↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リポグラム短編集〜『あい』を失った女〜  作者: 石河 翠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

40/74

『あい』なき君は電気羊の夢を見るか?

きら幸運様に捧ぐ


条件:「あ」「か」「が」「さ」「ざ」「た」「だ」「な」「は」「ま」「や」「ゃ」「ら」「わ」「い」「き」「ぎ」「し」「じ」「ち」「ぢ」「に」「ひ」「び」「ぴ」「み」「り」「ん」を使用してはならない

背(そむ)く朧夜(おぼろよ)、震(ふる)える鵺(ぬえ)の声(こえ)。船(ふね)を漕(こ)ぐ子(こ)どもと、瑪瑙(めのう)でけぶる布(ぬの)を織(お)る。


負(お)う、追(お)う、桜(おう)と王(おう)よ。

鉄(てつ)の斧(おの)、雲(くも)の葬送(そうそう)、残(のこ)る羽毛(うもう)。己(おのれ)を屠(ほふ)る黒(くろ)の手(て)へ問(と)う。其(そ)を振(ふ)るう故(ゆえ)を。



透(す)けぬ模様(もよう)と消(け)せぬ粗暴(そぼう)と。巣食(すく)う無謀(むぼう)と救(すく)えぬ友(とも)と。苔(こけ)むす牢獄(ろうごく)の梟(ふくろう)よ、欲望(よくぼう)と自惚(うぬぼ)れで煌々(こうこう)と肥(こ)え太(ふと)る。


生(う)む、倦(う)む、膿(う)む、有無(うむ)。

業(ごう)も、不幸(ふこう)も、嘘(うそ)も、道徳(どうとく)も。溺(おぼ)れ、苦悩(くのう)する男(おとこ)の熱(ねつ)で李(すもも)の露(つゆ)のごとく溶(と)けてゆく。ぬるく、ゆるく。酔(よ)うほども。噎(む)せるほども。



揺(ゆ)れる炎(ほのお)、凍(こご)える無垢(むく)のオルゴール。洞窟(どうくつ)の底(そこ)で鈴(すず)の音(ね)を乞(こ)う百舌鳥(もず)、餓(う)える乙女(おとめ)の躯(むくろ)を捨(す)てる。


解(と)く、疾(と)く、独(どく)、毒(どく)。

痩(こ)ける桃(もも)の頬(ほほ)、ヘドロでぬめる腕(うで)、潰(つぶ)れる胸(むね)、燃(も)ゆる臓物(ぞうもつ)。こぼれる心(こころ)もすべて遠(とお)く失(う)せゆく。この世(よ)もろとも。



幸福(こうふく)を盗(ぬす)むこそどろと、不都合(ふつごう)を微笑(ほほえ)む偶像(ぐうぞう)。腑抜(ふぬ)けと怒(おこ)る木偶(でく)の坊(ぼう)と、秋桜(こすもす)を持(も)つ鳳凰(ほうおう)へ逆上(のぼ)せる鸚鵡(おうむ)。


踊(おど)る、踊(おど)る。狂(くる)えるステップ。うつろうメヌエット。転(ころ)べど踏(ふ)めど、増(ふ)え続(つづ)ける不毛(ふもう)の責苦(せめく)。過(す)ぐる穀雨(こくう)へ共寝(ともね)を求(もと)む。



積《つ》もる憂鬱(ゆううつ)。綴(つづ)る夕暮(ゆうぐ)れ。

廻(めぐ)る、巡(めぐ)る、仏法僧(ぶっぽうそう)の慟哭(どうこく)。

孤独(こどく)と眠(ねむ)るロボットの夢(ゆめ)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。