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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第七章 2回戦 ~vs河咲女子高~
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84/150

83話 耐久作戦!

 1回裏の相手の攻撃は、投山が簡単に2つのアウトを取った。


 だが、3番の空木すみれ。

 センターを守っていたので守備の時は特に気にもならなかったが、打席に立つと分かる。


(でかい……)


 相模南の中で最も身長の高い一ノ瀬と比較しても、勝るとも劣らない体格の持ち主だった。

 もちろん、体格がいいからと言って打撃もいいとは限らないのだが、風貌というのはそれだけで威圧する力を持っている。


 河咲女子の中にあって唯一、身に纏うオーラが違う。

 1回戦でも、この打者だけスイングの鋭さが違った。


(こういった打者こそインコースを攻めんといけんのう)


 熊捕の構えたミットはインコース。

 クロスファイアから放たれる、角度と球威のある投山の得意球。


 ……体に食い込もうかというその球を、打者は怯むことなく振り抜く。

 鈍い音を響かせながらも、三塁側のファウルゾーンへ強い打球が襲った。


「……ちっ」


 空木は眉を潜ませながら、小さく舌打ちをする。

 マウンドに立つ投山を見る目つきは、まるで獣のようだった。


(そんな表情をしていたら美人が台無し……なんて声をかけたいもんじゃが、審判がいる以上そうもいかんのう)


 2球目、外角へのチェンジアップ。

 タイミングは確かにずらした。


(止まった……!?)


 崩れるはずの下半身が、時が止まったかのように、ピクリとも動かない。

 そしてチェンジアップのタイミングに合わせ、上半身だけで振り抜く。


 決して大振りではない。

 コンパクトに、力強く、上から振り下ろされたバットの芯にボールが当たる。


「レフト!」


 レフト前への打球。

 左門は前進してきたが。


「!?」


 打球が思いのほか伸びてきた。

 左門は急ブレーキをかけて腕を伸ばす。


 バシィ! と大きな音を立て、何とかグラブに収まった。


「ナイスキャッチです、敦子先輩」

「左手が持ってかれると思ったわ。抜けてたらランニングホームランかもしれへんし、危なかったわ~」

「捕ったんだから無問題ですよ!」


 1回を終わり共に出塁無しで2回を迎える。


 その前に、相模南はベンチ前で半円になり監督を囲んだ。


「このピッチャーは策なしでは打ち崩せません。なのでー、私が直々に作戦を編み出したのですー」

「……直々って、それが仕事じゃないですか」

「ふふーん、真中さんのその生意気な口ごたえは作戦を聞いてからにしてもらいましょうかねー。名付けて、『耐久作戦』ですー!」


 監督はわざわざ紙に書いていた文字を皆に見せつけた。

 用意していたところを鑑みるに、みんなが勘違いすることを予想していたのだろう。


「待球って、相手のスタミナを減らしてく感じですかぁ?」

「違いますよー、ニノさん。それも狙いではありますけどー、そもそも漢字が『球を待つ』ではなく『久しく耐える』の方ですー」

「でも、向こうのピッチャーは癖がないから打ちにくいっていう話だったはずネ!」

「右京さんは知らないかもしれませんがー、人間、なくて七癖あって四十八手という諺があるのですー」


「……四十八癖です監督」

「ということで4回、少なくとも5回までには攻略の糸口を見つけ出すのですよー!」


 2回の表は4番の友希から始まる。


 耐久作戦。

 監督がベンチでカメラを構えている。

 少しでも、情報を引き出さなくては。


「来い!」


 1球目。


 それは、絶好球だった。

 ヒットを打ってくださいと言わんばかりのコースとスピード。


 思わず手が出そうになったが、寸でのところで思い留まる。


 すると、その瞬間。

 まるで、ボールが何かに吸い寄られるように浮き上がって見えた。


「これが……!」


 手を出していたら、完全に内野フライだった。

 何も策を講じなければ、7~80球で完封されてもおかしくない。


 だが、策を講じても。

 友希も、真中も、右京も。

 3人が3人とも、4球で打ち取られた。


 1回と合わせて20球。

 これではn数があまりにも少なすぎる。

 本当に、策を練る前に試合が終わってしまう。


 そんな時、2回裏の守備に就こうと立ち上がった左門が口を開いた。


「……監督。次の回から、うちが打席に入るとき以外は、全て三塁コーチャーに立たせて欲しいです」


 三塁コーチャーからは、角度的に最も投手のフォームが見やすい。

 一塁側のベンチからでは見れない、何かがあるかもしれない。


「分かりましたー。左門さん、あなたのその目に全て任せますねー」


 左門の眼鏡の奥で、確かにその瞳は相手ピッチャーの華園を捉えていた。


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