諦める事なんてできない
マシロ御殿にて、ソン・カナンが『Love Hunt4』を辞退したための補足動画として、ソン・インナとカン・サランの対談動画の撮影が行われます。インナは過去に野心から劇団を抜けたことで、かつての親友であり最高のパートナーだった綾(サランの母親)をスランプに追い込み、引退させてしまったことを深く後悔していると告白します
渋谷センター街にあるBIG BOSSビジョンにて
カナンが広告モデルを勤めたストッキング広告が、開始された。
『SHIMA-KINU(縞絹)』を展開する。
『深山編織』が奇跡の一枚に触発され
日本でも販促拡大を開始したのである。
『アメイジング・メーカー』と評される、
世界的写真家ハン・ジヨンがソン・カナンをモデルとして撮影した写真より作成されたのであった。
巨大なカナンの両脚が3Dでニョキニョキっと
表示されニョキニョキっと動く。
シウの友人イ・ソジュンに言わせれば『魅惑のチキンレッグ』との評価である。
カン・サラン本人のコメントは『見えそうで見えないのがエッチ』と、
ユン・シウにだけ挑戦的に耳打ちするのであった。
そちらは東京にスタッフが1人飛んで、動画に収めた。
マシロ御殿にキム・ソヒョンがやってきた。
ソン・カナンの『Love Hunt4』 辞退は確定しているが、補足動画を撮りためである。
ソン・インナとの関係性を明確にする対談形式の映像であった。
「綾と私はね。最高のパートナーで、
最高の親友だった。ある時、劇団の親会社がね。
トリニティに買収されて、それで劇団にも韓国からトリニティの人間が出入りするようになった。
その中に、シウの父親とあなたの父親もいたの。
綾は純粋に恋に落ちて、関係を育んでいたけど、
私達は野心的で欲深かった。
そこで欲に塗れた私は韓国進出を考え出したの。
綾は逆に私とずっと舞台に立つ事を望んでいた。
私が劇団を抜けて、彼女は悩んでいた。
思い通りの演技が出来なくなったって。
あんなに誰よりも輝いていたのに。
私が居なくなってパートナーが変わった事で、
立ち直れないスランプになってしまったのね。
それで彼女は引退を決意したの。
全部私のせいだわ。本当に後悔している。
綾も結婚して韓国に来てくれて、
嬉しかったけど忙しくて中々会えなかった。
1人息子もまともに育てていないのよ。
酷い女だわ。私は。
あの子。うちに居た家政婦が育てたの。
シウは彼女にあなたを合わせたかしら?」
サランは頷いた。
サランがユン屋敷に居候を始めてすぐに、
シウが彼女を小料理屋に連れて行った。
彼女は元ユン屋敷の家政婦で
彼女に育てて貰った。彼女の料理で育ったので
サランに合わせたくなったと紹介されたのである。
今、マシロ御殿でインナとサランが会話している。
サランの膝の上でマシロが丸くなって寝ている。
マシロを撮影キャンプに連れて帰った時に、
インナが豪快に電話一本で一戸建てを購入したのである。
ロケ中はユン屋敷と同じく3人と猫一匹で寝起きしていた。
「事故の知らせを聞いた時は驚いたわ。
あなたの父親とシウの父親は同じトリニティ関連の繋がりがあって友人なの。
それで知らせが届いたのだけど。父親の妹夫婦が預かるって聞いて、
心配していたのだけど、すぐに雲隠れして、
連絡がつかなくなった。それから探したけど見つからなくて。」
サランの目から静かに涙が溢れている。
インナは近くに寄って肩を抱きしめた。
「ずっと後悔していたわ。何もかも、私が違っていたら、綾の人生もあなたの人生も違っていたのに。
罪滅ぼしするわ、納得行くまでね。」
サランは何度も首を横に振っている
「あなたは綾に似て心が優しく綺麗よ。大好き。
それにもし、あの時の若い私が違っていたら、
あなたもシウも生まれて来なかったの。
そう思うと満足した方が良いのかもね。
サランと出会えて、シウとも出会えた。幸せよね。」
サランの涙は激しくなった。
「大変!そんなに泣いたら明日、撮影出来ないわね。
明日は休んで猫と遊んでなさい。ドユンには私から説明するわ」
インナは部屋の時計を見た。
夜は更けて遅い時間だが、キム・ソヒョンを引き留めた。
「遅い時間だけど、あなたと話をしたいの。どうかしら?」
ソヒョンは承諾し、他のスタッフは撤収した。
ソヒョンは恋人のユン・ヒョヌと女優ハン・チェヨンの密会騒動より、
精彩を欠いていた。インナは気にかけていたのである。
「ヒョヌと私は血が繋がっていないけど、申し訳なく思ってね。あなたを心配していたのよ。
シウが生まれる前、シウの父親と恋仲になった頃の、ヒョヌの母親を追い出してしまったの。
略奪愛のつもりはなかったけど、彼の母親が身を引いて彼を連れて出て行った。
彼も父親と同じことをしたなと思ってね。
彼をシウじゃなくてS.S.Iの後継者にしているのは、彼と彼の母親への負い目なの。
誰かの幸せの為に誰かが傷つくのは、もうこりごりだわ。
あなたはまったく悪くないもの。」
キム・ソヒョンは泣いていた。
「私はS.S.Iの筆頭株主よ、あなたを雇っているのは私。
もし、あなたがS.S.Iを辞めようと思っているとしても、
私はあなたを諦めるなんてできないわ。あなたはとても優秀だから。
今の私には優秀な右腕が必要よ。あなたに手伝って欲しい事があるの。
あなたにしかできない事よ。考えておいてもらえるかしら」
キム・ソヒョンはただただ泣いているのだった。
今後、記載する表現に関して、常識に基づいて気をつけて参りますが、
もしもを考慮して15歳未満閲覧非推奨を設定させて頂きます。
こちらに何か落ち度がございましたら、お知らせ願います。
※作中のメインキャラクターは日本語も韓国語も話せる設定となっておりますが、読む側を考慮して日本語表記にしております。キャラクター達は場面に応じて言語を使い分けているとご理解願います。
参考データ
※ユン・シウ…小説家25歳
※カン・サラン…女優志望のアルバイト20歳
※ソン・カナン...女優。カン・サランの芸名。ソン・インナに名付けられた。
※ソン・インナ…女優、シウの母親
※ユン・ジュンソ...シウの父。総合映像制作会社S.S.Iの会長
※ユン・ヒョヌ...シウの異母兄。ソヒョン・チョヨンの恋人。S.S.Iの後継者
※イ・ソジュン...シウの親友。Juringエンター専務。子犬の幼顔と低音ボイス
※イ・ウジン...映画監督。『残酷な美しさ』『私にキスできますか?』
※パク・ドユン...映画監督。シウの親友。Juringエンタ常務。映像制作部部長。
※イ・ダイン...『私にキスできますか?』ヒロイン
※キム・ソヒョン...シウの元恋人『Love Hunt』プロデューサー。
※キム・ソンミン...キャサリン。薔薇組第二夫人。数千万ウォンの身体を誇る
※ハン・チョヨン...女優『私にキスできますか?』イ・ダイン役
※ハン・ジヨン...女流写真家。奇跡の1枚を撮る「アメイジングメーカー」
※ナ・ジウ...薔薇組音響アシスタント。通称小枝。
※虹の薔薇組...ドユンのハーレム軍団。精鋭撮影チーム。
※佐藤直樹...ユン・シウの祖父。伝説の投資家。
※佐藤志乃...ソン・インナの本名。
※天翔樹林...ソン・インナのシルフィード歌劇団時代の芸名。
※涼風小鳥...中村綾。サランの母親。
※中村綾...サランの母親
※トリニティG...韓国最大の財閥グループ
※S.S.I...総合映像制作会社
※Juringエンタ...芸能事務所兼資産管理会社。会長インナ。社長シウ。
※アトリエ・ノア...中堅芸能事務所。サランことカナンが所属していた。
※『Love Hunt』…ネット配信の恋愛リアリティ番組
※『私にキス出来ますか?』…シウ作の小説
※『ずっと僕は君を』…シウ作の小説




