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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第六章 1回戦! ~vs斡木クラブ~
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71/150

70話 怪我は誰しも抱えるものと言うけれど

 三塁線を抜ける長打、と誰もが思った。


「抜かせ、るかああああ!」


 友希は目一杯に体を伸ばし、グラブの先端にボールを引っかけた。


「バックホームじゃ!」


 打球はフェアでも、勢いで友希の体はファールゾーンに大きくはみ出していた。

 熊捕もそれに合わせて、三塁側で友希の返球を待つ。


 友希はこれまでの経験からその瞬間、脳裏で未来が見えた。


 ああ、これはセーフだ。ホームに投げても、十中八九間に合わない。

 それでも。アウト1つと一塁への出塁を犠牲にしても、ホームに投げなくてはいけない場面だった。


「おりゃあああ!」


 友希は地面へ倒れこみながらも、バックホームを敢行した。

 体が流れる分、送球も思ったより少しだけ三塁側へ流れた。

 高峰はホームの先で待つ仲間の指示に従い、一塁側へ躱す。


 一定の間を置いた後、審判が告げる。


「……セーフ!」


 その判断は無情にも。


「やったあああ!」


 斡木クラブは、勝利を確信したような歓声を上げた。

 8回の表、ここでの追加点はあまりにも重い。


「惜しかったわね。もしもブロックが禁止でなかったなら。もしもミットを左手につけていたのなら。……アウトだったかもしれないわね」


 右利きである以上、グラブを左手にはめている以上。三塁側に流れたボールのタッチはどうしても遅れてしまう。

 だが、そんなもしもの話は何の意味をなさない。


「……ごめん」


 マウンドに集まって友希が頭を下げた。

 誰も友希を責める気にはならなないが、それでもこの終盤での追加点は心に刺さるものがある。

 投山も、小鳥遊も、友希も、あの熊捕でさえも。

 目線が俯きがちになっている。


 そんな時に、二宮が深く息をついた。


「大丈夫だってぇ。まだ攻撃2回あるんだからさぁ」

「集中力を切ってしまったら、本当にお終いですわ」

「ラビッツだってさぁ、終盤で逆転した試合はいくらでもあるしぃ。ねぇ、ゆっきー」


 二宮は友希の肩に手を回しながら笑顔を浮かべる。


「……意地が悪いですね。おかげさまでオーシャンズのクローザーは配置転換しましたし。……まぁ、2点なんかすぐ逆転するし逆転される点差、ですよね」

「そうこなくっちゃ」


 落ち込もうが、後悔しようが、失った点は戻ってこない。

 この試合に勝つには、相手を0に抑えて2点差を逆転するほかはない。


 ――――だが。

 続く4番打者が放った打球。

 想定より球威があったのか、差し込まれて緩やかなセカンドゴロ。

 一塁よりだったため二塁アウトは無理だ。

 二宮がそう判断し、打球を捕球するためにブレーキをかけた瞬間。


 ビキィ!


 と今までにない音が神経から伝わった。

 奥歯をかみしめ、ファーストへ送球する。

 少しずれたが、問題なく打者はアウトになった。


「つ、ツーアウトだねぇ。……ごめんサタンちゃん、ちょっと靴紐」


 タイムを取って靴紐を結び直すふりをしながら、痛みが走った場所を擦る。


「大丈夫、大丈夫……」


 痛みは引いたが、違和感が大きくなっている。

 全力疾走をしたら、左足がどうなるか分からない。


 顔に出してはいけない。怪我をしていると僅かでも見せてはいけない。

 二宮はグラブで顔の下半分を覆いながら守備位置へ戻る。


 続く5番打者は何とか三振で切り抜けたが、8回の裏の攻撃は。


 ―――二宮から。


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