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ぽん太くんは、がんばっています  作者: 秋田コウ
第三章 二学期

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第26話 ぽん太くんの学芸会

学芸会は、みんなで力を合わせて学んだことを発表する大切な行事です。

劇や音楽など、一人ひとりが自分の役割を頑張り、みんなで一つの作品を作り上げます。

今回は、ぽん太くんたちが学芸会で心を一つにしたお話です。

 秋も終わりに近づき、朝の空気が少し冷たくなってきた。

 教室では、学芸会の練習が始まっていた。

 山口先生が黒板の前に立った。


「今年は『ももたろう』をやるぞ」

「やったー!」

 教室が明るい声に包まれた。

 役が決まっていった。

 ももたろう。

 犬。

 さる。

 きじ。

 鬼。

 村人。

 ぽん太は村人になった。

 夏輝は語り手だった。

「語り手?」

 ぽん太は首をかしげた。

 山口先生が笑う。

「お話を読む、大事な役だ」

 夏輝は少し緊張した顔でうなずいた。

「はい」


 練習が始まった。

 みんなは元気よく動いた。

 でも、夏輝の声は小さかった。

「むかし、むかし……」

 山口先生が優しく言った。

「もう少し大きな声で」

「はい」

 でも、やっぱり小さかった。

 休み時間。

 夏輝は一人で台本を読んでいた。

「難しい?」

 ぽん太が聞く。

 夏輝は少し困ったように笑った。

「みんなの前で話すの、苦手なんだ」

「でも、本を読むのは好きなんだよね?」

「うん」

 ぽん太は少し考えた。

「じゃあ、ぼくだけに読んでみて」

「えっ?」

「ぼくだけなら大丈夫でしょ?」

 夏輝は小さくうなずいた。

「……うん」

 二人で教室の後ろへ行った。

 夏輝は台本を開いた。

「むかし、むかし、あるところに……」

 さっきより、ずっと大きな声だった。

「すごい!」

 ぽん太が笑った。

「ちゃんと聞こえた!」

 夏輝も少し笑った。

「ほんと?」

「うん!」

 その様子を見ていた健太が言った。

「じゃあ、ぼくも聞く!」

 さくらもうなずいた。

「私も」

 優太も来た。

「ぼくも聞きたい」

 夏輝は少し驚いた。

「みんな……」

「大丈夫!」

 ぽん太が笑った。

「みんな友達だから」

 その日から昼休みになると、みんなが聞いてくれた。

 一人。

 二人。

 三人。

 少しずつ増えていった。

 夏輝の声も、少しずつ大きくなっていった。


 そして学芸会の日。

 体育館には、お父さんやお母さんがたくさん来ていた。

 幕が開いた。

 劇が始まった。

 ぽん太も村人として元気よく演じた。

 いよいよ夏輝の番。

 一瞬だけ深呼吸をした。

 そして、

「むかし、むかし、あるところに――」

 体育館いっぱいに、はっきりした声が響いた。

 ぽん太は思わず笑顔になった。

(大丈夫)

 劇は大きな拍手の中で終わった。

 教室へ戻ると、山口先生が言った。

「みんな、よく頑張った」

 山口先生は夏輝に目を向けた。

「語り手、とてもよかったぞ」

 夏輝は少し照れながら笑った。

「ありがとうございます」


 放課後。


 家へ帰ると、ハル子とリョウ子が迎えてくれた。

「おかえりなさい」

「ただいま!」

 ぽん太は今日の出来事を話した。

「夏輝ね、最初は小さい声だったんだ」

「でもね」

「毎日みんなで聞いてたら、大きな声で読めるようになった!」

 ハル子が静かにほほえんだ。

「人は、一人では不安なこともあります」

 一呼吸おいて続けた。

「仲間が応援すると、大きな力を発揮できることがあります」

 リョウ子もうなずいた。

「みんなで支え合ったからこそ、すてきな学芸会になったのですね」

 ぽん太は大きくうなずいた。

「うん!」

「ぼくも、夏輝が頑張ってるのを見て、うれしかった!」

 その夜、ぽん太は学芸会の台本を机の上に置いた。

 一人ではできないことも、仲間と一緒ならできる。

 そんなことを思いながら、そっと台本を閉じた。


 仲間を信じて支え合うことの大切さを学んだ、ぽん太くんでした。

学芸会は、一人では完成しません。

演じる人、語り手、道具を準備する人、それぞれが自分の役割を大切にし、みんなで力を合わせて、一つの劇を作り上げます。

夏輝くんは、人前で話すことが少し苦手でした。

でも、ぽん太くんや友達が温かく応援し続けてくれたことで、自信を持って大きな声で語ることができました。

誰かを応援する優しい気持ちは、相手の力になるだけでなく、みんなで喜びを分かち合える素敵な思い出も作ってくれます。

仲間を信じ、支え合うことの大切さを感じられる、そんな学芸会になりました。

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