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異端なる貴方へ贈る異世界人生  作者: ハル凪
第1章 『異世界なんて…』
3/3

第1章 #3 『気疲れ なかれ』

異世界召喚……科学的に証明出来ない現象

俺の居なくなった今、友人はどうしてるのだろうか

 そもそも元の世界に帰ることが出来るのか

 そして振り返り思い出すあの言葉……女性だろうか……

 ――――あぁどうか、この消えゆく運命にある世界を異端なる貴方の力で救って――

 この言葉……どういうことなのだろうか……そのまま受け取るとすればこの世界は消えそうになっている…つまり危機にあることになる…

 それも確認する必要がありそうだ……

 

「それで、ミナト殿はどこから来たのだ?」

 

 立派な屋敷へ上がり事務室的な所で腰をかけ話をする。

 異世界召喚のことは……一旦黙ってた方がいいかもしれない……

 

「あぁ、名のない町です。それも小さな…」

 

それを聞くとクリスさんは顎に手をやり

 

「名のない町……か……まぁこの世界は広い……名のない町はいくらでもあるが……そうか……そうなると戻るのも大変だろう?どうやって戻る?帰り道は分かるのか?」

 

「えっとぉ……町は無くなったんですよ…」

 

 故郷を探そうとしてくれてるのは嬉しいが……ほんとにこの世界において名のない場所なんだ…何とか誤魔化さなければ

 

「そうだったか……ならば親御さんは……」

 

「まぁ、いいんです。そのことは…」

 

 申し訳なさそうな顔をするクリスさん。

 

「そうそう……俺小さな町にいたから、情報ていうか、外のことあんまし分からないんです。一見平和そうですが…なんか起きてたりしますか?」

 

 消えゆく運命にある世界……そこをどうにか聞けないか

 

「ふむ、情報がない状態でする最初の質問とはあまり思えんな……」

 

「ん〜それは……、自分の町も消えてしまったので…他にそんなことがあったりするんかなて……」

 

 即席で作った嘘……相変わらず出来の悪いこった…

 

「起きてることと言えば……最近また奴らが動き出したことだろうか……」

 

「奴ら?」

 

「七人の咎人……大罪人だ。それぞれ〈傲慢〉〈強欲〉〈嫉妬〉〈憤怒〉〈色欲〉〈暴食〉〈怠惰〉といる。彼らは脅威となりうるからな。何とかしないといけないのだが、最近動き出したとはいえ、なかなかしっぽをつかめないのだ……」

 

 七つの大罪的なものか……キリスト教関係だったはずだ…それが今の脅威…

 

 「なるほど。他には?」

 

「他にはそうだな、これはこれまでの歴史においても七人の咎人と一緒で何も解決していない……無劫(むごう)と呼ばれるものだ。」

 

「無劫………」

 

 とてつもなさそうな名前……直感的にミナトはそう感じた

 

「はるか昔、無神と呼ばれる者が突如現れた。その者はこの世界を蹂躙しようとしたが、当時の剣神とその仲間によって世界を追い出された。だがその時の戦闘でこの世界には彼の|《神能》《しんのう》と呼ばれるものによって大きな穴が生まれた。穴の底は無い……ただただ大きな穴……それは今に至るまで広がり続け世界の約4割が今穴によって飲まれている。」

 

「どうにか解決できないのか?」

 

「解決のためにどの国尽力尽くしてはいるのだ。だが、遅らせることは出来ても止めることが出来ない。人類の限界だ…」

 

「遅らせる…どうやって?」

 

「剣神」


「あいつがどしたの?」

 

 穴の進行を遅らせるのに彼の名前が出たことに疑問を抱くと

 

「彼は規格外だ…。世界の理…神に見初められた者……救世主……人々は色んな呼び方をする。」

 

「彼は七つの加護、五つの権能、三つの大権能、七つの神能を持ち合わせた歴史上唯一無二の最強だ。あいつを殺せるやつはこれまでも…そしてこれからも来ないだろうな…」

 

「なんか……チートなんだな……」

 

「ちーと?というのはよくわからんが、要するにその全ての力を使って穴の外側から陣を組み結界を作り出し進行を限りなく抑えている。それが今ある状態。」

「つまり、さっきあいつが行くところあるって言ってたのはそれをしなくちゃ行けなかって訳か…」

 

 すげぇな……『剣神』…関心していると

ドンッ!

 すごい勢いで扉が開く

 

「うおっ!?」

 

「おいッ!姉貴ッ!必要なものはこれで…いい…のか?」

 

突然の登場にミナトが目を丸くしていると

 

「……誰だてめぇ?」

 

鋭い目つきでこちらを睨む。身長は自分と同じくらい。年齢も見た目通りであれば同じくらいだろうか。着崩した制服がだらしなく見える

 

「はぁ、客人だ。ルイ、いつも言っているだろ?ドアを蹴って開けるな。あと制服はしっかり着なさい。あと、他所様には敬語。」

 

 呆れ顔で注意するクリス。それに対しきまり悪そうに謝罪をするルイと呼ばれる男。

 

「あぁ、わりぃわりぃ。つい……その…客人もすまなかった!俺の名前はルイ・シルヴァーだ、姉貴……クリスの弟だ。あんたの名前は?」

 

「……はぁ、敬語………」


「敬語は俺の性にあわねぇんだよ。違和感がある」

 

「俺の名前はナギサミナト、ミナトって呼んでください。 」

 

「おう。ミナトな。よろしく。あれだ。敬語とかはいいからな?んで、なんで客人が姉貴の部屋にいんだ?まさか……」

 

 姉貴の部屋?ここは応接間じぁないと?

 そんなことを考えてたその瞬間

 

「結婚か!?」

 

 ぶファッ、!

 飲んでいた水を吹き出す

 

「違うッ!」

 

 それに対して即座に否定するアリス

 

「んじゃなんで姉貴の部屋に入れてんだよ?応接間ぐらいあるだろ?待って……応接間でなく姉貴の部屋でかつ男女2人きりの空間……まさか…そこまでっ!?」

 

 なんかあらぬ誤解が生まれそうなので仲介に入る

 

「違うから!今日初めて会ったのにそこまでは行かないから!さすがに!」

 

「お、おう。そうか?」

 

「ミナト殿の言う通りだ。彼は自分でも分からず『死外の森』にいたところ『剣神』に助けられてる。今は彼の身元の確認と……これからについて話してたところだ。」

 

「んでもよぉ、それはそれでも応接間でよくねぉか?」

 

「確かに…」

 

 2人でクリスをジーと見つめる

 

「………うるさい…」

 

 頬を膨らませ意地悪と言わんばかりの怒り顔を見せるクリスはとても可愛い

 

「まぁいいや。姉貴、とりあえず茶と菓子持ってくるぜ?」

 

「あぁ、頼む。それらは応接間に持っててくれ。すぐ移動する。」

 

「ここじゃなくていいのかぁ?」

 

「う る さ い !」

 

「イテテ…」

 

 弟ルイの頬っぺをつねるクリス

 その光景は仲むずましい姉弟そのものだ



「んで……これからどうすんのよ?カナタの兄貴は」

 

 ボリボリ ムシャムシャ ごくごく

 そんな音を立て茶と菓子を貪り食う弟ルイ

 

「お前は……はぁ…まぁいい。カナタ殿はこれからどうするつもりなのだ?」

 

「どうするもなにも…一文無しだし、この国のことはあんまり分からないからなぁ。」

 

 「この国に一時滞在していたらどうだ?宿と食事等はこちらで手配する。お金もかけないでいい。」

 

「それはありだな!なら寂しくねぇようにここに滞在している間は暇な時俺が遊び行ってやるよ!」

 

「いやいや、宿と食事はともかくお金かけないでいいはさすがにやりすぎだって!とても申し訳ないです」

 

 なにかした訳でもないのにタダで宿と食事はさすがにやりすぎだ。

 

「そんなこと言っているが一文無しなのだろ?」

 

「ん〜まぁ……」

 

「なら決まりだな?」

 

「いや……でも……」

 

「返事は?」

 

「はい……」

 

 謎の圧に押され半ば強制で決定。本来は喜ぶところなのだろうがほんとに申し訳なさが勝ってしまう。



 「とりあえずここに当分住むといい」

 

「お高そう……」

 

 立派な建物。そして明らかに素材のいい部屋造り

 

「まぁ、姉貴の選ぶ部屋にハズレはねぇから安心しろって!な?兄貴!」

 

 そういう問題ではないが

 

「とりあえずありがとうございます。こんな……うん。高そうなところに当分居れるんだもんな…」


「住む場所は提供した、あとは下町の方に行って職を探すなりするといい。私のできることはやったぞ?」

 

「下町か……さっき通ったあそこか?」

 

「そうそう。あそこは結構いいぜ?いつも美味そうな匂いがしてる!仕事も結構見つかると思うぜ?」

 

 仕事さえ見つかれば多少稼いでそこを後にするのもありだ。そう短期バイトのように

 

「それじぁ、私たちはこれから用事があるので失礼するよ。」

 

「じぁな兄貴!」

 

「ほんとにありがとうございます!2人とも!」

 

 そう言って2人と別れ、いざ提供された部屋へ…

 はいかずトイレだろう場所へ

 

 ゔぇ〜 ごほッ ごほッ!

 気持ち悪い……疲れた……

 

 この世界に来て半日ちょっと、事の展開が早く半日で休めるのは良かったが、知らない土地、知らない人、知りえない常識 カナタの頭は既にパンクしていた。

 

「あぁ……これからどうすっかなぁ……とりあえず…腹減った…飯…」

 

 吐いてすぐ食べる気になるかと言われればそうではないが食っていないとやってられない

 

 二人から1ヶ月分の食料を頂いた。その中にある緑色のブツを取り出す。無臭……見た目は柿に近いだろうか……恐る恐る食べる。

 

「…美味い…」

 

お腹を満たしながらこれからの事を考える。こうして彼の異世界人生は幕を開けた。

 

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