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『年越しとろろ蕎麦』

12月31日の大晦日、ソウルのユン屋敷では、サランとシウが、平穏な時を過ごしていました。サランは愛猫のマシロとでんすけに見守られながら、心を込めて「年越しとろろ蕎麦」を作り、帰宅したシウを温かく迎えます。テレビから流れる世間の喧騒をよそに、二人は並んで美味しい蕎麦を味わい、静かに寄り添い合います。

12月31日の大晦日。

ソウルのユン屋敷は、どこか厳かで静かな時の流れに包まれていた。

きらびやかな『ホテルグランツトリニティズコリア』のスイートルームで過ごした

クリスマスの特別な夜も素敵だったけれど、

一年の締めくくりを過ごす場所として二人が選んだのは、

やはりこの慣れ親しんだ我が家だった。

リビングの床暖房は柔らかく部屋を温めている。

その上で、白とシルバータビーの二つの毛玉――マシロとでんすけが、

互いに体を寄せ合って静かに寝息を立てている。

「マシロ、でんすけ、もうすぐ今年が終わるんだよ」

キッチンでエプロンを締めたサランが、足元の猫たちに優しく声をかける。

彼女の耳元でかすかに揺れているのは、あの小樽のガラス細工のピアスだ。

今日のメニューは、大晦日の定番。サランが心を込めて作る「年越しとろろ蕎麦」である。

「トシコシ~おそば~とろろをたっぷり乗せるのです♪」

即興の不思議な歌を口ずさみながら、サランは慣れた手つきで長芋をすり下ろしていく。

かつてはストレスから深爪気味だった彼女の手元は、

今ではすっかり落ち着き、クリアのマニキュアだけが自然な輝きを放っていた。

「ただいま。外はすっかり冷え込んできたよ」

防寒着に身を包んだシウが、玄関から戻ってきた。

「お帰りなさい、シウ!ちょうどお蕎麦が茹であがるところです」

サランが満面の笑みで迎えると、シウは柔らかく目を細めた。

「いい匂いだ。急いで着替えてくるね」

テーブルに並べられたのは、温かい出汁の香りが湯気とともに立ち上る蕎麦。

その上には真っ白なとろろと、サランが丁寧に刻んだネギが綺麗にあしらわれている。

「いただきます」二人は静かに箸を動かした。

口に運んだシウは、じわりと広がる出汁の旨味に、幸せそうに頬を緩める。

「サランの作る料理は世界一だね。」

「おかわりもあるからね」サランは嬉しそうに微笑みながら、

シウの美味しそうに食べる姿をじっと見つめていた。

その足元では、匂いに釣られたマシロとでんすけが「にゃあ」と小さく鳴き、

自分たちの夜ご飯を催促している。

食事を終え、片付けを済ませると、二人はリビングのソファに並んで腰掛けた。

テレビからは、今年大ヒットした映画『私にキスできますか?』の特集や、

カナンのストッキング広告の話題が風のように流れている。

過激だった『Love Hunt4』の騒動から数ヶ月、今こうして穏やかな時間を共有できていることが、

何よりも尊く感じられた。ふと、時計の針が深夜の零時を指した。

遠くから、新しい年の訪れを告げる除夜の鐘の音が、微かに響いてくるような気がした。

「あけましておめでとうございます」「おめでとう、今年もよろしくね」

シウは隣に座るサランの手を、そっと優しく握りしめた。

サランは少し耳を赤くしながらも、その心地よい体温に身を委ね、シウの肩にそっと頭を預けた。

「来年はね、家族が増えたらいいなって、思っているのです」

「ペットはでんすけが最後って約束だろ?」

「ぴー……」不満そうに小さな声を漏らすサランを愛おしく思いながら、

シウは彼女をそっと引き寄せた。

膝の上では、マシロとでんすけが幸せそうにあくびを重ねている。

窓の外には、新しい年を静かに照らす、美しく澄んだ月明かりが広がっていた。


今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、

もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。

こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。


※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。


参考データ

※ユン・シウ…小説家25歳

※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳

※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。

※ソン・インナ…女優、シウの母親

※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長

※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者

※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス

※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』

※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。

※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン

※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。

※キム・ソンミン...キャサリン。薔薇組第二夫人。数千万ウォンの身体を誇る

※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役

※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」

※ナ・ジウ...薔薇組音響アシスタント。通称小枝。


※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。

※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。

※佐藤志乃...ソン・インナの本名。

※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。

※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。

※中村綾...サランの母親

※トリニティG...韓国最大の財閥グループ

※S.S.I...総合映像制作会社

※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。

※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。

※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組

※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説

※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説

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