第49話 ぽん太くんの修了式
三月になると、一年間の学校生活もいよいよ終わりを迎えます。
修了式は、友達や先生と過ごした日々を振り返り、この一年の頑張りを確かめる大切な日です。
ぽん太くんも、たくさんの思い出が詰まった三年一組で、先生や友達への感謝を胸に修了式を迎えます。
三月のある日。
今日は、松原小学校の修了式だった。
ぽん太は、いつもより少し早く学校へ着いた。
三年一組の教室へ入ると、健太が笑顔で手を振った。
「おはよう!」
「おはよう!」
さくらも、夏輝も、優太も、もう来ていた。
ぽん太は自分の机を見て気がついた。
「あれ?」
机の名札が外されている。
健太が言った。
「昨日、先生が外したんだ」
ぽん太は少し寂しそうにつぶやいた。
「本当に三年生が終わるんだね」
教室を見回す。
昨日みんなできれいに掃除した教室は、朝日を受けて明るく輝いていた。
修了式が始まった。
体育館には全校児童が集まっていた。
校長先生が話を始めた。
「皆さんは、この一年間で勉強だけでなく、友達を思いやる心や、最後まで頑張る力も大きく育ちました」
「四月からも、その気持ちを忘れず、新しい学年でも頑張ってください」
子どもたちは真剣な表情で聞いていた。
代表の児童が修了証を受け取ると、大きな拍手が体育館に響いた。
教室へ戻ると、山口先生が一人ずつ修了証と通知表を渡し始めた。
「健太」
「はい!」
「元気いっぱいの一年でした。これからも挑戦する気持ちを大切にしてください」
「はい!」
「さくら」
「はい」
「いつも友達に優しく接していましたね。その優しさを忘れないでください」
「ありがとうございます」
「夏輝」
「はい!」
「何事にも一生懸命取り組みましたね。四年生でも頑張ってください」
「はい!」
「優太」
「はい」
「最後まであきらめず努力する姿が、とても立派でした」
「ありがとうございます」
そして、
「ぽん太」
「はい!」
ぽん太は少し緊張しながら前へ出た。
山口先生は修了証と通知表を手渡し、やさしく微笑んだ。
「困っている友達に、一番よく声をかけていましたね」
「先生は、その優しい心がとてもうれしかったです」
ぽん太は少し照れながら答えた。
「ありがとうございます!」
修了証と通知表を大切に抱えて席へ戻った。
帰る前のホームルーム。
山口先生が黒板の前へ立った。
「みんな」
「今日は最後のホームルームです」
「黒板に、一人ずつ好きな言葉を書いてみましょう」
健太は大きく書いた。
『四年生でもがんばる!』
さくらは、
『ありがとう』
夏輝は、
『またいっぱい遊ぼう!』
優太は、
『友達って最高!』
ぽん太は黒板の前で少し考えた。
そして、ゆっくりと書いた。
『ありがとう 三年一組』
教室が静かになった。
山口先生は、その文字を見てうれしそうに笑った。
「先生も、ありがとう」
ぽん太も笑顔になった。
帰る時間になった。
「先生、一年間ありがとうございました!」
子どもたちが声をそろえた。
「こちらこそ、ありがとう」
山口先生は目を細めた。
校門へ向かう途中、
健太が言った。
「春休み、また遊ぼう!」
「うん!」
さくらもうなずく。
「お花見もしたいね」
夏輝が笑った。
「公園でサッカーもしよう!」
優太も元気よく言った。
「四年生になっても、ずっと友達だからね!」
ぽん太は大きくうなずいた。
「約束!」
五人は笑顔で手を振り合い、それぞれの家へ向かった。
「ただいま!」
春川家の玄関に元気な声が響いた。
ソラがしっぽを振りながら駆け寄ってきた。
「ワン!」
「ただいま、ソラ!」
ぽん太はソラの頭をやさしくなでた。
ハル子が迎えた。
「お帰りなさい」
リョウ子もほほえんだ。
「修了式、お疲れさまでした」
夕食の時間になると、家族がそろった。
祐子が聞いた。
「修了式はどうだった?」
ぽん太は修了証と通知表を大事そうに見せた。
「先生がね」
「優しい心を大切にしてくださいって言ってくれた!」
惣太郎はうれしそうにうなずいた。
「先生は、ちゃんと見ていてくれたんだな」
千春も笑顔で言った。
「ぽん太らしいね」
ぽん太は少し照れくさそうに笑った。
「えへへ」
ハル子が静かに言った。
「努力や優しさは、必ず誰かが見ていてくれるものなのですね」
リョウ子もほほえんだ。
「三年生として過ごした一年は、きっと四年生になっても皆さんの力になりますね」
ぽん太は元気よくうなずいた。
「うん!」
「四年生になっても頑張る!」
窓の外では、春の夕暮れがやさしく町を包んでいた。
三年生としての一年を終え、先生や友達への感謝を胸に、新しい一歩を踏み出そうと思った、ぽん太くんでした。
修了式は、一年間の頑張りを振り返るとともに、新しい学年への第一歩を踏み出す大切な節目です。
ぽん太くんは、先生や友達、そして三年一組の教室への「ありがとう」の気持ちを胸に、一年間を締めくくることができました。
この一年間、ぽん太くんは家族や友達、先生、地域の皆さんとのふれあいを通して、思いやりや感謝の気持ちを少しずつ育んできました。
その優しさは、きっと四年生になっても変わらず、たくさんの人との出会いの中でさらに大きく育っていくことでしょう。




