内でポーターを兼ねていないってもしかして…」
「そうだ。これ以外にも、右膝を噛まれた。医術士により、治癒はした。だが、完治でなく、俺の体を維持できるだけ。ポーターとして、荷を背負えない。
普通、俺みたいに、故障したヤツは、狩人からは歓迎されない。
拾ってくれたアマザには、感謝してる。」
「ええねん! そういう話は! あんたも飲みぃ!」
そう言ってホーヅのグラスにピッチャーから注ぐアマザ。
化膿が治まらないってことは源力の治癒力強化よりも細菌の繁殖の方が早いってことか?じゃあ俺が重複化して治癒かければ直るんじゃね?
どうなるかわからんがやってみるか。さっきの卵定食8人前はまだ消化してはいないけど飢餓感は収まってるし。俺は3倍程度の重複化を行う。それによってそれまで一杯だった源力は上限量が3倍になったことで一気に全体の1/3になったので満ちてくるのを待つ。
普通1/3も源力を消費すれば都市内にいても満タンになるのに3時間ほどはかかるそうだが俺の場合は何故かすぐに体に満ちてくる。
「ホーヅ。そのまま、目を瞑って、くれ」
おっと口調が移っちまったぜ。
「わかった。」
席を立ってホーヅの後ろに立ち、両手をホーヅの額に重ねる。
「なにするん?」
アマザの声には反応せずにホーヅに問う。
「そういや、その区切る口調はこの時の負傷か?」
「違う。元は早口だった。聞き取りにくいと言われて、ゆっくり、はっきりと、意識したらこうなった。」
「なるほど。」
他のメンバーがこっちを注目する中、五分ほど経ち、
「熱い。」
「もうちょい我慢しろ。」
「痒い。」
「もうちょい我慢しろ。」
もう大丈夫か?そう思って翳していた両手をもどし、席に戻りさっさと重複化も解除する。
やはり更に3倍重複化を行ったためか早くも空腹を感じる。 ともかく手前にあるパンを引き寄せなにもつけずに齧り付く。
「何をした。」
そういってかゆいのか額を掻くホーヅ。するといつの間にか出来ていた傷口全体を覆う瘡蓋がぼろぼろと落ち、肉が抉れた部分はへこんでいるが健康な皮膚が現れる。
「はぁ?!」
一気に酔いが醒めたのかアマザが声を上げ、タミーが目を剥いている。するとニミヤから念話が飛んできた。
『アマザ、静かにしろ。ホーヅ、すぐに仮面を付けろ。全員念話で会話しろ。』
『カイル!どういうこと?あんた医術士やったん?』
『いや?朝にも爪を見せて名乗ったが俺は一般人の区分だ。しかし学校に遅れて入るまでの間の修練の最中に源力の操作はできるようになってた。だが卒業時のカードは術士を示す変化は現れなかったから俺には医術士としての研修を受けることは許されなかった。いってみりゃモグリの医術士だな。』
『はぁ~~!?そんなことあんの?大体ホーヅの額ってずっと医術院に通っとっても治れへんかったのにさっき手を翳しただけで?』
『たぶんその医術士はパワー不足だな。』
『パワー不足?』
『ああ 異法士がより強い力を行使するのは源力をより多く行使するからだろ?じゃ同じ源力を使う術士だって同じさ。一度に扱う源力が多ければ治癒の力も増進されるって論理にはならないか?』
『そらそうかもしれんけど… あんたには1日2回も驚かされたわ。』
『カイル、他の連中もだがこの件は他言無用で黙っておけ。酒場でやらんほうがよかったな。カイルだってモグリで医術を使ったってことを広めたくはないだろう?』
『いや?それに関しちゃ問題ないぜ。 力があるのにカードが変わらないのはおかしいって担当課の職員に源力操作を見せたことがあるからな。』
『なるほど、しかしあまり広めん方がいいだろうな。絶対に絡んでくるやつが出てくる。』
『あいよ。』
「ところで聞きたいことがあるんだがいいか?」
「なんやねん?」
アマザは醒めた酔いを取り戻すためか更にピッチを上げて果実酒を飲み始めた。
「このパーティーの人数構成って一般的な狩人のパーティーとしちゃどうなんだ?」
「狩人のパーティーそのものが色々あるから「一般的に」と聞かれたら何とも言えないわね。」
そう答えたのはタミー。
「最低の狩人のパーティー構成だと土異法士だけ二人、なんてのもいるけど普通は索敵のための風の異法士が入って3人の異法士が最低の構成メンバーだけど狩人のパーティーってのは色々あるのよ。
10人以上のメンバーで各人の儲けは減っても確実に狩ることを目的にしてるところ、更に20人を超えるメンバーでパーティーを構成しているけど、その時々や狙う獲物によって出たい人だけが狩りに参加する形態とかね。
ただ固定の5人パーティーで私達みたいな10代の女が2人ってのは珍しいで方でしょうね。そもそも女の異法士は都市内で安全な仕事をすることが多いもの。都市から早い結婚や出産が奨励されてるから、若いうちは狩人として活躍しても25を超えたら狩人をやめて結婚する場合が多いわね。このパーティーの構成自体は索敵の風のニミヤ、足止めと防御の土がアマザと予備の私で二人、ボウガンとかの攻撃担当で水流剣も使える水の異法士が二人で3級を確実に狩るってだけなら狩りのセオリーに従った異法士の内容だからバランスはいいわよ。」
「じゃ次にこのパーティーにはいないが狩人じゃ火の異法士ってのはどういう役どころだ?」
するとカウンター席から笑い声が上がった。
「ひゃははは! なーにいってんだか?ハガネイノシシを仕留めたパーティーって聞いてたけど単なる運がよかったまぐれの成果かよ?
火の異法士の狩人の役どころを聞くなんてなぁ!」
俺達よりも年上二十歳を超えてるような感じだ。
「居ったんかいなモトス。酒が不味ぅなるから黙っとき」
アマザはそういうと不機嫌になり、更に果実酒を煽る。
『こいつ誰?』
『ウチが前に籍置いとった狩人パーティーのメンバーの一人や。いけすけかんやつやで。』
「いいか?素人のニイちゃん。火の異法士の力ってのは熱だぜ?都市内じゃ料理をするために器具を加熱したり、銭湯で湯を作ったり便利だがな。狩りで相手にするのは巨獣だぜ?術士と違って異法士が源力を流して操るのは無機物だけだ。巨獣が生き物でないなら使い道があるかも知れないが相手が生きてる以上はやつらの温度をあげて燃やすなんて不可能だ。それに例え可能でも売るための素材や肉を丸焼きにしてどうするんだ? 精々火の異法士が狩人パーティーでできるのは大人数のキャラバンでの料理担当くらいなもんだぜ?」
「火の玉をぶつけたり、燃える剣で戦うってのは?」
日本のラノベじゃ主役級の火の能力者なのでファイヤーボールとかそれっぽい武器で戦うことはできないのか聞いてみた。
「おまえは馬鹿か?火の玉をぶつけるって一体何を「燃やしてる」んだよ?燃えてるものをどうやって投げるんだよ?
それが当たって巨獣が火に包まれるとでも?
そんな攻撃して自分の周りが燃え始めたらどうすんだ?
それに燃える剣?そんなに温度が高い剣をそもそもどうやって持つんだ?
仮にそれを押し付けたらそれだけで3メイト以上もある巨獣が殺せるとでも?
精々、火傷を負って余計に暴れる程度だろうよ。」
「なるほど。狩人では火の異法士ってのはいわば死にスキルなのか。」
「そ、役に立たねぇってことよ。」
「ほかにも聞いていいか?」
「おう、アマザたち駆け出しよりは物を知ってるぜ。」
「狩人が狩る巨獣は雑食だよな?完全に草食の巨獣ってのはいないのか?」
日本の世界の食物連鎖だと植物→草食動物→肉食動物ってな感じだが年輪都市の大森林だと植物→雑食動物(小型→大型)ってな感じなんだよな。完全な草食動物っていないのか疑問だった。
「肉を一切食べないってことか?いるにはいるが他の都市から高額の調達依頼が出てるほどだぞ。普通の巨獣よりも肉のクセが少ないってこともあるがともかく変わった形が多い。その素材が高く売れるんだが簡単に人が踏み込むような場所には定住していないようでたまに見つかる程度だな。」
なるほど・・・雑食で大森林の植物「も」食べる巨獣ですらハガネイノシシみたいに植物に含まれる金属やらミネラルやらであの武器だ。草食動物は完全に摂った成分を防御に回してるっぽいな。
「他にはねえのか?」
「これは狩人とは関係ないとは思うが一応。
俺達が食べているのは元は大森林で取れていた植物を都市内で栽培してるもんだよな。雑食や草食の巨獣が同じように体の一部に金属を取り込んだみたいに変化してるみたいだが両方が食ってるものなら大森林の植物が原因ってことになる。やつらの武器や身を守る仕組みが大森林の植物にあるなら同じくそれを食べてる俺達人間にはあんな変化が出たものはいないのか?」
「はっ?知らねぇよ!狩人とは関係ねぇじゃねぇか。
大体巨獣なんてもんはミトラじゃ大森林にしかいねぇらしいし、そんなもんじゃねえのか?
俺達ヒトが植物食べて問題ねえんだから考える必要もねえだろ!」
やはり人間が大森林の植物を食べても問題はないのか?植物に金属などが含まれてるならそれらの毒性が発現される前に全部排泄されているということなのか?
やはり日本の世界の人間とは筋肉の構造が異なってるどころか内臓の器官もことなってるかもしれんな。
ところで排泄物にそれらの金属が混じってるってことは何かに使える・・・のか? あるいは一箇所に蓄積されるなら重金属による環境汚染になってるんじゃ?
いや、そもそもこの世界の元素もあっち同じかもわからないのか。「世界」がちがってるわけだし。
「なるほど、面白い考えだな。」
思考を止めたのはモトスという男とは反対の壁のカウンターから立ち上がった声だった。ホーヅのように大男ではないがそれでも1メイト80モイトは超えて肩と首の筋肉が盛り上がっている短髪で金髪の男。世紀末覇者の○○○様かよ?って威圧感がある。
「あんたゴウトさん?」
モトスは知っているようだ。酒場の客が一斉に注目している。
「ちょっと立ち寄ってみたが新人パーティーも面白いのが出てきてるな。たまにはいつもと違う酒場によってみるもんだ。」
そういって会計を済ませて店内からの注目を意に介さず去っていった。
「誰?あれ」
「ゴウト。一級巨獣を狩った実績がある、狩人パーティーの、リーダー。」
「ふーん。ま 俺みたいな成り立てポーターには関係ないな。」
「もぅ~~~そんな話はえーから飲み飲みぃ~。」
ゴウトには注目せずにモトスが声を掛けてきてからこっち果実酒をずっと飲んでいたアマザは既に出来上がっていた。座った俺の横にやってきて右腕で俺の頭を抱えて果実酒を勧めてくる。どうやら酒の席で真面目な質問をしていたのが気に食わなかったのか、それともいけすかないと評した相手に質問をしてたのが不味かったのか。
脇に頭を抱えられている所為で左頬がアマザの巨胸に押し付けられているのが柔らかくてキモチイイ。これでアマザから匂ってくるのが酒臭さなら興ざめなんだがアルコールは含まれないし、オレンジっぽい果物のせいですごく酔っ払いのアマザがいい匂いに感じる。
我ながら鼻の下が伸びてさぞみっともない顔をしているだろうと想像が付くがこのまましばしこの酔っ払いのお胸の感触を楽しみたい。ところがニミヤが何やら睨んできてかなり怖い。アマザとはそういう関係なのだろうか?ちょっと怖いのでアマザを引き剥がす。
アマザとの距離には注意しよう。どっちにしてもパーティー内での色恋はトラブルの元になりそうだから無いにこしたことはないだろうしな。
そのあとは訪れた空腹状態を戻すためにひたすら食うに専念したかったのだが歓迎会も兼ねているため全員から果実酒を注がれては杯を空けた。
その後、アルコールがないから火照るはずがないのだが服を脱ぎだそうとするアマザの悪酔いをタミーと押さえ込んだりしてから帰宅した。
別れ際に今月一杯は今と同じ10番出口からいける場所で狩りを続ける予定だとホーヅから聞いた。
名前考えるのメンドクサイ
ゴウト→神戸市よりもじって
モトス→洲本市よりもじって




