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Baseballスター☆ガールズ!  作者: ぽじでぃー
第六章 1回戦! ~vs斡木クラブ~
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63/150

62話 打順

 2回の表。

 斡木クラブの攻撃は6番から始まる。


 投山はマウンド上で大きく深呼吸をすると、キャッチャーの熊捕をまっすぐに見つめる。

 熊捕がサインを出し、ミットを叩くと、それに呼応するように守備陣が声を上げた。


「しまっていこー!」


 友希を筆頭に内野陣の声がする。

 外野陣からは、特徴があって声が大きい右京だけが耳に入るけれど。

 それでもその声援が投山を後押しした。


 先頭バッターは内野フライ。次のバッターは三振に打ち取り、簡単に2アウトを取る。


 だが、続く8番バッターが曲者だった。


 テンポが良すぎたのかもしれない。

 粘られてフルカウントになっても、勢いで押し切ろうとしたのが仇になった。


 ロージンの存在も忘れて、手に汗がついた状態で投球へ入る。

 汗で滑ったボールは、投げた瞬間ボールと分かるほど逸れていった。


 2アウトで四球。


 それに対して、斡木クラブは異様に盛り上がった。

 もちろん、仲間が出塁したのだから喜ぶのは当たり前だ。

 だがそれでも、雰囲気がおかしい。


 熊捕が次の9番バッターを見る。

 9番の打者はポジションが投手で、野手と比べて打撃練習に重きを割いていないのか、明らかにスイングが他の打者と比べて見劣りする。


「……?」


 訝し気にマスクをかぶった熊捕は、気持ちを切り替えてサインを出す。

 初球はストレート身を見逃してストライク。


 その瞬間、異様な盛り上がりの理由に気が付いた。


 打順。

 もし9番バッターが出塁すれば、チームで最も打率の高い高峰にチャンスで回る。

 もし凡退したとしても、出塁率が高くほぼ確実に盗塁を決められる高峰が、次の回に先頭で打席に入る。


「……そうか」


 相手の9番バッターは三振でチェンジとなったが、熊捕は嫌な予感を引きづったままベンチへ戻った。




 そして2回の裏。

 先頭は4番の友希。


 3球目、インコースの少し甘く入ったカーブを思い切り引っ張る。

 さすがの高峰も、完全にヒットの打球をアウトにすることはできない。


 だが相模南のベンチは大はしゃぎだった。

 先頭が出たということだけではない。

 壮絶な守備を目のあたりにして、三遊間は抜くことができないという錯覚を払しょくできたからだ。


「ゆっきー、ナイスバッティング」

「えへへ、どうも!」


 一塁コーチャーの二宮が友希に声をかけると、照れたように頬をかいた。


 続くは、これも打率の高い真中。

 先ほどの真中の守備を目にして、斡木クラブの守備陣にも緊張が走る。


「打てない球じゃない……」


 真中は自分に言い聞かせるように打席に入る。

 事実、真中にとって相手投手の球は打ちごろだった。


 2球目、インコースのストレートを強振し、強烈な打球を三塁線に転がした。 

 ヒット、あわよくば長打。


 真中はそう思ったが、斡木クラブの守備陣は高峰や柴谷だけではない。

 そう主張するかのように、サードは横っ飛びで打球を掴み取った。 


「ファースト!」


 セカンドは間に合わなかったが、打球が速かったのも相まって真中はアウトになった。


 真中はベンチに引き上げる前に、次のバッターである右京に耳打ちする。


「右京先輩、相手ピッチャーの球は思ったよりも少し沈みます。ミートポイントを少し下目にして打ってください」

「了解ネ!」


 右京の後に、ベンチのみんなにも伝えて真中は一塁コーチャーへ向かう。


「絶対ヒット打つネ!」


 右京のスイングは、スピードだけ見れば斡木クラブの中軸と比較しても遜色ない。

 ランナー二塁にもかかわらず、外野は後退守備をとった。


 だが、1球、2球と続くにつれ外野は定位置へと戻っていく。


「右京先輩には変にアドバイスして混乱させない方が良かったわね……。それは桜にも言えるから困るんだけど」


 苦い顔をして見つめる真中の予想通り、右京は打ち損じてキャッチャーフライに倒れる。


「うぅ……。申し訳ないデス」

「大丈夫なのだ! 我が敵を討つぞ!」


 投山も投山で、スイング自体は鋭い。

 それが功を奏したのか。


 ガキッ。という鈍い音がして転がっていったボテボテの打球に、サードは反応が遅れた。


「桜、走りなさい! アンタの足ならセーフよ!」


 同じくしてフルスイングによりスタートが遅れた投山だったが、真中の声によりファーストへ向かって全力疾走をする。


 ……確かに、サードが捕ったのでは間に合わないが。

 斡木クラブの守備は、なにも野手だけではない。


 投山も守備はうまいが、サード側のごろでは左投の分だけ不利がある。

 実際、もし投山が投手だったらファーストはセーフだっただろう。


 しかし斡木クラブの投手は、野手顔負けのダッシュと素早い送球によってファーストをアウトにした。


「ああぁ!」


 悲痛の叫びをあげる投山に対し、二宮がグラブを差し出す。


「惜しかったよぉ。気持ちを切り替えていこうねぇ」


 頷いてグラブを受け取る投山だったが、簡単に切り替えることなどできなかった。


 次の回は、あの高峰から始まるのだから。


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