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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第七章 2回戦 ~vs河咲女子高~
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87/150

86話 球速こそ正義!

 小鳥遊に投じられた4球目。

 それは、1回戦も含めて初めて見せる球だった。


 真ん中高め。

 打つだけなら最も簡単なコース。

 だがそれは、投手にとっても最も力の入りやすいコース。


 ドォン! と、ミットの音が響き渡った。


「ストライク、バッターアウト!」


 ―――小鳥遊は、バットを振ることさえ許されなかった。


 秋の風がマウンド上を通り抜け、帽子を取った華園の髪をなびかせる。

 その姿は正にエースの風貌だ。

 球速こそ正義だと言わんばかりの立ち振る舞い。


 だが、球場がどよめいたのは、その風貌だけではない。

 全ての球ではないが、時折バックスクリーンには球速表示が出る。

 その値は。


「セット、ポジションで……ひゃく、20km/h……?」


 1回戦も併せて最速。

 女子にとって、120km/hは1つの壁だ。


 右京の親友であり、アメリカの高校でエースを張っているマリーに120km/hオーバーの球で練習したとはいえ。


 チェンジアップの後に投じられては、体感でそれ以上に思える。

 球が浮き上がるわけでも、加速するわけでもない。


 ただ純粋に、速い。

 それだけが、他の球さえ霞めてしまう。


 最速のストレートとは、そういうものだ。


 下唇を噛み締めながら、小鳥遊はベンチへと戻る。


「ほら」

「……雨音ちゃん」


 ヘルメットを外した小鳥遊に、真中がグローブを手渡す。


「いつまで沈んだ顔をしてるのよ。元々、この回は捨てる算段だったじゃない。あの球を引き出しただけでも儲けものよ」

「桜ちゃんが、大丈夫ならいいんだけど」


 友希は、サードランナーだった投山にグローブと紙コップのスポーツドリンクを持っていく。


「ごくごくごく……。ぷはー!」

「いい飲みっぷりだね、桜ちゃん」


 日差しが強いとはいえ、秋の涼しさが出始めた9月に投山は汗を垂らし始めている。


「おかわりが欲しいのだ」

「駄目だよ、お腹タプタプになっちゃうもん! ……って、いいよ、ゴミは私が持ってくから!」


 一息ついて、落ち着きを取り戻した。

 ……そのはずだった。


 確かに体力は戻っていた。

 いくら執拗に牽制されたと言っても、投山の体力はそんなもので無くなったりはしない。


 だが、精神はだいぶやられていた。


 アウトになるのではないかという恐怖。

 そしてさらに問題なのが、華園の手抜きを演技だと投山が理解していないことだ。


 誰も、ヒットを打った投山にあれは手抜きだとは言わなかった。

 いい気分で投げさせようと思ったのが、裏目に出たのだ。


 自分がヒットを打てたのだから、皆なら点を取ってくれるだろう―――、そんな期待から失望に一転し、自分は一体いつまで0で抑えなければいけないのだろうか。

 早く守備を終わらせて攻撃に。

 そんな思いが、投山の投球を崩してしまった。


「ボールフォア!」


 外角に大きく外れ、先頭打者に四球。

 下位打線相手に、絶対にやってはいけないとキャッチャーの熊捕にしつこく言われた結果。


「投げ急ぐな。深呼吸しろ」


 熊捕はボールを素手で丁寧に磨いた後。一言添えて返球する。

 投山は言われたとおりに深呼吸をするが、それすらも浅く速い。


 次の9番バッターには簡単に送りバントを決められ、打線が一巡して1番バッター。


 ―――それは、4球目の左バッターに対し投じられたアウトコースのチェンジアップ。


 チェンジアップは抜く球だ。

 腕を大きく振りつつも、球を抜く。

 それができなければ、少しお辞儀するだけの遅いストレートでしかない。


「セカンド!」


 熊捕が叫び、二宮が呼応する。

 強烈な当たりはセカンドの左を抜けていこうとしたが、二宮の足なら守備範囲。


 ―――いや、『だった』

 そう、二宮が本調子ならばの話。


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